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赤い瞳の銀の鳥   作者: アマメ ヒカリ
第四章 Always watching you
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最後の青い石~インターミッション~

おはようございます。

今朝はとても冷えました。

妄想列車は今日も止まらない。

むかしむかしの物語をどうぞ。

昔々あるところに、海の上に浮かぶ国がありました。


その国では、誰もが陽射しの色の髪と肌をしていて、美しい淡い色の布を体に纏っていました。



布の色で、その人が何を世界に与えているかがわかりましたから、薄紫の布を纏う人には頼み事や相談をしました。



淡く光る緑色の布を纏う人には鉱石を見せました。



その布を纏う人は、鉱石の組み合わせでひとりでに動く仕組みを作れました。


仕組みを動かすには必要な旋律があり、この人たちはその音を知っていました。


光る緑色の布を纏う人には、その旋律がわかったのです。



鉱石を生活に使うには石のご機嫌をとる、と言う人もいました。



鉱石の持つ性質を生活に使うには、決まった音が必要でした。



それは、ほとんどの人がすっかり忘れた、生活の知恵でした。



昔はありふれた方法でしたが、今では限られた人が受け継ぐのみの、秘技になっていたのです。



この国は、とても穏やかでした。



穏やかなくらしの中、富が生まれ、持つ事が生まれ、富の使い先がたくさん作られました。



薄紫の布を纏う人は、きらびやかな御殿を建てました。



薄紫の人は、たくさんの人々の代わりに、この世界の始まりを作った者に問いかけました。



その国のほとんどの人が、やり方を忘れてしまった事です。



薄紫の人は皆に成り代わって、世界の始まりを作った者に、望みやお礼を伝えました。



人々は、代わりに伝えてもらったお礼に、富を渡しました。



御殿はますます立派になり、もっとたくさんの人々が集まりました。



富は、鉱石への音を知る者にも集まりました。



昔から人々は、自分の願いを叶えるために、石を使ってきました。



小さな火を絶やさないように組まれた石は、特別な音で動きました。



町ほどの大きな範囲で石を並べ、路のような組み方をし特殊な音を出せば、使い終わった水を清めて再び使えるようになりました。



石を縦に積み筒状にした組み方は、固有の音に反応して、作物や木々を豊かにする力を呼びました。



そして、いつからか、より大きな火、使いきれない余るほどの水、持て余し焼け付くような力を、人々は富によって得ようとするのでした。



この国が、最後を迎える時、あるひとつの石が隠されました。



何事にも終わりはあるのです。



罪や罰ではなく、終わる事が決まっていました。



隠された石は、青く、水のような火のような揺らめきを芯に持っていました。



どこに隠されたのでしょう。



火は火の中へ


水は水の中へ


光は光の中へ


青は蒼へ



次の始まりまで、誰にも見えない。



淡く光る緑色の布を纏う人は、あの最後の日、そんな歌を歌いました。



その人は、とても穏やかな顔つきで、自分の最後の歌を歌いました。



見えない事はあたりまえ。


その日まで、さようなら。


昔々の、お話です。

昔話の終わりは、もとの暮らしに戻るためのワードがセットになっています。

おしまいしゃんしゃん

とっペンパラリのぷう

めでたしめでたし

など。

あちらの世界に行ったままにならないように

しているのかもしれない。

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