表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/6

~五話 時には良い事もあるんだが…~

[五話 時には良い事もあるんだがな…]


俺の隣にはアンナ。斜め前にはもも。その奥には親方。そして目の前には第一回学年会議と書かれたA四サイズ位の紙。会議室の扉の後ろには遥と玲奈が壁に引っ付いていて、視線を感じる。

それは置いといて今日は学級委員が集まって会議をする学年会議だ。来月、臨海学校で行われる野外活動と今週、密かに迫っていた体育祭のことについて話し合う。運営として生徒会長の先輩も来ていた。

ももの緊張で震えた表情、後ろからの視線、目が会うたびに先輩にされる下手くそなウインクがあるからどうしても集中できない。


「英介さま?大丈夫ですの?」

「あ、あぁ!なんでもない。」


サラの事も実を言うと気になっていない訳じゃなかった。あんなに問い詰めても教えてくれなかった。それをさらにさらに問い詰めてもサラを傷つけるだけだからいつか、サラが自分から言ってくれることを期待して俺はこの事を忘れたつもりだった。

だけどサラの涙を思い出すと忘れきれない…いや!今はそんなこと考えてる余裕はない!会議に集中しろ!結局俺は最後まで集中しきれず紙に体育祭の進行なども全てアンナに書かせてしまった。すまない…



「やぁ!やぁ!変態くん!」

「いや、先輩…その呼び方は酷すぎですよ…」


いきなり、変態は酷い…確かにあんなことしたら変態呼びたくなるのは分かるが、俺だってしたくてしてる訳じゃないから心に突きささってくる。

とりあえずまぁ、タブレットのせいとはいえ失礼な事をしたことは間違いはないから謝っとくべきだな。


「先輩…あの、この前の件についてなんですけど…」

「本当にすいませんでした!」

「えーー??どうしよーかなぁー?」

「英介くんがしたことは犯罪だし、生徒会長としての権限で退学させることもできるんだよぉ?」


完全に弱味を握られた…

ひどい!ひどすぎる!確かに犯罪だよ!分かってるよ!でもさぁ!先輩なら許してくれると思ったし、俺が自発的にやった訳じゃないからそんな事言わないでくれよ…それに権限で退学させるなんてこの人も外見とは裏腹にかなりえぐいことを考えてるよな…仕方ない、慎重に話を進めよう。


「何が望みですか?」

「おぉ!さすがぁ!話がわかるねぇ!今から、そよかとデートしてよぉ!そしたら許して、もう二度とこの弱味を引っ張らないからさ!」


ラッキーすぎる…デートでこの場をしのげるなら完璧だ!だが、難関なのは既に四人が揃ってて変に動ごいて、バレでもしたらまた第四回戦がはじまってしまうからなんとか静かにかつ機敏に動かなければいけないな。俺はメモ帳をやぶり、四時半に寮のロビーと書いて密かに先輩に渡した。先輩はうなずき、また下手くそなウインクを俺に浴びせて会議室を出ていった。

俺も何事もなかったかのようにアンナと一緒にクラスに戻った。


「アンナ、ごめんな。全部書かせちゃって」

「いえいえ!英介さまのお役にたつことがわたくしの本意ですから」


時間は三時四十分。日が沈みかけていて、柔らかい夕焼けがいいムードを演出している。学級委員以外は皆、部活か帰宅しているから俺とアンナが二人きりでよりいっそう良い雰囲気だ。遥と玲奈とももは俺が帰る前に待ち伏せするためにと俺に聞こえさせようとしているかのレベルの声で話してたから丸聞こえだった。本当の本当に二人きりだ。

アンナは変にモジモジしているから俺もなんだか緊張してしまう…その時嫌な振動が胸に伝わる…


「Worning!~二十分以内にアンナとキスをしろ。」

「おぇえ」


いや、さすがに不味いだろ!雰囲気に流されて好きでもない人とキスなんてできるかよ…あ、今のアメリカで言ったら大抵の人に笑われるよ…とにかく、できるわけがない!と思ったがまぁ、さすが俺ひらめいたぜ。今回こそは失敗できない、失敗してこの後のデートにお仕置きをくらって許してもらえなくて退学にでもなったら色々な事が終わってしまう。


「アンナ、リップクリームとかってない?」

「え、えぇありますけど?」

「よかった!借りるよ!」


俺はアンナから強引にリップクリームを借りると、まるで自分の物のように俺は口に塗りたくった。

アンナて顔に出るタイプだったんだな。いつもの美白の肌は梅干しみたいに真っ赤になっている。


「え、え、え、え、英介さまがわ、わ、わ、わたくしとかんしぇちゅき、きしゅを//」

「ありがとな!」


間接キスは俺は気にしないタイプだ!むしろ間接キスなんて気にしてたらお互い同じ空間にいることすら不可能なんじゃないかと俺は思う。言い過ぎか?

かくして俺は乗り越えたはずだったんだが…


「Worning!~五分前です。」

「え、え、なんで?」


終わったぁ…お仕置きがデートに響かないお仕置きであることを願うことしか俺にはもうできない。

神はまたそうやって、俺を見捨てた。いや、詳しくはこんな形見を残したあの、ジジイのせいか…


「Worning!~英介さま、制限以内にクリアできませんでした。お仕置きとしてアンナとキスをしてしまいます」

「結果は変えられないのな…」

「何か言いましたの…?」

「いや、何でもない…俺がキス魔になる前に逃げろぉ…」

「え?」


や、や、やばい、本当に首から上がアンナの方へ行く。俺は何とか逆の方向に体重を掛けてこらえてるが時間の問題だ。アンナというとさっき言った意味がわかっておらず、頭にクエスチョンマークを浮かべて俺を眺めていた。その時、一気に引っ張られる力が強くなり俺は耐えられなくなり体を持っていかれた。勢い余ってアンナを押し倒してしまった。

痛ってて、俺はゆっくり目を開けるとアンナとの顔の距離が一センチぐらいしかなかなかったぞ!てかまて!俺のセカンドキスをタブレットとアンナに奪われてしまったではないか…くそぉ…アンナか…


「ガラガラ~わっすれーものぉーーって!?えぇ!?」

「失礼しました。どうぞ、続きを楽しんでください!!!」


ちょうど顔を離そうとした時、裏山が恐らく忘れ物を取りに戻ってきた。誤解を弁解する間もなく、裏山は走りさってしまった。その時の裏山の目には涙が浮かんでいた。とにかく、追いかけて弁解しなければいけないが離れられない。離した瞬間に頭を捕まれまた、キスされる。タブレットのお仕置き効果が切れきれてないせいもあってアンナに引き寄せられる。

何分ぐらいキスをしているだろうか…?かれこれキスだけをしていて四時になってしまった。無限に離れない気がした俺は覚悟を決めて、気を失うツボをアンナに打ち込むと、離れて急いで寮にもどっていった。


すぐ寮に戻ることができた。部屋にはいると三人分の靴がおいてあったが、恐らく遥と玲奈ともものだろう。どこにもいないということはシャワーで待ち伏せしていることを察した俺は服をもって、仮寮のシャワーを借りにいった。



四時四十分。わりと遅くなってしまったが、先輩はいっこうに来なく、結局、先輩が来たのは五時だった。言い訳が「時間を勘違いしてた」だかららしい。急いで損した。でも今日の先輩の私服が俺好みだから許そう。


「先輩、デートていってもどこにいくんですか?」

「そーだにゃー、ベタに映画とか行こーぜ!」


グットサインとナイススマイルが眩しすぎる。こんな風に言われたらどこにでもついていきたくなる。早速寮のロビーから一緒に映画館に向かう。他の奴等と遭遇しないかが心配だ。ロビーは三階で一回が出入口になっている、階段かエレベーターを使うか迷ったが結局エレベーターをつかった。ボタンを押すと五秒で来た。人は誰も乗っていなく、二人きりだった。

先輩は乗った瞬間から誘惑しているのかわからないがスカートをヒラヒラしたり胸元をしきりに触ったりしていた。

ごめん、先輩の小学生ボディじゃ全くセクシーには見えないよ、どちらかというと可愛いかな。

一階につくとなにも言わなかったことを怒ったのかプリプリしながら降りていった。

「国立凛桜高校前」という電車の駅が本当にある。もちろん、その駅から乗って街中に向かう。

電車に入ると時間帯的に人は少なく、席があきまくっていた。一番はしに座った先輩の隣のとなりに座ると怒りながら俺の隣に座ってきた。


「今日はデートなんだけど?」


余程本格的なデートを期待しているのだろうか結構キレぎみで言ってきた。時間、間違えてたくせに…


電車を降りて、数分歩くと映画館についた。道中はなにあの兄弟といったような視線を浴びせられた。

先輩ちいさいもんな…


「何の映画見るんですか?」

「実写版、キン○マンにきまってんだろ!」


いやいや!実写版それやってたの!?えぇ!?てか「決まってんだろ」て俺に拒否権ないの!?まぁ、いいや、ここで断って機嫌を損ねれば一巻の終わりだから我慢してキン○マンを見ようか…

先輩はチケットを、俺はポップコーンとソフトドリンクを買いにいった。ポップコーンを買おうとしたら、店員がまさかの裏山で驚いた。恐らく裏山の方はまだ気づいてない。

なにしてんだし!てか誤解を弁解しよう!


「キャラメルポップコーンのLサイズとコーラのLサイズとカルピスのLサイズください。」

「以上でよろ…!?しいでしょうか?」

「あ、あともうひとつ!さっきのアンナのやつは不可抗力なんだ!事故なんだ!誤解なんだ!泣かないでくれ!」

「事故でキスするか…?」

「俺がアンナに気があるように見えるか?」

「分かったよ…」


俺は裏山に先輩とのデートのわけを話し、ポップコーンとドリンクを受け取り先輩と一緒に劇場に向かった。途中で先輩はトイレに行きたくなるかもしれないからとトイレに行った。

こうゆうところも子供ぽいよな。座席はと…えぇ!とおいだろ!全く席すらちゃんと選べないのかよ、くそ、もぉ、決まったし仕方ないか…

上演が始まると最初から最後まで笑いが絶えなかった。アニメの実写版はわりと失敗が多いがこれは真逆で大成功と言っていいぐらいに面白かった。


映画館から出ると時間はもぉ八時近くだったので俺達はそのまま、キン○マンのことを話ながら帰っていった。

街中はビルが光っていて綺麗だ、電車から見るとよりいっそう綺麗に見えた。隣で疲れて俺の肩を使って寝ている先輩もなかなか綺麗に思えた。

デートに付き合うどころか今日は逆に付き合ってもらったてぐらいに楽しませてもらった。本当に先輩には色々救ってもらってる。起こすのはかわいそうだから俺は先輩をおぶって女子寮まで運ぶことにした。寮長に訳を説明して鍵をもらい、先輩を下ろすと俺はすぐに自分の部屋に戻った。


「今日は楽しかったな。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ