明日を描く、この想い
明日を描く、この想い
あの日、あの時、僕の心は音を立てて崩れ去った。
何もかも失くした。
すべて、すべてが僕の心を乱していって、壊していった。
それを見てるしかなくて、精一杯の声を張り上げた。
心が張り裂けそうに痛くて、でもその痛さを和らげたくて。
何もできない僕には声を張り上げることしかできなかった。
そんなことで辛さがなくなるわけでもないのに。
悲しみは受け入れる必要があって、どうすることもできない。
泣き叫んで、わめき散らす。
一度見てしまった、あの地獄。
この記憶は失うことも褪せることも叶わない。
一生持ち続けるしかない、視覚に映った情報は僕の心を戒める。
自制なんてどこにもなく、ひたすらに嘆き、悲しみを振りまいた。
夜の帳は幕を下ろしていく。
侵食していく、暗い感情。
スポンジに吸収される水のように、心に黒い筋が流れ込む。
闇は瞳の輝きさえもどんどん失わせていく。
明日の色も瞳から消えてしまった。
一滴、心から落ちた雫は黒く、それでも本当は透明な涙だった。
いつか分かり合えるだろうと、その日を待ち続け。
必死に風を掻き分け、その時を探し続けていた。
何かを失うために生きてるんではないんだ。
何かを得るために生きてるんだ。
何かを得るためだけに生きてるんじゃないんだ。
何かを生み出すために生きてるんだ。
もう何もかも無理なんだ。
そう弱音を吐いて、立ち上がれなくても、諦めることしても、
変えていく。
光の中へと変わって行けるなら、光照らされる。
いくら瞳の色をなくしていたとしても、願い続ける思い、それは変わらない。
思いはいつか未来に繋がると、希望を与えると信じてる。
かすかに心に残る、大切だったあの人が教えてくれた。
あの人はまだ、僕の心の奥深くで生き続けている。
すべては必然で、偶然なんてちっともない。
それでも、その偶然の中で生まれたこの色は僕に希望を与えた。
もう一度、僕にも明日を色づけることができるから。
あざやかに変わってゆく。
いつの間にか、失くすことに慣れてしまった僕は、やっと手に入れたものでさえ留める術を知らずに失ってしまう。
この涙が枯れる前に僕が誰かから聞きたかったその言葉は、今は僕が誰かを救うために口にする。
希望を得、僕の中の光が大きくなった。
でも、同時に僕の中の闇も深くなった。
失くさないために闇が深くなる。
強い光に、闇は影になり、濃くなる。
たとえそれに気づいても、恐れるな。
必然であり、必至であるから。
もう、この瞳を開いたとしても、明るい未来を見られるはずだから。
光と闇の混雑するこの中で僕は僕だけの明日を描く。
この僕が見つけた偶然の色で。
手に取ったそれは光と闇。
今は持っていないけれど、優しい色をこの手に増やしていこう。
そしてまた、新しい色も加えて新しい未来を描こう。