第十章-Dad,mom!?一抹の不安-
双子が帰ってきてから鍵をかけていなかった扉が開く。
亜里珠は、防犯意識が薄いなぁ。等の思ったが、よくよく思い出してみるとこの家の近くには恐ろしく巨大な森しか無かった。
「ただいま。誰か帰ってきてんのか?」
そう言って入ってきたのはかなり身長のデカいおじさんだった。だが、亜里珠の父親の様に親父の中の親父というよりも、サスガ英語をしゃべっているだけあり、《ダンディー》という言葉がよく似合う出で立ちだ。
「あ、なんだお前ら帰ってたのか…っ…て、お客さん?今日和v黒目黒髪のお嬢さん。」
そう言ってダンディーなおじさんは亜里珠に手を差出し握手を求めた。
「ぇ?ぁ、ぇと、アリス・」
そこまで言った時、ダンディーおじさんの後ろに隠れていて見えなかったが、細身で茶色の長い髪はパーマをかけているおばさんが言った、は?!お客さんきてるの?!と叫んだ為、亜里珠は途中で止まってしまった。
どうやらおばさんはダンディーおじさんが大きすぎて亜里珠が見えなかったらしい。
同時に亜里珠もそのおばさんの存在に気付いた。
おばさんはおじさんを脇に押し退けズイっと亜里珠の前に出た。
「今日和vあら…あなた…珍しい容姿をしているのね!! えーと…?」
「あ、アリス・ナカミヤです。」
亜里珠はやっと今日何回目であろう自己紹介を果たした。
「アリスは誰のお友達かしら?あぁ…本当に珍しいわね…こんな漆黒の瞳…見た事ないわ…。綺麗ね…。」
おばさんは亜里珠の瞳に吸い込まれる様に見とれている。
「誰の…ぇえと…」
別に友達という間柄ではない事に困り助けを求めるようにセルリックとその双子の兄を見た。
『俺等とセルリックの友達さ。今日知り合ったんだ♪』
即座にそう双子が言ってくれた事が亜里珠はうれしかった。
異世界から来たといって、差別もしなければ偏見もせずに、それどころか親切にしてくれ、本当に有り難かった。
「へぇ。今日知り合ったのか。それじゃあ私たちも自己紹介しないと。私はオリバー、オリバー・アルローディアだ。」
ダンディーおじさん改めオリバーは言った。
「私はリサディール・アルローディアよ。リサで良いわv この悪ガキ達の母親よι(苦笑」
「悪ガキ…」
亜里珠はクスリと笑う。
隣ではセルリックと兄達が、お前が悪ガキだ・俺は違う、という言い合いをしていた。
「ところで、本当にアリスみたいな子初めて見たわ?大きな黒い水晶の様な闇をたたえた瞳に、白い陶器のような肌、それと…」
この黒い髪…と言ってリサは亜里珠の胸の辺りまである長い髪を手にとり、再び流した。
「何処の出身なの??」
素敵な笑顔で質問を投げ掛けてくる。
しかし亜里珠の出身はこの世界ではない。その事を知ったらリサはどんな反応をするだろう。その事を考えると答えずらかった。
「(でも…秘密にしといても進展しないしねι)…ぇーと、に、日本出身…。」
「日本?っ…てあの日本かい?」
オリバーは読んでいた新聞を下げた。
果たして、この人達は信じてくれるだろうか。自分は異世界から来たと思い込んでいるイタい子だと思いさけずむのだろうか。
そんな不安で亜里珠はいっぱいになった。