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04-07.約束




『今日はごめんね、琴音。奏のこと』


 送信っと。



『許さない』


 あうち。



『許さない』

『許さない』

『許さない』


 ひえっ!?



『……冗談? ……だよね?』


『……』


『ごめんなさい……』


『余計ややこしくなった』

『ああなった奏ちゃんは本当にしつこいのに』

『全部響ちゃんのせい』


『ごめんなさい……』


『許さない』

『許してほしければ』

『奏ちゃんを諦めさせて』


 ……いったいどうすれば。


『一つ簡単な方法がある』


 え?


『響ちゃんが私と付き合って』


 は?


『そうすれば奏ちゃんも諦める』


 えぇ……。


『詩葉が……』


『知らないよ』


 そんなぁ……。



「……」


「ねえ、詩葉」


「なに?」


「琴音が……」


「……ダメ」


「……フリだよ?」


「奏をこれ以上傷つけるのは許さない」


「ごもっとも……」


 どないしよ……。



「何もかも甘く見た響のせい。これもいい薬。奏と園崎さんには悪いけど」


「はい……」


「響がなんとかして。私は知らない」


「もう少し甘やかしてくれても……」


「よくそんなことが口に出来たよね」


「……ごめんなさい」


「響が解決して。それで響も少しは恋が理解できるから」


「はい」


「配信始めるよ。夏休み中は毎日配信するよ。十万人。夏休み中に達成するから」


「うん。了解」




----------------------




「てなことがあってね」


「なんでこんな爺さんに相談してんだ? 響ちゃんよぉ」


「原さん人生経験豊富そうだなって」


 これは友達の事なんだけどと前置いて相談してみたのだ。



「だからってJKの恋がわかる顔に見えるんか?」


「……ううん」


「だろうよぉ」


「だよねぇ~」


「……」


「……」


「ま~……あれだ。これは一般論だがな」


「うん」


「期限を決めるのが手っ取り早いわな。そういう時は」


「きげん? タイムリミット?」


「そうだ。例えば夏休み中だな。それまでに口説き落とせなければキッパリ諦める。そんでもって元の関係に戻る。そう約束させちまうんだ。でねえとズルズルいっちまうからな。人ってのは。往々にしてな」


「夏休みの宿題みたいな?」


「そうだ。夏休みの終わりに慌ててやるのは明らかにそいつの落ち度だ。そんで出来が悪けりゃ自分のせいだって諦められんだろ。逆に夏休みいっぱい全部使って打ち込めりゃあ相応のもんも出来上がる。そいつで勝負してダメならそれはそれで諦めもつくってもんだろ。或いは採点するやつが努力を認めてくれっかもな。それもこれも期限があるからだ。人間は期限のねえもんを頑張れねえ。そういう風に出来てんだ」


「ゴールが見えないのは辛いよね」


「おうよ。響ちゃんも心当たりがあるみてえだな」


「うん。まさしく」


 あったよ。だから私は詩葉と別れようとしたんだもん。



「約束ってのは期限があるから成立するもんだ。期限のねえもんを約束とは言わねえんだ。別にそれが一生であっても構わねえ。一生愛すると誓うから結婚って約束が成立すんだ。一生愛するって覚悟を持つから気持ちが相手に届くんだ。誰も今日だけ愛するなんて宣う奴と結婚したりはしねえだろ」


「ふむふむ」


「そんでもって断る方もいつまでもは続けたくねえだろ。相手と友達でいてえんなら尚更な。だからまあ、先ずは約束すんのが先決だな。細かい作戦はその後だ。こういう場合の期限ってのは長すぎてもダメだぜ。夏休みか、今年度、或いは在学中くらいが限度だ。それ以上は引き延ばせねえし、引き伸ばすべきじゃねえな」


「うん」


「どうだい? こんなんで参考になったかい?」


「うん! ありがと! 原さん! とっても助かったよ♪ やっぱり頼りになるね♪」


「そうかい。なら頑張んな」


「うん! またね! 原さん! 本当にありがとう!」


「おう。またな」


 ……。



「……まさか響ちゃんがなぁ。女の子の成長ってのは早えもんだなぁ。頑張れよ。響ちゃん」




----------------------




「おかえり」


「ただいま♪ 詩葉♪」


「どこ行ってたの?」


「ゲーセン」


「は?」


「ちょっと気分転換にね」


「……呑気ね」


「詩葉はずっと忙しそうだね」


「当然でしょ」


「もうちょっと待っててね。後で手伝うから」


「……」


 さ~て。琴音になんて送ろうか。



「……ねえ、響」


「な~に~?」


「もう行かないで」


「え? どこに?」


「ゲー……どこにも」


「……え?」


「ここに居て。私の側に居て」


「……」


「……響?」


「ふふ♪ あはは♪」


「……ちょっと」


「もちろん♪ もうどこにも行かないよ♪ ずっと、ううん♪ 一生詩葉の側に居るよ♪」


「……一生は無理。配信中は戻るし」


「一緒にすればいいじゃん♪」


「まだ無理。準備が済むのは夏休み終わる頃」


「私の部屋を魔改造するの?」


「ここは私の部屋。響のものは私のもの」


「なら詩葉の物はいらないけど、詩葉だけは私に頂戴」


「私のものは私のもの」


「だから物は要らないって。私が欲しいのは詩葉だけ」


「もちろん私も私のもの」


「なんでよ。ただのジャイ◯ンじゃん」


「それが響のためだから」


「意味がわからないよ~」


「私が幸せなら響は幸せだから」


「それはそう」


「だから」


「なにがさ」


「黙って。忙しい」


「おーぼー」


「……」


 こんにゃろう。ちゅーしちゃうぞ?

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