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赤い瞳の銀の鳥   作者: アマメ ヒカリ
第四章 Always watching you
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金の種 ~インターミッション~

こんにちは。

きょうは勤労感謝の日。

新嘗祭が行われています。

江戸の庶民はこの日をゆっくりと過ごしたと聞きます。

恵みに心を向けて、五穀豊穣を祈る日。

さあ、何を食べようか?







昔々、あるところに、広い河が流れていました。



その広い河は、長くて、蛇のようにうねり、度々氾濫をおこしました。



河の水が溢れると、家や家畜を流します。



人々は河の氾濫を神の怒りだと思いました。

神が、恐ろしい蛇を罰として下されているのだと。



河の氾濫を恵みとした国もありましたが、この国では災厄でした。



この地に住む人々にとって、自然は厳しく罰を与えるものでした。



厳しさの中で、時折ほんの少しの富を労働や贄と引き換えに分けてもらうか、戦って勝ち、もぎ取って奪うものでした。



大自然は恐ろしく偉大でした。



偉大な唯一の存在、人の命を握るもの。



大自然とは、負けて服従するか、力で勝ち支配するか、どちらかのものでした。


人々は、懸命に生きていました。



ある日、鳥の羽根を背中に持つ者が、空から降り立ちました。



それは人間の女に見えました。



この世にはない美しい石を裸の肌に纏う女が、河の岸辺に降り立ちました。



肌の色が漆喰のように白く、髪は緩やかに波打ち、明るい色をしていました。



女は、しばらく考え事をしていました。



白い水鳥が、その者の足元に寄って来ます。



その内、良いことを思い付いたようでした。



畳んでいた羽根を広げると、女が来た空に戻っていきました。



水鳥も、河の水を蹴って後を追いかけて飛びました。


彼の人の羽根は、燃え盛る炎のようでした。



辺り一帯を眩しく照らしました。



あまりにも眩しく、空を飛ぶ人の影が地上に落ちました。



影ができたところに、人々はお社を建てました。



それはずっと後になってからの事です。


ある日、人々をまとめ導く役目の者の所へ、輝く炎の翼を持つ白い人が会いに来ました。



まとめ役の者は深い青い石を持ち、貴重な金属で出来た帽子をかぶりました。



産まれた時に付ける名と、特別な名を持ちました。



まとめ役の者は、人々の代わりに厳しい自然と戦い勝つためにいたので、男がなることが決められていました。



もしも勝てなかった時は、役目から降ろされ、別の者が代わりました。



その時に、深い青い石は次の者に渡されました。



白い女は、青い石を持つ男に告げました。



余った穀物を持ち、備えよ。



それを聞いた男は笑って答えます。



余った穀物だと?

そんなものはどこに行けば手に入るのだ。


どこから奪えと言うのだ。


この地はかほどに厳しい地でした。



白い女は言いました。



青い石を受け継いだ者よ、奪うのではありません。


私たちはあなたに、小さな種を差し上げます。



この種は、特別な音楽を聴いた。


この種は、特別な色を浴びて育った。


この種は、特別な説明を覚えている。



あなた方に、私たちから、贈り物です。



大地を金に染めなさい。



余った穀物は貯めておきなさい。



さらに余った穀物は、腐らせて貯めておきなさい。



私たちは、特別な腐敗の技をお伝えしましょう。



腐らない水を、作りなさい。



あなた方が知る、天の神の飲み物として、広めなさい。



特別な腐敗に使う生き物は、遠い先にて活きる。



子や孫に、伝えなさい。



種を、技を、知ろ示せ。



そう言うと、白い人は青い石の人へと近づきました。


白い右手を差し出すと、そこには金色に光る種がありました。



そして左の白い手には、白い粘土のような塊がありました。



両手を差し出した様は、まるで天秤のようでした。



それからしばらくして、種は人々に配られました。



不思議なことに、その種は痩せた土地でも重い穂を作りました。



刈り入れ時は、穂が風になびき、金色に輝きました。


人々は自然が豊かであることを知りました。



余った穀物は、人々に更なる豊かさを運びました。



豊かさは、数字を生む。



数字は、取引を可能にする。



こうして、人々は自然から豊かさを得る方法を得ました。



豊かさはあらゆるものと取引できることを学びました。



あらゆるものを取引するようになった人達を、白い人は遠くから見ています。



今でも、ひときわ明るく輝きながら、空で見ているということです。










ネクターとは神の飲み物の意だそうです。

不二家ネクター。

どうりでおいしいと思った。

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