第七章-初体験とプレゼント-
「…はぁ。」
セルはため息をついた。
内心、今日ため息多いな…ι等と思いながらもため息が次から次へと出てくる。
「はっやくぅ〜♪(ドキドキワクワクvV)」
そう亜里珠が急かすとセルリックはポケットを何かないか漁った。
するとキャンディーが出てきた。
「ん゛…ι(何かあると思ったら飴…ιどーすっかな。)」
「(おい、どぉすんだよ。)」
…ぇ?
……止めて下さいよ、ナレーションに話し掛けるとかι
小説じゃなくなっちゃうじゃないですか。
「チッ!」
…
…セルリックは舌打ちをした。
「…」
無言でセルは手の中の飴玉を見て、ズボンのポケットから棒…
いや、おそらく杖、を取出しキャンディーに向けた。
「変われ。」
セルは落ち着いた声で、そう言った。
-唱えた-と言った方が良いのだろうか、どうやらそれが呪文の働きをしているのだろう。
杖先から光のようなものが飴玉に向かい放たれた。
“キンッ!”
とても飴が発する音とは思えない音を発しながら、光でコーティングされたキャンディーは、七色に光る不思議な透明感を持った石が付いた指輪に変わった。
「ひゃぁぁぁああああ!!!!スゴい凄いぃぃいぃい!!!!」
亜里珠はただひたすら感動している。
それこそ、千円札だと思った札が実は万札だった様に。
家賃一月4万のアパートに住み、出世した友達のマンションに呼ばれ、そのハイテクさに感動する様に。
極極極極極一般人の、一般人の中の一般人と言っても過言ではない程に普通な人間の亜里珠にとっては、魔法なんて、耳にしたことはあっても、実際目の前で見たことがないもので。
杖から光から呪文から、その石の七色の光から、挙げ句の果てには、普通なもののはずの飴玉までもが未知の物に感じられた。
亜里珠が目の前の指輪に目を奪われていると、
セルリックが、
「やるよ。」
と、双子の兄とは対照的な藍色の髪を揺らしながら言った。
亜里珠は、指輪の石に負けず劣らず、黒水晶の様な瞳を輝かせて
「ありがとぉvvV大切にするね!!!!」
と言った。