逆上の心理
怒るという感情のトリガーが『自分が大切にされてない事に対する不満』であることは「怒りという感情の正体」でお話しした通りです。
前回紹介した社長のような逆上しやすい人、突然怒り出す人は、常日頃から「大切にされてない」という不満を抱き続けている事になります。
それこそ、メルトダウン寸前の原子炉のような、爆発寸前の精神的な瘤を数え切れない程抱えているのです。
因みにこの社長、既にこの世の人ではありません。その末路がどんなに物であったかは、いずれどこかでお話しすることもあるかと思いますが、この社長の幼少の頃を直接知る方の話では、小学生位の年齢まではとても素直な良い子であったのだそうです。
それがどうしてこんな尖った人物になったのかはねぇ?
いや、
「父親に『てめえなんか殺してやる』ってスコップを振り回して追いかけ回された。」
なんていう逸話はご本人が自慢話みたいに喋りまくってましたからね。本人と付き合いがあった人達にはだいたい周知の事実です。
逆上する人に概ね共通するのは、“自分の存在価値を全く認めてもらえなかった"というトラウマなのでありましょう。
本人に自覚の無いことがほとんどでしょうが、自覚が有ったところでどうなるものでもありません。
人の心理において、自分の存在価値が損なわれたとか、ましてや失われた等と感じるのは大変な苦痛を伴います。
他者からの評価でしか自分の存在価値を量れない人にとって、誰かが自分の思い通りに動かないというだけで自分が軽く扱われたように感じてしまうのでしょう。
相手には相手の都合も事情もあるし、その人の自由意思もあるのだなんていうロジックは、逆上するような人の脳内にはありません。