表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/17

第2話 『思い出』

ワン・ラブ  第2話  『思い出』



「おかあさーん。さいごにとっておいたあかねのからあげがなくなちゃったよ~ おかあさんたべたでしょ?」

「知らないわよ。自分で食べたんでしょ。TV見ながらで食べたの忘れたんじゃないの?」

「そんなことないもん。だいすきな『からあげ』だいじにテーブルしたにかくしておいたのにぃ~」

「馬鹿ねぇ。テーブルの下なんかに置いておいたら『ラン君』に食べていいよって言ってるのと同じじゃない」

「きっとあなたの大事な『からあげちゃん』たちはもう『蘭丸君』のお腹の中よ。ふふっ」

「今日はもう『からあげ』残ってないわよ。また今度作ってあげるから今日は我慢しなさい」

「いやだよ~ あかね『からあげ』たべたいよ~」と言って立ち上がる。

 ソファの上で気持ち良さそうに寝そべっているシーズー犬の『蘭丸』の所に行き彼の体を大きくゆすって

「らんまる~!!あかねの『からあげ』かえしてよ~。それあかねのなんだから~」

 びっくりした蘭丸はソファの後ろに隠れてしまいでて来なかった。

「茜がそんな所に置いておくのが悪いのよ『ラン君』をせめちゃいけないわ」

「うゎーん。だってだってさいごにだいじにたべようとおもってったんだもーん」

 

 あの時は随分夜遅くまで泣き続けたの覚えている。

でも次の日からが大変だった。蘭丸が一週間以上も餌を食べなくなってしまったから…最初は油で揚げた鶏肉が原因と思っていたが獣医に見せても体に異常はなく原因がわからなかった。

 いつもなら大騒ぎして食べるおやつの犬用のお菓子にも反応しない。絶食状態が一週間を過ぎたころ母が何か思いついたように、

「もしかして『ラン君』茜のから揚げ食べちゃったこと気にしてご飯食べないんじゃないの?」

「そんなぁ~」

「だってあの時、茜しばらく『ラン君』の近くで泣いてたじゃない。きっとあれが堪えたんじゃない?」


 それを聞いてやるせなくなり、すぐにらんまるの横に寝そべって背中をそっと撫でながら、

「らんまる。あかねのこときにしてごはんたべてくれないの?ごめんね。あかねがわるかったんだ」

「らんまるはわるくないもんね。あんなところにおいておいた、あかねがわるいんだ」

「もう『からあげ』かえしてなんていわないからおねがいだからごはんたべて。ね?おねがい…」

 

 ぽろぽろと涙の粒をこぼしながらあの時泣いていた時間よりずっと長く謝り続けた。泣きつかれて眠ってしまったのか目を覚ますと目の前にはさっきまでとちがういつもの優しい顔があって

ぺろぺろと小さな舌で涙の痕を舐めてくれた。



 彼との思い出『から揚げとらんまる』ずっと忘れることのない思い出。


 優太達と手をつなぎ駅からスーパーへ向かう道すがら思い出すのは、

彼のとの大切な思い出…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ