04-10.遊園地デート
「~♪」
今日は遊園地デートだぜ♪ しかもまたダブル♪ 今回の同行者はママズだぜ♪ つまりはいつもの家族デート♪
これが終わったらママズはまたパパズの待つ海外に帰ってしまうのだ。めいっぱい遊んでもらうとしましょうか♪
「奏と園崎さんまた喧嘩したって」
「え? マジ?」
プールデートであんなに上手くいってたのに?
「あ、ほんとだ。メッセージ来てた」
「対応しておいて」
まるで事務仕事だ。
「え~っと……なになに……なにこれ」
「さあ」
喧嘩の原因も現在の状況も何も書かれていない。ただ奏がどうしようどうしようと言っているだけだ。意味わからん。
「琴音にも聞いてみるかぁ……」
「後にして」
どっちやねん。
ちょろっと送っとこ。どうせ今日は部活かバイトだろうし琴音からはすぐに返事も来ないだろう。
ブーブーブー!
「え!? 着信!?」
「はぁ」
ごめんて。
「どしたん、琴音」
『響ちゃん!! 奏ちゃんったら酷いんだよ!』
さいでっか。
『聞いてよ! 昨日ね! 寝る前に電話してたらね!』
悪いけど、これから私と詩葉はデートなんよ。話聞くのは後でもいいかい? って聞いちゃあかんよね。やっぱり。
「うん……うんうん……ああ。うん。そうだね。奏はね」
『~~!! ~~!!!! ~~~』
「あ~。それは怒るよね。よしわかったよ。私から奏でに」
『~~!』
「必要ないの? そう? そっか。う~ん。でもさ」
『~~~~~~~!!!』
「あ~。はいはい」
長い……。琴音らしからぬ長電話だ……。
「……」
詩葉がジト目だ。これはマズい。非情にマズい。
「ごめん、琴音。実は私今外でさ。あ、ううん。迷惑だなんてことはなくてね。うん。また夜に話聞くからさ。そっか。じゃあ……また明日だね。明日は忙しいの? なら次の休みにさ。またうちで勉強会しようよ。うん。奏も誘っておくからさ。その時に一緒にね。うんうん。大丈夫だよ。おっけ。任せといて。うん。そこは伝えないから。うん。じゃそういうことで。またね。バイバ~イ」
はぁ……。
「お待たせしました……」
「お母さんたち行っちゃったわ」
「二人で回れるね♪」
「……」
「ごめんて」
詩葉の機嫌が直るまでにも更に暫く時間を要した。
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「次あれ」
「うん♪ 行こう♪」
詩葉と手を引き引かれあいながら遊園地内を練り歩く。
「後で絶叫系も挑戦してみない?」
「やだ」
「そっか。じゃあ次はこれかな♪」
「それも絶叫系」
「あれ? そうだっけ? けど大したことないでしょ? 最後に滝から落ちる程度じゃなかった?」
「それでも嫌」
「そっか。じゃあこっちは?」
「ホラーもなし」
「そんな怖くないと思うけど」
「響みたいに鈍ちんじゃないの」
「はいはい。そうだ♪ チェロス食べようよ♪」
「食べる」
ふふふ♪ だと思ったぜ♪
「もうすぐお昼だね。ママたちと合流しよっか」
「うん」
詩葉は付け耳を外してバッグに仕舞った。
ふふ♪ まだ外さなくてもいいのに♪ 浮かれてる姿を見られるのが恥ずかしいのね♪
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「詩葉~!」
「響~!」
ママズが手を振っている。丁度向こうも探しに来てくれていたようだ。
「二人はどこ回ったの?」
「えっとね~♪」
凄い。ママたちの方が多く乗ってる。私たちよりも随分と燥いでいたようだ。
「詩葉ちゃん♪ はいこれ♪」
ママが自分の頭に付けていた付け耳を詩葉の頭に付け替えた。
「やっぱり似合うわね♪ 可愛いわ♪ 詩葉ちゃん♪」
「ママ。詩葉は私の恋人だよ」
二人の間に割り込んだ。
アイドルへの接触はご控えくださいな♪
「あら♪ うふふ♪ ごめんなさ~い♪」
浮かれちゃってまぁ。
「大丈夫? 詩葉ママ疲れてない?」
うちのママ子供みたいだから。付き合うのも大変でしょ。
「大丈夫♪ ありがとう♪ 響ちゃん♪」
詩葉ママが私に手を伸ばすと、すっと詩葉が間に入ってきた。詩葉ママは構わずに、そのまま詩葉を抱きしめた。
「やめて。恥ずかしい」
「ふふ♪ ダメよ♪」
詩葉ママも結構な浮かれ具合だ。これなら心配は要らなそうだ。
「お昼食べたらまた別行動しましょうか♪ 夜のパレードの時にまた会いましょう♪」
「え~。折角ママたちと遊べるのに」
「もう。ダメよ、響。いい加減お母さん離れしなさいな♪」
「こんなところで言い出さなくてもいいじゃん」
「少し前から言ってるじゃない。あなた止めないとお風呂やベッドにまで入ってくるんですもの」
「響」
「詩葉まで一々怒らないでよ」
もう。しゃあないな~。
「じゃあ詩葉。午後もいっぱい楽しもうね♪ 二人で♪」
「うん」
よかった。すぐに機嫌直してくれて。
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「本気で乗るの?」
絶叫系は嫌だって言ってたのに。まさか詩葉の方から誘ってくるなんて。
「吊橋効果って知ってるよね」
「まさか狙ってるの?」
私がその程度でドキドキするかなぁ。
「指絡めていいよ」
「やったぜ♪」
それは素直に嬉しい♪ 接触面積なんてなんぼあってもいいからね♪
「~♪」
「響ってキス魔だよね」
脈絡ないね。これは誘っているのかしら?
「響ママにもしてるの?」
「まさか。流石にそれは幼稚園で卒業したよ」
「嘘。小学生までしてた」
「覚えてないよ。今の私がキスしたいのは詩葉だけだよ」
「どういう気持でしてるの?」
「マジでこの話題続けるの?」
周囲見てみぃよ。アトラクションの列に並ぶ人でごった返しているじゃない。
「誰も気にしてないよ」
「まあアベックとか多いけども」
けどなぁ。詩葉は美少女だからなぁ。目立つんだよなぁ。
「答えて」
「どういう気持ったってなぁ~」
なんだろう? 安心感? それは後の話だよね。そうじゃなくてする前だよね。詩葉が聞きたいのって。
「マーキング?」
「響にとってのキスは自分のものって示す為の行為なの?」
「が近いのかなぁ~」
後はなんだろう……。
「なら今ここでしてみて」
「……本気?」
「流石の響でも緊張するでしょ?」
「……まあ確かに」
「ほら。していいよ。ずっとしたがってたじゃん」
「……よし」
やるか。
「目は瞑らないの?」
そんなにガン見されると流石にやりづらいんですけど。
「気にしないで」
私の反応を見逃したくないらしい。
「やっぱりやめとこうよ。マナー違反だよ。公共の場だからさ。近くに子供だっているんだし」
「怖気付いてるの?」
「うん。正直」
「その感覚を忘れないで」
詩葉は視線を逸らしてしまった。どうやらチャンスを逃したらしい。
「この乗り物って結構暗かったよね」
「いいよ。いつしても」
想像したらちょっとドキドキしてきた。これが恋ってやつなんだろうか。




