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推しmy幼馴染  作者: こみやし
01.夏の始まり、私の決意

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01-06.買い物デート




「~♪」


 おっかい物~♪ おっかい物~♪ 楽し~♪ 楽し~♪ ショッピングぅ~♪



「あ! 響ちゃん!」


「!?」


 その声は!!



「えっ!? なんで逃げるの!?」


 くそぅ! なんで追ってくるんだぁ! 昨日の今日でぇ!



「待ってぇ~! 響ちゃぁ~ん!!」


 くっ! 人の名前大声で叫びやがって! 恥ずかしい!!



「足速っ!? 勉強出来るのに!? TOP10常連なのに!?」


 だからなんだ! このまま個人情報撒き散らす気かぁ!?



「響ちゃぁ~ん! 鳴宮 響ちゃぁん!!」


 おい! マジふざけんな!!



「夏空 奏ちゃんですよぉ~!! 待ってってばぁ!!」


 道連れ!? 自爆覚悟なのぉ!?



「奏!!」


 えっ!? この声は詩葉!?



「あ! 詩葉ちゃん!」


「バカ!」


「あいたぁ!?」


 今ゴツンとやったね。マジ痛そう。



「行くわよ!!」


 珍しい。詩葉がブチギレモードだ。口調が違うからわかりやすい。



 夏空さんは詩葉に引きずられていった。二人の姿はすぐに人混みに紛れて見えなくなった。


 私も早く離れよう……。


 ちくせう……。なんでこんな目に……。




----------------------




 ああ……。折角のお買い物が……。


 流石にあのまま続ける勇気は無かった。諦めて駅前のショッピングセンターからも逃げ出した。


 とはいえ困ったなぁ。今日を逃すともう夏休みまで休日が無いんだよなぁ。ちづ姉はともかく、琴音にプレゼントを渡すなら学校がある内の方が都合が良いのだ。いっそ電車にのってしまうか。流石に面倒だけどそうも言ってられないし。


 まあ別に、二人の誕生日が近いとかってわけでもないんだけどね。やっぱり親友に嘘を重ねるのもバツが悪いし。ちづ姉に感謝しているのだって事実だ。二人には私の誕生日が近いからそれを忘れさせない為とでも言えばいい。「期待してるぜ♪」なんて言って強引に押し付ければ、きっと笑って受け取ってくれるだろう。



 よし。行くか。


 電車に乗るのは久しぶりだ。一人で乗るのは初めてかもしれない。ちょっとドキドキ。言う程でもないか。



 さて。どこまで行けばいいんだろう。あんま詳しくないんだよなぁ。一駅か二駅くらいでどっか良いとこないかしら。大体最寄り駅で用事は済んじゃうし。琴音が偶然暇だったりしないかしら。いっそ琴音にはちづ姉に買う物を一緒に選んでって頼んでみるのも手だよね。そう考えれば別に夏休み中でも構わないわけか。ちづ姉にはいつでも渡せるんだし。


 取り敢えずダメ元でメッセージを入れておこう。内容はシンプルに「デートしようぜ♪」でいいかしら?



『行く!』


 二つ返事だった。それもわざわざ電話で。バイトはお休みかしら? それとも今日も夕方から?




----------------------




「お待たせ!」


「ううん。全然待ってないよ。急に呼び出してごめんね。バイトは大丈夫だった?」


「うん! 今日も夕方からだから! 十五時くらいまでは付き合えるよ!」


「そっか♪ それはラッキーだね♪ 琴音と遊ぶのも久しぶりだ♪」


「うんっ♪」


 あらあらまあまあ♪ はしゃいじゃってまあ♪



「行こ♪」


「あ、待って。今日はそこじゃなくて」


「電車に乗るの?」


「うん。時間大丈夫かな? どこに行ったら良いかはわからないんだけど」


「全然心配要らないよ♪ 全部私に任せて♪」


「ありがとう♪ エスコートよろしくね♪」


「うん♪」


 ふふ♪


 琴音と仲良く手を繋いで電車に乗り込んだ。



「ハンドクリームが欲しいんだよね?」


「うん。ちづ姉が喜んでくれそうなやつならなんでも」


「響ちゃんからの贈り物ならなんでも喜んでくれるよ♪」


「あはは♪ かもね♪」


 琴音はどうかな? 何が一番喜んでくれるんだろう。どうせならその辺も調査しておきたいな。



「~♪」


「楽しそうだね」


「もちろんだよ♪」


「よかった。琴音のそんな姿が見られたなら夏空さんに感謝してもいいかもだ」


「奏ちゃん? 奏ちゃんがどうしたの?」


「さっきね」


 かくかくしかじか。



「あぁ~……。ごめんね……」


「ふふ♪ なんで琴音が謝るのさ♪」


「だって昨日の電話で……」


「大丈夫。怒ってないよ」


「……本当みたいだね。なんだか響ちゃんもご機嫌みたい。どうして?」


「もちろん琴音が来てくれたからさ♪」


「……遠野さんが止めてくれたから?」


「お願い。話を聞いて」


「……そうだよね」


「琴音ぇ……」


「ううん。ごめんね。私も嬉しかったよ。響ちゃんに呼んでもらえて」


「そんな過去形みたいに言わないでよぉ……」


「ふふ♪ そんなわけないよ♪」


 よかったぁ……。本当に機嫌を損ねたわけでもないみたいだぁ。



「響ちゃんが今度はちゃんと呼んでくれたから」


「私だって一人で出歩くくらい出来るんだよ?」


「出来るも何も放っといたら一人で歩き回っちゃうでしょ。それが心配なんだよ。私も白鞘先生も。それに遠野さんも」


「詩葉の事はもういいでしょ。折角のデートなんだから」


「これって浮気かなぁ」


「なんでそうなるのさ。私と詩葉はただの幼馴染。付き合ってなんかいないってば。琴音まで噂を真に受けないでよ」


「ふふ♪ そうしたら私は響ちゃんの愛人さんになっちゃうのかな♪」


「やだよ。琴音にそんな不誠実な真似出来ないもん」


「じゃあ本命さんにしてくれるの?」


「もう。からかわないでよ」


「いつもの響ちゃんなら乗ってくれるのに」


「そんな気分じゃないんだってば」


「私とデートしてるのに?」


「琴音のせいでしょ。琴音が変なことばっかり言うから」


「やっぱり遠野さんの事が気になるんだ」


「気にしてるのは琴音の方じゃん」


「うん。とっても気になってるよ」


「昨日は余計な事言ったって」


「味方だとも言ったでしょ」


「私の為だって言いたいの?」


「うん。だって響ちゃん、仲直りしたがってるもん」


「だとしてもだよ」


「わかった。もう言わない。だから響ちゃんもね。じゃないと気になっちゃうから」


「考えるなって?」


「うん。だって今日は私とデートなんでしょ?」


「わかった。約束する。今日はもう詩葉の事は考えない。ちゃんとデートに集中する。暗い顔も寂しい顔もしないよ」


「うん♪ それでよしだよ♪」


 今日の琴音は少し変だ。まるでいつもと別人みたいだ。普段なら恥ずかしがって口にしないような冗談まで言うんだもの。それだけ浮かれてくれてるって事なのかな。それとも夏空さんと同じ気持ちなんだろうか。本気で私と詩葉を仲直りさせる為に首を突っ込み続けるつもりだろうか。


 ……私はどうしてそれを嫌だと思うんだろう。素直に助けを求めてしまえばいいのではないだろうか。夏空さんみたいな禄に関わりもない相手ならともかく、親友の琴音が助けてくれるって言っているんだ。何も問題なんて無い気もする。



 けれどやっぱり違うんだ。詩葉と私の間に誰かが入り込むなんて認めちゃいけないんだ。私の声が届かないのに、他の誰かの呼びかけで振り向いた詩葉となんて、素直に仲直り出来る筈もない。きっと私は詩葉に酷い言葉を浴びせ掛けるだろう。そんな未来が容易に想像出来る。だから私は自分の力で詩葉を振り向かせなきゃいけないんだ。


 琴音にもそれをわかってもらわないと。琴音にはむしろ、夏空さんを止めてもらうくらいでないと困るんだ。私の味方だって言うならそうしてほしい。きっと大丈夫。琴音ならわかってくれる筈だ。……私がちゃんと話せればの話だけど。



「着いたよ♪ 降りよ♪ 響ちゃん♪」


 いつもと様子の違う琴音に手を引かれて、駅のホームへと降り立った。

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