俺達の
やっと書けました! 今回もBL要素は全くありません。
皆さん、初めまして。
俺の名は蒼司と言います。
先に自己紹介した藍とは、二卵性双子です。
普段は藍が器用に立ち回るので、彼女の方が姉に見えるそうですが、非常時などは俺の方が落ち着いて立ち回ることが多いので、兄に見えるらしいです。
これはこれで悪くないかなと思うので、普段の振る舞いを直す気はないですが。
さて、藍が言っていた通り、俺は無口です。
挨拶はしっかりします(最低限の礼儀だと、マムもアルフさんも口を揃えるし、マムの仲間達もこれは基本的な事でとても大切だからと言っています)が、日常のおしゃべり等にはあまり加わらないので、生意気だと見られてもいるみたいです。
ただ、俺が怒っている時は饒舌になるらしく(気にした事がないので、俺には分からないけど)、しかも笑顔で怒るので、これがかなりの恐怖を産んでいるようだと、前に目撃した友人は苦笑いしていました。
そう言われても、俺には分からないんだけどな……。
藍も首を傾げるだけだし。
でも、偶然その現場を目撃した父親は、その振る舞いは亡き母親にそっくりだと述懐していました。
そうなのかなと思っても、マムはそれを見た事がないので、こればかりは同意していいのかなと首を捻っていたけど、亡き母親が勤めていた職場の元同僚や上司は、ウンウンと力強く頷いていたのが印象に残っています。
母親は、藍も言っていたように、俺達を産んだ後亡くなりました。
素性を調べる前だったので、とうとう分からずに終いになってしまったのが悔しいと、ある時マムがポツリと呟いていた。
どうも、母親自身の素性とされていたのが全く違っていたらしく、それが判明した当時は誰かもがパニックに陥ったようで、特に母親が酷かったとの事です。
信じていた事が偽りだと分かったのですから、無理もない反応でした。
そして、父親と深い仲になった後だったので、今後の事も考えあぐねた時もあったようです。
おまけに、父親も理解できていなかった部分があった為、結局別れを選んだようでした。
だから、空港でドラマチックな展開を繰り広げられて、当面の間そこへは足を運べなかったと、遠い目で父親が語っていたけど、こればかりは自業自得なんじゃないかな。
あ、父親の事ですね。
当初は亡き母親の意向もあり、俺達の存在については知らせていなかったので、初対面時の印象はお互いに良くなかったのを覚えています。
聖司兄さん(マムと呼ぶのがこの人です)も、どこが良かったのかとため息をついていたし。
だから、繰り返しになりますが、俺達が彼の子供だと判明した時は無表情のまま大混乱した挙句、酷い言葉を投げつけそうになったので、聖司兄さんが問答無用で黙らせてました。
いやー、あの時の聖司兄さんも亡き母親の怒り方に負けず劣らずだったんじゃないかな。
おかげで、父親の職場の部下達からは嫌われていた時期もあったようですが。
今はそれなりに仲良くなっています。
さて、俺達の存在が判明した後、父親はこれからどうするべきか悩んでいました。
俺達が産まれた国では、様々な意味で両親の国の法律に準するルールが定められていたのもあり、それに従うなら、俺達は父親と共に暮らす事になりますから。
亡き母親の遺言があっても、血の繋がりはない聖司兄さんと共に暮らす事は難しいと言われた時は、不甲斐なく泣きました。藍も号泣したし。
ですが、父親の両親はさすがです。
父親の不器用さをよおく知っているだけに、法律上問題が発生してもすぐ対応できる様に準備を整えた上で、聖司兄さんへあの申し出を行なったのですから。
父親も無言で了解したぐらいですし。
ん? この点では、俺と父親は似ている事になるのか??
あ、父親の名前ですね。すっかり忘れていました。
誠実であれと願って、芦田誠二と名づけられたそうです。
ええ、マムと同音なので、一緒に暮らし始めた当時は、呼びかけるのも大変だったなぁ。
直ぐに順応した藍がものすごく羨ましかったぞ、本当に…!
ああ、一つ言い忘れていました。
父親の苗字は前述の通りですが、俺達はまだ片付いていない揉め事がある為、その苗字はまだ名乗っていません。
また、国籍の事もあって、現在は留学生の扱いになっています。
これも結構揉めたんですけどね。
でも、この件での父親の対応は立派でした。藍も見直していたくらいだし。
え? 普段は父親をどう呼んでいるのかって?
内緒です。皆さんのお好きなように想像なさって下さい。
最後に、聖司兄さんと父親の仲ですが、聖司兄さんの容姿は亡き母親に似ている部分もあるようで、父親が時折複雑な様子を見せていました。
ですが、混同していないので、まだいい方かなと思っています。
混同される方がキツイと思うし。
もっとも、父親自身が新しい家庭を持とうと決めたなら、俺達は聖司兄さんと一緒に行く道を選ぶけどな。聖司兄さんを一人にしたくないし。
藍も同意見なので、父親の前で言及した事はないけど。
でも、できれば聖司兄さんと父親がずっと一緒にいてくれる方がいい。
そう思っています。
名前を決めるのが難しい。しかも、間違えて覚えていたし。トホホ…