第八章-双子の提案-
亜里珠はセルから貰った飴玉指輪をはめた。
不思議とピッタリだ。
亜里珠が指輪が放つ不思議な光に魅入っていると、双子が話し掛けてきた。
『なぁなぁアリス。』
亜里珠は指輪の光から目を放す。
「ぇ…と、何?」
取り敢えずニコッと笑った。
「お前衣食住出来ないんだよね?」
(たぶん)リストが言った。
「ぅー…(そ…そういえばι)‥衣は…着るものは取り敢えずこのパジャマが‥」
「お前はこれからいつ戻れるかも解らないのにパジャマで過ごす気か‥?」
即座にセルに否定される亜里珠。
「それにさぁ…」
ローディアがちらっと亜里珠の胸元に目をやる。
「ばかっ!!!//(パジャマだからって下着までつけてないとは…//ι)‥ぉまっ!これ着ろ!!んで前閉めろ!!」
ローディアの一言で全てに気付いたセルリック。
全てを言い終わる前に自分が着ていたジャケットを亜里珠に渡した。
「へ…?ぇ?ぁ?ぅん。」
当の本人はよくわかっていない。
「ちッ!まぁいーや。アリスさぁ、どぉすんの。これから。[日本]への戻り方とか知らないんだろ?んで衣食住できないし。」
ローディアが舌打ちしてから言った。
確かに亜里珠はこの[ハサウェイ]という国、いや、ハサウェイという国が存在するこの魔法界に来たはいいが(いや、別によくはないが)もとの世界、人間界への戻り方を知らない。
飛ばされた訳も解らなければ戻り方も解らないという悲劇。
「どうしようって‥そりゃあ、‥‥‥‥‥‥ι‥‥‥‥どうしようも…ないねぇι」
亜里珠は考える。
もし、このまま帰れなかったら。
と、いうことは、もちろんこちらの世界に家なんてないし、衣はパジャマのみ、食に至っては物請いの様に食物を請う事になるやもしれない。
「(そ…そんなの嫌…ι)」
「じゃぁさあ。」
そういったローディアは《やっぱりそうだろうと思ったよ》と顔に書いてある。
そして恐ろしく美形な双子は続けた。
『俺等と一緒に居ればいいんでない?』
……
『はぁ…?ι』
亜里珠とセルの台詞は見事にハモった。
しかし先に口を開いたのはセルリックだった。
「おい馬鹿双子。何を言ってんだ? こいつが家から何から無いのは解ってるけどサスガに母さんや親父や姉貴にききもせずに… Σってか!!!! 俺等学校あんだろ?!」
「(…学校??高校??Σはっ!! 魔法とか教えてんのかなやっぱ!!)」
亜里珠はそんな呑気な事を考えている。
セルリックのことばを聞いて双子は結局この様な結果にまとめた。
『まぁ、取り敢えず母さん達だな。』
なんかことばにまとめるのって難しい‥ι