表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

我が家のゴーストハンター達

  あなたは霊が存在すると思いますか?

 もし世界中の人々にそう問いかけたら、どんな答えが返ってくるのかな。


「見た事は無いけど、いると思う」

「いる訳ないじゃん。バカじゃない」

「私には見えます! 貴方の後ろにも」

「あれはですね、科学的に解明される現象で…」


 きっと答えは千差万別。まあ、十人十色ってやつなんだろうね。

 見えなくても生きていく上で何の支障も無いし、見える人は大抵『生きてる人間の方が怖い』と言う。


 私自身は何も見えない。何も感じないし、何も聞こえない。

 だけど私の家族には、見える人間が2人います。

 それが父と姉。我が家の心霊担当。

 あ、ちなみに別に拝み屋とかはやっておらず、普通の職業に2人とも就いてます。


 姉はやたらと憑かれやすくって、耳が顔ぐらいの大きさに腫れ上がったり、全然別の人の顔になったり(←声や体型は姉のまま)、小さい頃から大変そうだったなー。

 よくメソメソ泣いて、『外は怖いから行きたくない』って言ったりしてた。

 そんな姉も今じゃすっかり強くなって、たまに『ぶっ飛ばされたいの?』とか『次は無いからな』とか、ドスの効いた声で言ってます。誰もいない場所に向かって。それが怖い。


 父は、姉曰く『私なんかが太刀打ち出来ないぐらいレベルが違う』らしいです。

 霊能力皆無な私には、優しい父でしかありませんが、姉にとっては違うみたい。

 幽霊との付き合い方や、逃げる方法などで盛り上がってる2人を見ると、私とは住んでる世界が微妙に違うんだな…と思ったり。


 でも聞き耳を立てていると、『目を合わすな』、『バックを取られるな』、『やられる前にやれ』など危険な言葉がよく出てきて、この人たちはゴルゴ13なの? って不安になります。


 今日は、姉から聞いた怖い話を書こうと思います。

 でも、先にお伝えしとくね。全然怖くないです。


 夏になると怖い話で大活躍するI川さんに弟子入りでもして、怖い話とはどういうものか、1から勉強してきて欲しい気持ちでいっぱいだけど…しょうがありません。

 父と姉にとっては、これが怖い話らしいし。


 あ、最初の質問の私の回答は、『見えないけど、存在すると信じてる』です。


 ではでは、実際にあった心霊話をご賞味あれ。



 ①走るお爺さん


 うちの姉がね、ある日、冷や汗をかいて帰って来ました。

「あのお爺ちゃん、超怖いんだけど!」って言いながら。

 何かと思うじゃない? だから聞いたのよ。


 それがね…


 学校からの帰り道、姉は信号待ちしていました。

 自転車にまたがりながら、周囲を何となく見ていたのですが、何か違和感が。

(あれ、そういえば今日って全然人がいないな)

 いつもはそこそこ人が多い大通りなのに、この日に限って誰ともすれ違わないのです。

 ですが、そんな日もあるだろうと深く考えず、ボーっと信号の色が変わるのを待っていたのですが、やっぱり何だか変な気がします。

(…そういえば隣で信号待ちしてるお爺ちゃん、さっきの信号にもいなかったっけ?)

 姉の隣には、小柄なお爺ちゃんが立っていました。

 身長は140センチ前後ぐらいで、うっすら頭皮の見える頭に、白髪を綺麗に撫で付けてらっしゃいました。背中は丸まっていて、シャツに毛織物のベストを着た、ごく普通のご老人です。

 好々爺というに相応しいお顔立ちで、怪しくも何ともありません。

(うーん、勘違いかな? お爺ちゃんだし、徒歩だもんね)

 話が脱線しますが、姉はかなりのスピード・スターです。びゅんびゅん飛ばして走ります。

 当たり前ですが、歩いているお爺さんが同じ速さで…なんて、まず有り得ません。

 なので深く考えず、ちょうど信号が青になったので、自転車を走らせました。

 何だか今日はついてないらしく、また信号で引っかかりました。何気なく横を見ると。

(……いやいやいや、おかしいでしょ。よく似た別人? いや、同じ服だ)

 先ほどの信号でご一緒してたお爺さんがいました。ニコニコ笑いながら。

(私が知らない抜け道でもあったのかな? うん、たまたまだよね!)

 姉は無理矢理ポジティブに考えると、青に変わった信号を颯爽と走り出しました。

 しばらく快調に走っていたのですが、またまた信号です。仕方ありません、そういう日もあります。

(って何でまたいるの!? どうやったのよ!!)

 姉よりも先に、信号待ちしてらっしゃる方がいました。お爺さんです。

 抜かれた覚えも無いのに、先に信号にいるお爺さんに、姉は恐怖を感じ始めました。

(何で? 何なの、これ。しかも、未だに人いないし)

 車は走っているのですが、周囲には人っ子ひとり見当たりません。

 危険を感じ始めた姉は、信号が青に変わるや否や、猛スピードで自転車をこぎました。

 幸いにも周囲には人がいなかったので、思う存分スピードを出しました。

 おっと、しかし信号は赤です。そして、お爺さんはもちろん居ます。

(………。こうなったら!)

 信号が青に変わりましたが、姉は自転車を動かしませんでした。

 お爺さんがどうやって先回りしているのか、見極めてやろうと思ったのです。

 青に変わってから…数秒でしょうか? お爺さんが歩き始めます。

(!?!?!?)

 お爺さんは歩いています。あまり足を地面から離さず、すり足のような感じで歩いて行きます。

 動作はどう見ても《歩いている》なのですが、尋常じゃない速さです。

 残像が残って見えるほどの速さで、気付いたらもう点ぐらいの大きさにしか見えません。

 姉は思いました。あれは人間じゃない…と。

 家までは大通りを真っ直ぐです。

 でも、お爺さんとこのまま一緒に進むのは怖かったので、姉は途中でコンビニに寄り、大通りよりも1本内側の道、信号の無い住宅街を通って帰って来たそうです。


「汗ひとつかかないで、ずっと同じ姿勢で、しかも笑顔。怖すぎでしょ!」


 この事がトラウマになって、姉はしばらく大通りを自転車で走れませんでした。


 危険を回避するには、違和感を感じたらすぐに対処することだそうです。

 皆様もお気を付け下さい。見た目が普通だからといって、中身が普通かは分かりませんから…。



読んで下さって、ありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ