04-09.プールデート
「来たぜ♪ プールデート♪」
「響、燥ぎすぎ」
「詩葉♪ めっちゃ似合ってる♪」
ぐへへ♪ 私の彼女美人すぎ♪
「もう何度も言われた」
「おかしいなぁ~。私はまだ一度も言われてないんだけどなぁ~。ちらっ♪」
「奏と園崎さんは?」
ちくせう。照れ屋さんめ。
「二人も来てる筈だけど」
どこじゃろ。先にプール入って遊んでるのかな? こんなに人が多いなら、変な考えは起こさないで素直に入る前から合流しておけばよかった。
「まあいいや。暫く二人で遊んでようよ♪」
そのうちバッタリ会うかもだし♪
「あ! 響ちゃ~ん! 詩葉ちゃ~ん!!」
くそう! 見つかったぁ!
「なんで逃げるのぉ~~~!!!!?!?」
つい反射で。
「響。走ると危ない」
詩葉ちゃんに止められた。しゃあない。
「やあやあ♪ 奏♪ 琴音もいるね♪ 二人とも似合ってるよ♪ 可愛いね♪」
「……」
いひゃい。
「響ちゃんと詩葉ちゃんもね♪」
「……」
気付け奏。琴音がジェラッてるぞ。どうせ奏のことだからこういう時だけ口にしてないんでしょ。間の悪い子だから。
しゃあない。助け舟を出してやるか。
「琴音の水着は奏が選んだの?」
「うん♪ 可愛いでしょ♪」
「そうだね。"可愛い水着"だね」
琴音ってやっぱり奏のこと好きなんでしょ? 少なくとも意識はしてるよね。でないとこんな風に拗ねないだろうし。
「……響は水着が好きなの?」
なんだい詩葉ちゃん。もしかしてそれは援護のつもりなのかい? ちょっと回りくどいくせに直接的過ぎないかい? 矛盾してるよね。なんでだろ。
「詩葉が好きなんだよ♪ ドキドキしちゃうくらい♪」
「嘘つき」
詩葉の耳に口を寄せて声を潜める。
「(なら触ってみる? ほら♪ 響ちゃんのお胸だぜ♪ 今なら触り放題♪ もちろん詩葉限定♪)」
「っ!?」
バッと離れてしまった。耳まで真っ赤だ。可愛い。
「うふふ♪」
「「……」」
なんで二人まで照れてるのさ。
「ほらほら♪ 奏♪」
いいかげん気付け♪ 照れてる場合じゃないぜ♪
「琴音ちゃん!」
「ひゃいっ!」
いきなりガっていったね。琴音も肩を掴まれたくらいで大げさなくらい驚いたね。
「とっても可愛いよ! 琴音ちゃんが!!」
「あ、ありがとう!」
によによ♪
「恥ずかしい」
「逃さないぜ♪」
まったくもう♪ 詩葉を一人に出来るわけないでしょ♪ すぐナンパされちゃうに決まってるんだから♪
「早く離れるよ」
そうだね。流石にちょっと騒ぎすぎたね。
「行こ♪ 流れるプール♪」
「普通スライダーからでしょ?」
詩葉、楽しみにしてたもんね。知ってるよ。私がベッドに入ってからも一人でホームページ観てたの。うふふ♪
「あれ乗ろ! 二人乗りのやつ!」
「うん」
「しっかり捕まえててね♪」
「違う。響が後ろ」
「だぁ~め♪ 私は詩葉に抱きしめられたいの♪」
「やだ」
「やだじゃな~い♪ どこ触ってもいいからさ♪」
「バカ」
「ほら♪ 早く行こ♪ 奏たちも♪」
詩葉に手を引かれて先を歩く。奏と琴音も付いてきた。
「……奏ちゃんが前だからね」
「え! いいの!?」
奏ぇ……。このお子ちゃまは……。
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「「はぁ~♪ 遊んだ遊んだ~♪」」
「子供みたい」
そういう詩葉もね。さっきまでスライダーで燥いでたじゃん。
「お昼、お弁当作ってきたの」
「え? 奏が?」
「がってなにさ」
ちょっと意外で。
「やったじゃん琴音♪」
「あ、あはは~」
なんでそういう笑い方するかな?
「あ! でも! 皆の分だよ!」
どうしてそこで日和るんだ!
「実は詩葉も作ってくれたんだぁ~♪ 詩葉のハンバーグってとっても美味しいんだよ♪」
「空気読んで」
だからじゃん。詩葉が自分の分を引っ込めそうだったし。奏は奏で土壇場になって怖気づきかけてるし。
「じゃあ取りに行ってくるね」
「響と園崎さんは場所取り」
「「了解♪」」
二組に別れて行動を開始した。
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「二人も良い調子じゃん♪」
一時はどうなることかと思ったけど♪
「え~♪ そうかな~♪」
ふふふ♪ 満更でもなさそう♪
「そういう響ちゃんこそ♪」
「そりゃもう♪ 私と詩葉は相思相愛だからね♪」
「まるで私たちが違うみたいに」
「え?」
「え?」
「「……」」
よし。聞かなかった事にしてやろう。武士の情けだ♪
「けど響ちゃんってさ。あんまりガツガツしないよね」
「ガツガツ?」
「なんというかね。自然体って言うかさ」
「ああ。欲情してないって言いたいんだね」
「よくっ!? そういうとこだよ! そういう言葉をさらっと口に出来ちゃうところだよ! 普通もっと意識するものでしょ!」
「それが私の悩みなんだよ」
「どういうこと?」
かくかくしかじか。
「そっかぁ……」
「まあそんなに深刻にならないでよ。詩葉には悪いけどさ。私はあんまり気にしてないんだ。今の関係が心地良いし」
「ダメだよそんなの!」
びっくりした。急に大声出さないでほしい。
「あ、ごめん……」
「ううん。今のは私が悪いんだよね。ごめんね。やっぱり少し強がってる部分もあるの。早く詩葉の期待に応えてあげたいんだけどさ。その取っ掛かりも掴めなくて」
「そっか……響ちゃんも……」
「恋愛って中々思い通りにはいかないよね」
私が恋愛を語るのは烏滸がましいのかもしれないけれど。
「そうだね」
「けれどそんなところが楽しいとも言うよね」
「そうかも」
ふふ♪ 琴音も青春してるね♪ 思い悩んでなくてよかったよ♪
「あの買い物デートからよく巻き返したよね。奏も」
「あ、あはは~……」
「によによ♪」
「言わないよ!? 何があったのかなんて教えないよ!?」
「え~♪ いいじゃん♪ 参考にさ♪ 私の悩みを解決する為と思ってさ♪ 二人の恋愛事情も事細かに聞かせてよ♪」
「くっ! それはズルい!」
「二人が付き合うのも私のお陰なんだからさ♪」
「違うもん! 奏ちゃんが頑張ってくれたからだもん! 響ちゃんは引っ掻き回してただけでしょ!」
「ふふふ♪ 遂に否定しなくなってきたね♪ 頑張れ奏♪ もう一押しだ♪」
「何が?」
「奏ちゃん!?」
「どうしたの琴音ちゃん? 真っ赤になって。響ちゃんにセクハラでもされたの?」
「そ、そうなの!」
「響」
「待って! 違うの! 確かに広義で見ればこれもセクハラかもしれないけど! 身体の関係は無かったのぉ!」
「ギルティ」
「待って! 話を聞いて! 詩葉様ぁ!」
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「行っちゃったね」
「悪は成敗されたね」
私の琴音ちゃんにセクハラだなんて。響ちゃんにも困ったものだ。たっぷり叱られてしまえばいい。
「戻ってこないね」
「気を遣われたのかな」
琴音ちゃんと二人きりだ。響ちゃんと詩葉ちゃんは暫く待っても戻ってこなかった。
「食べてよっか」
「どうぞ。大したものではございませんが……」
「ふふ♪ 大丈夫♪ 美味しそうだよ♪ いただきます♪」
「……どう?」
「美味しいよ♪ ありがとう♪ 奏ちゃん♪」
「こちらこそ♪」
よかったぁ~! 緊張したよぉ! 心臓バックバクだよ! 沢山練習した甲斐があったよぉ~!
「……夏休みが終わってもさ。作ってもいいかな。お弁当」
「え!? いいの!?」
「う、うん! 決まり♪」
「ふふ♪ 楽しみ♪」
「えへへ♪」




