第十四章-帰路-
「あの〜…リスト君?ローディア君…?ι 激しく歩きにくいのですけども〜…。」
亜里珠の今の状態。
双子に両脇を抱えられている。
彼等は亜里珠よりも幾分背が高いので、かなり歩きずらい。
「アリス俺等が離してもまた勝手にどっかいかない?」
ローディアが言った。
リストを見ると反対側で猛烈に頷いている。
「んな…脱走犯みたいなι はぁ。大丈夫だよι皆についてくからι」
亜里珠は呆れてきた。
“パッ”“パッ”
亜里珠の言葉をきいて双子は腕を離した。
「トゥァッ?!」
“ズベシ!!”
瞬間、リストとローディア、ついでに三人の後ろを歩いていたセルの目の前から亜里珠が奇声と共に消え失せた。
『Σはっ?!』
流石兄弟。三人とも同じ反応である。
みな顔がポカーンとしている。
「…ったたたたι」
という、亜里珠の声が聞こえてきたのは彼等の足元。
三人が声がしたほうを見ると、亜里珠が砂埃を払いながら立ち上がる所だった。
「大丈夫かよ?ι」
「ってか何故転ぶ。」
左右から聞こえる声。
そして背後から一言。
「まぬけ。」
立ち上がった亜里珠は後ろをキッと睨み
「ふんっ。どーせ間抜けですよー。」
と言う。
亜里珠の特技は開き直りだということを、アルローディア家の三人は未だ知らない。
「はぁ…またパジャマ汚れちゃったよι。…Σってあぁあ!!!」
亜里珠は今更ながらあることに気付いた。
「(あたし、セルに上着かりたまんま家を去ろうとしてた!!!(驚))」
亜里珠は歩きながらイソイソとジャケットを脱ぎ、パンパンッと叩いてから、後ろを向きセルに返そうとした。
「はい、これ、借りたまんまどっか行こうとしてたι 有難う。」
ジャケットを渡してくる亜里珠にセルリックは驚く。
「(こいつは気付いてないのか?!)…いや、取り敢えずお前服屋行くまで着てろ。」
「え?何で?いいよ。コレ以上汚しちゃう前に返すよ。それにセル寒いじゃん。」
と、亜里珠は言うが、明らかにパジャマの亜里珠の方が寒々しい。
「あのな、アリス、」
セルは前を歩く双子をチラッと確認してから続けた。
「お前、パジャマだと透けるからコレ着てろっつってんの…。」
セルリックは赤くなり、気まずそうに言った。
亜里珠の方を向けない為に空を見てしゃべっている。
「…あいつらだってさっき俺が着せる前から気付いてたぜ?ι」
《あいつら》と言ったセルリックは双子の方に目を遣る。
一方亜里珠。
セルリックの言葉を聞き、真っ赤になりジャケットを即座に着る。
「ごめん…セル、やっぱ借りますι。」
気まずい会話と気まずい沈黙は、先をゆく双子に破られた。
「もうすぐ家だぞ。」
「母さん達もう帰ってるみたいだ。」
「あたし…これからどうすればいいのかな…」
亜里珠はボソッと呟いた。
それは隣を歩くセルリックの耳にも入った。
「…自分がしなきゃいけない事をする為にこの世界にとばされたなら、アリスがしたいことをすれば、なるようになんだろ。」
「(そうか…なんとか…なる…よね。)」
亜里珠はセルに言う。
「うん…!あたし、頑張ってみるよ!!!」
少女の笑顔は宵闇を照らす月明かり
明かりがあるから必ず影ができる
光が明るい程に闇は深い
影は
光に憧れ
光を嫉み
光を
蝕む事を
望んだ。
ゃっとぅpできましたー