第5話:【弓の悲劇】
なんか、さっき本日ラストとか言ってたけど嘘です。新しいの書けちゃいました汗 そろそろ、主人公に生産させたいんですが、もう少し掛かるかもです。次回は多分、ストーリー進まないと思いますし……
「……取り敢えず、東の草原地帯に来てみたけど、どうしたものかね、これ」
意気揚々と東の草原地帯へと向かった僕を待っていたのは、彼方まで広がる美しい草原……ではなく、其処彼処に溢れかえる人、人、人!!!
東の草原地帯は見渡す限りプレイヤーで埋め尽くされていた。
それもそうだろう。あのギルドへ登録するイベントが終わればやる事が無くなるのは僕だけではなく、他のプレイヤーだって同じ事だ。そして、考えつく事だって同じ事だろう。
「……これ、モンスターとプレイヤーのバランスが明らかにおかしいよね?」
そうこうしている間にも、目の前でリポップしたスライムが一瞬にして青白い粒子へと姿を変えていた。
これじゃ、まるで虐待じゃ無いか!? リンチじゃないか!? 何気にこのゲームのスライムめっちゃ可愛いのに……。
「しょうがないか。街の入り口付近が混むのは仕方ないな。もう少し、奥の方へ行ってみるとするか」
このまま、此処に居てもモンスターを一匹も倒せないどころか、あの可愛いスライム達が乱獲されるのを見続ける羽目になるので仕方なく僕は移動する事にする。
街から続く街道をひたすら歩いて行くと小さな川が流れていた。
周りに他のプレイヤーは余りおらず数人のプレイヤー達が川のほとりに座って談笑に浸っているくらいだ。そのお陰か、可愛らしいスライムがピョコピョコと飛び跳ねている。
「……平和だ」
つい、口から漏れてしまった。そのくらい平和なのだ。いや、さっきの光景が地獄絵図過ぎただけだ。
「さてと、取り敢えずモンスター狩ってみますか」
この草原に生息しているモンスターは見たとろ、スライム、紫色の変なネズミ、空を飛んでる鳥のモンスターくらいだろうか?
あ、今、鳥のモンスターがネズミ食ったぞ? 変な所に凝ってるよな、このゲーム。
そっそく、僕は肩に背負ったショートボウを手に携えて矢をつがえた。
流石にあの可愛いスライムを狙うのは心が痛むし、鳥に当てるのは難しそうなのでネズミを狙う事にする。
「あのネズミ、《パープルマウス》っていうのか!? そのまんまだな!!」
このゲームは対象を意識してみるとカーソルが合うシステムらしい。ネズミに視線を向けたら頭の上にネズミの名前とHPが表示された。
その適当な名前の付け方に苦笑しながらもしっかりと《パープルマウス》に狙いを定める。
こちとら、リリアナさんに稽古付けてもらったんだ、こんなネズ公に負けてたまるかよ!!
《レッドボア》の方がまだ強いぜ?
そして、僕は矢を放った。
「……は? 嘘だろ?」
あろう事か、矢は《パープルマウス》の遥か頭上を飛び越えて何も無い地面へと突き刺さった。
「あ、あれ〜、おっかしいなぁ〜? 手元が狂ったかな?あははは」
何だか物凄く嫌な予感がする。マジで、弓って外れ武器なんじゃね? 攻撃が当たんないってどういう事だよ?
「あはは、もう一回……」
繰り返す事、約三十回。
「一発も、当たんないだと!?」
僕は終ぞネズ公に矢を当てる事が出来なかった。それどころか、ネズ公に噛まれて瀕死の状態だ。HPは赤く染まり、あと一撃分の攻撃にしか耐えられない。
川のほとりで談笑していたプレイヤーが僕の事を指差して腹を抱えて笑っていた。
……笑わないで、助けてくれよ!?
「……だけど、一発でも当たれば僕の勝ちだ。甘かったなネズ公!!」
僕はめげずに新たな矢を取り出すために腰の矢筒に手を伸ばす……が。
「無い……だと?! まさか、もう矢が無くなったのか!?」
最悪だ。本当に弓は外れ武器だった。攻撃があたらければ、攻撃の回数にも制限がある。
これを外れ武器と言わずして何が外れ武器なのだろうか!?
「く、来るなぁぁ!!!」
……そして、ネズ公に噛まれると同時に僕の身体は青い光の粒子になって霧散した。
◆
「……ひどい目にあった」
いかにも雑魚そうなネズミのモンスターに殺されるという、まさかの事態に陥った僕は教会で復活していた。
デスペナルティーは三時間の間、全ステータスが二分の一にダウンと所持金が二分の一になる事だった。お陰で、1500Gあった所持金は半分の750Gにまで減った。
「……矢が一本、100Gしたからな。僕もう戦えないじゃん!?」
復活してから、僕は矢を補充する為にNPCの道具屋に駆け込み矢を買おうとしたが、その値段を見て断念していた。
「……バカみたいに燃費悪いし、攻撃は当たらないし、もう詰んでね?」
はっきり言って詰みである。スキルのレベルを上げれば改善されるかもしれないが、スキルレベルを上げるにはそのスキルを使い込む必要がある。よって、現状では『弓術』のスキル上げは不可能なのだ。
「この際、βテストでは『弓術』のスキル上げは諦めて他のスキルのレベルを上げるか……どうせ、正規版にはスキルレベルは引き継げないんだし」
そう開き直って僕は再び草原地帯へと向かった。
このゲームのスキルシステムは、最初に選んだスキルを中心に条件を満たす事でスキルツリーが広がっていくシステムだ。よって、どちらにせよ、いずれは『弓術』スキルの問題とは向き合わないといけないのだが、僕は気づかないふりをした。
再び僕が《パープルマウス》に殺された地点に到着すると先ほどのプレイヤー達がまだいて、僕の事を指差してニヤニヤしていた。
……はいはい、そうですよ。雑魚mobに殺された雑魚ですが、なんか文句ありますか!!
全く、恥ずかしいったらありゃしない。
「まあ、過ぎた事は気にするな、だな。それよりも、今回はモンスターじゃなくて他の事が目的だ」
どうやら、ここの草原地帯のmobは此方から攻撃を仕掛けない限り反撃してこないようなので、今、戦えない僕にとってはとてもありがたい。
僕はあのプレイヤー達から少し離れた川のほとりに腰を落としてある物を探し始める。
「……ないかなー。大体のゲームだと水辺とかに生えてるんだけどな〜、あ、合った!!」
そして、僕はお目当の物を見つける。
それは、《薬草》である。
教会で復活した僕は、失ったお金を取り戻す為に色々考え、一つの結論に辿り着いた。今現在、このゲーム内において最も効率のいい金策。それは、《ポーション》である、と。
先ほど、道具屋に寄った時にチラッと《ポーション》の値段を見たらなんと500G。これでは、ゲームを始めたばかりのプレイヤー達は《ポーション》が買えないのだ。
だから、死にそうになったら直ぐに街に戻れるようにみんな、入り口で戦っていたのだった。
「幸いな事に、僕は《ポーション》を作るのに必要な『錬金術』のスキルを取ってある。あとは、素材を集めるだけだ」
そして、その素材というのが《薬草》と《キレイな水》と《小瓶》である。
この内の《小瓶》は道具屋で二十個購入済みだ。一個、10Gだったからな!!
あとは、《薬草》と《キレイな水》だけだが、二つともこの草原地帯で手に入りそうだ。
……もしかして、僕の時代来た!?
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