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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

狂戦士シリーズ

狂戦士とグリフォンの戦い

作者: 陰猫(改)

それは突然、剣を杖代わりにして歩く血塗れの男の前に現れた。

頭と翼が鷲、身体がライオンーーグリフォンである。

突然の来襲に常人なら怯んだり、怯えたりするであろう。

だが、男は戦士ーーそれも狂戦士であった。男は動じる事なく、身構えると降下して来るグリフォン目掛けて突っ込んで行く。

そして、翼を大きく広げたグリフォンの一撃をかわす事なく受け止め、杖代わりにしていた剣でグリフォンに対抗した。

鋭い爪が男の傷付いた身体を抉り、その肩を鷲の嘴が啄む。

だが、それに男が怯む事はなかった。


「うおおおおおおおおおおぉぉぉーーっっ!!」


雄叫びを上げて男が放つ剣がグリフォンの胴体に突き刺さり、へし折れる。

次に声を上げたのはグリフォンであった。たまらず、その場から逃れようとするグリフォン。

その避け際に空いていた手で男がその尾を掴んでグリフォンと共に飛翔する。

男は尾からグリフォンの身体へよじ登るとその片翼を掴み、逆方向へ力任せにへし折った。

へし折られたグリフォンは空を飛ぶ事が出来ずに落下して行く。

地面と衝突し、強い衝撃が一人と一羽を襲う。男はグリフォンがクッションとなった事で差してダメージはなかったが、グリフォンは頭から地面に衝突した。

更に反対側の翼もへし折られ、身をよじるグリフォン。

最早、翼は使い物にならなくなってしまったが、それでもグリフォンにはライオンの胴体がある。

グリフォンは体勢を立て直すとその身を左右に振るわせて男を引き剥がそうとするが、背後を取られたグリフォンに勝機は殆どない。

グリフォンにとって幸いだったのは男が武器を失い、素手であった事と激しい戦いをした後なのか満身創痍であった事だろう。

男が荒ぶるグリフォンの頭部に拳の連打を叩き込む。鈍い痛みが襲い、グリフォンが転がる。

転がった拍子にグリフォンから手を放していた男が引き剥がされて地面に転倒する。

頭を振って立ち上がる男の頬をグリフォンの爪が撫でる。男の頬から血が伝う。


だが、男はそれを気にする事なくグリフォンに対峙すると満身創痍な自身に喝を入れる様に雄叫びを上げ、折れた翼が邪魔で満足に身動きの取れないグリフォン目掛けて再度突っ込むとその脳天に飛び膝蹴りを喰らわせる。グリフォンが悲鳴を上げて仰け反った。

グリフォンはがむしゃらに前足を男に向けて降り下ろしたが、男の身体を浅く裂いたに過ぎない。最早、逃げ腰のグリフォンの攻撃位では男が立ち止まる事はない。

男はグリフォンの懐まで潜り込むと半ばまで突き刺さっていた剣の破片に拳を叩き込み、更に奥へとグリフォンの体内へとその刃を侵入させた。

それが致命傷となり、グリフォンの身体がドサリと倒れ込む。

男は荒い呼吸を繰り返すと完全に沈黙したグリフォンに背を向け、前進を再開する。


その満身創痍な身体で未だ戦い続ける男に明日はあるのだろうか?

それは誰にも解らない。


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