最後の青い石~インターミッション~
おはようございます。
今朝はとても冷えました。
妄想列車は今日も止まらない。
むかしむかしの物語をどうぞ。
昔々あるところに、海の上に浮かぶ国がありました。
その国では、誰もが陽射しの色の髪と肌をしていて、美しい淡い色の布を体に纏っていました。
布の色で、その人が何を世界に与えているかがわかりましたから、薄紫の布を纏う人には頼み事や相談をしました。
淡く光る緑色の布を纏う人には鉱石を見せました。
その布を纏う人は、鉱石の組み合わせでひとりでに動く仕組みを作れました。
仕組みを動かすには必要な旋律があり、この人たちはその音を知っていました。
光る緑色の布を纏う人には、その旋律がわかったのです。
鉱石を生活に使うには石のご機嫌をとる、と言う人もいました。
鉱石の持つ性質を生活に使うには、決まった音が必要でした。
それは、ほとんどの人がすっかり忘れた、生活の知恵でした。
昔はありふれた方法でしたが、今では限られた人が受け継ぐのみの、秘技になっていたのです。
この国は、とても穏やかでした。
穏やかなくらしの中、富が生まれ、持つ事が生まれ、富の使い先がたくさん作られました。
薄紫の布を纏う人は、きらびやかな御殿を建てました。
薄紫の人は、たくさんの人々の代わりに、この世界の始まりを作った者に問いかけました。
その国のほとんどの人が、やり方を忘れてしまった事です。
薄紫の人は皆に成り代わって、世界の始まりを作った者に、望みやお礼を伝えました。
人々は、代わりに伝えてもらったお礼に、富を渡しました。
御殿はますます立派になり、もっとたくさんの人々が集まりました。
富は、鉱石への音を知る者にも集まりました。
昔から人々は、自分の願いを叶えるために、石を使ってきました。
小さな火を絶やさないように組まれた石は、特別な音で動きました。
町ほどの大きな範囲で石を並べ、路のような組み方をし特殊な音を出せば、使い終わった水を清めて再び使えるようになりました。
石を縦に積み筒状にした組み方は、固有の音に反応して、作物や木々を豊かにする力を呼びました。
そして、いつからか、より大きな火、使いきれない余るほどの水、持て余し焼け付くような力を、人々は富によって得ようとするのでした。
この国が、最後を迎える時、あるひとつの石が隠されました。
何事にも終わりはあるのです。
罪や罰ではなく、終わる事が決まっていました。
隠された石は、青く、水のような火のような揺らめきを芯に持っていました。
どこに隠されたのでしょう。
火は火の中へ
水は水の中へ
光は光の中へ
青は蒼へ
次の始まりまで、誰にも見えない。
淡く光る緑色の布を纏う人は、あの最後の日、そんな歌を歌いました。
その人は、とても穏やかな顔つきで、自分の最後の歌を歌いました。
見えない事はあたりまえ。
その日まで、さようなら。
昔々の、お話です。
昔話の終わりは、もとの暮らしに戻るためのワードがセットになっています。
おしまいしゃんしゃん
とっペンパラリのぷう
めでたしめでたし
など。
あちらの世界に行ったままにならないように
しているのかもしれない。