行動意欲の天秤
人の行動原理には「快感の追及」と「苦痛の回避」しかないけれど、どちらも単純に刺激されただけでは行動を起こすには至りません。
では、行動に対するブレーキとなっているのは何でしょう?
天秤をイメージしてみてください。
片方の皿には“欲”が載っています。欲の載っている側が下がれば人は行動を起こします。
ですが、反対側の皿に載っている“ある物”が非常に重いので、欲があるだけでは行動するには至りません。この、天秤の反対側に載っている物が心理的なブレーキです。
では、この「心理的ブレーキ」になっているのはいったい何でしょう?
答は「リスク」です。「不安」と言い換えても良いでしょう。もう少し具体的に言うなら、「損失や苦痛の予感」です。
お金や時間を無駄にするかもしれない。失敗するかもしれない。周りの人から馬鹿にされるかもしれない。
そういった様々な物を失うかもしれないという予感が「リスク」です。
行動するかしないかの心理を等式で表すなら、
欲 〉リスク
にならなければ行動するに至りません。
欲〈 リスク
の場合は当然の事ながら、
欲 = リスク
でもまだ行動を起こすには足りません。
実際に損失が発生するかどうかは問題ではありません。
結果として得られるかもしれない物が、対価として支払うであろうお金や時間や労力に見合うか、あるいはそれ以上の物であるという予感が得られなければ人は動く事が出来ないのです。
もう少し違う表現をするなら、
期待 〉不安
こうならなければ人は動き出す事が出来ないのです。
で、怒る人や怒り易い人というのは、極めつけにシンプルなこのロジックを丸ごと無視します。
まぁ、知らないとか理解できていないという言い方もできますが、怒る人がするのは、多くの場合はひたすら「避けたい欲を刺激する」事だけです。
なぜそんな事になってしまうのでしょう?
その答えは、多分次回以降にお話しすることもあるかと思います。