第九章-不審者事情-
「母さん達…ってι …ってかそういゃあ何処行ってんだよ。もう夕方だぞ?」
窓の外を眺めると、確かに夕日が沈んできていた。
だとすると、どうやら亜里珠が森の前で目を覚ましたのは昼過ぎだったらしい。
「(なんだ此の時差…?ι)」
するとリストが言った。
「今日あれだろ?シルフィアん家に入学式の予定とか持ち物とか。」
「入学式??高校??ぇ?リストとローディアとセルリックはもう学生なんじゃないの?」
と、亜里珠の素朴な疑問。
それに答えたのはローディアで。
「リスィールドと俺は学生さ? でもこのガキゃあ高等の新入生。」
亜里珠はまたも素朴な疑問。
「…リスィールドって誰?」
「リスィールド、略して」
「リスト。俺ね。ちなみにローディアはローフィリディアル。」
「くそ長くね?」
双子は息のあった言葉を交互に言った。
「へ…へぇ…ι」
亜里珠は絶対にローディアの本名は長すぎて記憶できないだろうと思った。
「まっ…まぁうん。わかった。ってか皆のお母さん達に無断であたしみたいなのをお家にあげちゃっていいのι?」
「まぁお前、言うなれば不審者だしな(笑」
グサッッッ!!
亜里珠は心に93のダメージ!!!!
「…っふ、…(泣」
亜里珠は心の中でお母さんとお父さんに謝った。
「(御免なさいお父さんお母さん、亜里珠はこの世に生まれ十七年、この歳で不審者になってしまいました(涙)」
遠い目をしている少女をそっちのけに、双子が窓の外を見、どちらともつかない声が
「あ、帰ってきた」
と呟いた。