表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
《生産系主人公のVRMMO活動記》  作者: 田嶋 ケイ
一章 【βテスト編】
2/9

第2話:【キャラクターメイキング】

ーー 『ようこそ、人の子よ!! 私は転生を祀る偉大なる女神である。汝、新たなる世界を望むか?』



僕の視界に映るのは見慣れたアニメのポスターが貼られた自室の天井では無く、古代ギリシャ風の際どい服を身にまとった金髪爆乳のお姉さんであった。背中に白い羽が生えてるから天使かと思ったのだが、どうやら神様だったらしい。それにしても、乳がデカすぎる。年齢制限は無かったはずなんだけど…。


転生の神様ってことは僕は一度死んだ設定の様だ。このゲーム、色んな意味でユーモアに富んでいるというか、なんというか……。

普通ならばここで『はい』と答えるのであろうが僕は敢えて逆を選ぶ。いつでもチャレンジ精神を忘れちゃいけない。



「いいえ!!!」



元気よく、僕は転生しないと言った。



『……ようこそ、人の子よ!!私は転生を祀る偉大なる女神である。汝、新たる世界を望むか?』


「……リピートかよ!?」



まぁ、予想はしていたけどね。よくある奴だ。『王様に魔王を倒してくれるか?』と聞かれて、『いいえ』を押すとひたすら同じセリフを繰り返してくるアレだ。

いつも思うのだが、魔王なんて物騒な奴と戦うことを強制するなんて碌な王様じゃないよな。そんな王様よりは魔王の方が寛大だと思うのは僕だけだろうか?


それは兎も角、僕は二度目のセリフではしっかりと『はい』と答えた。



『よかろう!!! では、汝、新たる種族を選択せよ!!』



僕が『はい』と答えると女神そう言った。


『はい』と答えるまで同じセリフを繰り返す奴がよくもそんな上から目線で物を言えるな。まあ、NPCだからしょうがないか。運営もまさか、僕みたいに捻くれた事を考える奴が居るなんて思ってないだろう。


僕がそんな事を考えていると僕の現実の身体が目の前に投影された。腰の周りに白い布を巻いただけの見た目は少し恥ずかしいな。

だけど、僕以外に誰かがいる訳でも無いし気にすることもないか。いや、でも……。



「それにしても、凄いな。ホクロの位置まで同じだよ」



多分、僕の身体をスキャンして投影しているのであろう。身体の細かい所まで再現されていて驚きだ。僕が生まれる少し前までは、VR技術なんて夢のまた夢なんて言われていたのに今や人の身体を完全に再現するに至るなんて人間の技術力の進化には感心しかできない。



「えーと、選択できる種族は『ヒューマス』、『エルフ』、『ドワーフ』、『ケットシー』、『デモキス』、『ドラゴニュート』の六つか。どれにしようかな?」



種族による補正で大きな違いはあまりない。スタートする街が違うくらいだが、どの街でスタートしても大した差はつかないらしい。

それならば、完全に見た目で選んで良いだろう。



「取り敢えず、『デモキス』と『ドラゴニュート』は論外だな。キモすぎる……」



全ての種族の見た目を確認した僕は速攻でこの二つの種族を除外した。

『デモキス』は頭から生える角が如何にも厨二病くさくてダサかったし、『ドラゴニュート』は全身が鱗まみれで気持ち悪かった。ドラゴンというよりは寧ろトカゲに近い。

だからといって、この二つの種族を選んだ人をどうこう言うつもりは毛頭ない。



「となると……消去法で『ヒューマス』と『エルフ』と『ドワーフ』と『ケットシー』に絞られた訳だけど、どれが良いかな?」


『ヒューマス』は普通の人間。『エルフ』はイメージ通りの耳が尖った人間。『ドワーフ』は逆に耳が丸くなった小さな人間である。所謂、小人。そして、『ケットシー』は猫耳と尻尾が生えている人間。余談であるが『ケットシー』は猫だけでなく様々な動物の耳と尻尾を選択できる様だ。獣人という事なのだろう。


ザックリと見た感じではぶっちゃけ、この四つだったらなんでもいい。それなら無難な『ヒューマス』を選ぶことにした。


キャラクターの見た目は自由に弄れるみたいだけど、説明書には自分のリアルな身体や顔からかけ離れ過ぎると動き辛くなったり、表情が歪になる恐れがある、って書いてあったからそんなに弄らず、髪の毛を銀髪にして目の色を緑に変えるだけに留めた。


銀髪ってなんか憧れるじゃん?



ーー『汝、その種族で間違えないか?』



例の爆乳女神様がそう言うと僕の前に青白い液晶パネルのような物がポップアップされた。最終確認を促すので『はい』をタップする。


どうやら、ここで一度作ったキャラは正規版に引き継がれて変更出来ないようだ。

そんなに、ぶっ飛んだキャラを作るつもりは無かったので僕には余り関係ないけど。



ーー『では、汝、ステータスを決めよ!! 今回は特別に10ポイントのサービスをしてやるぞ』



なんというか、つくづく上から目線な女神だよな……。一応、神様みたいだから間違ってはいないけど、少しイライラと来るものはあるよね。


そして、僕の前には先程と同じ様な液晶パネルが表示される。

ステ振りに関しては予めに決めておいたAGIとDEXに5ポイントずつ振り分けた。


このゲームは完全スキル制のゲームで従来のRPGゲームに多いいジョブなどの概念がない。その為、ステ振りの1ポイントも無駄にできない。なので、予めある程度の成長のさせ方を決めておく必要がある。僕は、RPGと言ったら生産職、と即答するほど生産職が好きなのでそれに適したステ振りにしたのだ。


ーー生産で天下を取ってやるぜ!



全てのステータスポイントを振り終えると同じ様に最終確認のパネルが浮かび上がりそのまま『はい』をタップする。



ーー『では、汝、スキルを選択せよ!!』



女神は変わらない上から目線な口調で言う。


もう、気にならなくなってきたな。僕も大人になったという訳だ。

取り敢えず、初期設定ではスキルを四つまで選ぶことが出来るが完全スキル制なだけあってスキルの量が半端ではない。軽く数百は超えているだろう。


流石にゲームの説明書には全てのスキルの一覧は載っていなかったのでここからは地道にスキルを選んでいく必要がある。

一見すると凄く面倒くさい作業だが、これもまたRPGゲームの醍醐味と言えるであろう作業だ。根っからのゲーマー気質の僕は面倒くさよりもワクワク感の方がずっと強い。



「いくら生産系とはいえ、武器スキルは取っておかないと序盤にモンスターと戦えないからな〜。武器はDEXが役に立つ、『拳術』か『弓術』だな」


DEXとは簡単に言うと、器用さにあたる。生産をするときに大いに役に立つステータスなのであげておいたが、武器を扱う際にも役に立つ。


拳か弓ならなんとなく遠距離の武器が良かったので僕は暫く迷った末に弓を選択した。


うーん、拳も捨てがたかったんだよ!!断じて遠目からコソコソとヒット&ランを繰り返す姑息なプレイなど考えていない……はず。



「あとは、生産系スキルを取るとして……お、『錬金術』もあるのか!!ポーションとかインゴット作るには必須みたいだから取りだな」



他のゲームだと調合とかに当たるスキルであろう『錬金術』を僕は迷わずに選択した。

このゲームで生産職をやっていく上でこれは非常に重要なスキルであり必須スキルだ。

何かを作る前には素材を加工しなければならない。それをする為のスキルが『錬金術』って訳だ。



「あと、二つか……。矢を作るには『木細工』が必要なのか? でも、鉄の矢を作るには『鍛冶』が必要なのか」



木の矢を作るには『木細工』。逆に鉄の矢を作るには『鍛冶』が必要だった。どっちにするか、正直、アタマを抱えるほど迷ったが、僕は『鍛冶』を選択する。

『鍛冶』スキルの方が序盤は何かと使えそうだったからだ。『木細工』はレベルが上がってから取得すれば良いだろう。



「ラストは『採掘』っと。これがないと素材集めらんないしね」


生産系とはいえ、序盤は自分で素材を集めないといけないのはどのゲームも変わらない。


これでスキル決めは全部終わった。また、例の如く確認のパネルをタップする。




ーー『最後に、汝の名を教えよ!!』



名前選択か……。ネトゲで一番迷うのが名前の選択ではないだろうか?


厨二過ぎても駄目だし、だからといって普通すぎるのもな……といった具合に迷うのだ。



そして、僕がこれまでに散々迷った挙句に導き出した答えは……。



「ーーミチル。ミチルでお願い致します」



……本名である。本名をただカタカナ表記にしただけである。別段、本名にする理由などないのだが使い慣れた本名の方しっくりくるのだ。



『ーーでは、行くがよい!! 汝に天の加護があらんこと!!』



その女神の言葉と同時に、僕の身体は光に包まれた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ