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04-06.お茶会




「ねえねえ♪ 今度デート行こうよ♪ この四人でさ♪ ダブルデート♪」


 今日の勉強会が終わり、皆でお茶とお菓子を楽しんでいると、テンションマシマシの奏が食い気味に提案してきた。



「デートなら行かないよ」


 琴音も少しは落ち着いたようだ。元々奏ってこんなんだもんね。恋云々が加わってもあまり変わんないもんね。ある意味では。



「そんなこと言わずにさ~♪」


「なし崩しにしようったってそうはいかないよ」


「チャンスもくれないの?」


「今後は言葉に気を遣うし、二人きりにもならないよ。身の危険を感じるもん」


「え~」


「まあまあ、奏。あまりしつこくするものじゃないんだぜ」


「はい! 先生!」


 ふふふ♪ 奏は素直な良い子だね♪



「響が言えたことじゃない」


 なんかすっごいジト目だ。そんな顔も可愛いぜ♪ 詩葉♪



「もう響ちゃんと奏ちゃんでデートしたら?」


 琴音はなんだか投げやりだ。ごめんて。



「詩葉が許してくれるならね♪」


「ダメ。認めない」


「だってさ♪」


 ふふふ♪ なにこれ♪ ニヤける♪ 抱きしめたい♪ というか抱きしめる♪



「ラブラブだね♪」


「もち♪」


「離れて」


「本当にラブラブ?」


「詩葉は照れ屋なんだよ♪」


「そんなんじゃない」


「ひそひそ♪(冗談だって♪ 実は今も私に欲情してますとかこの二人には言えないっしょ♪)」


「……うっさい」


 マジトーンだ。しゃあない。離れよう。



「~♪」


「響ちゃんたら。幸せそうな顔しちゃって」


「琴音ちゃん♪」


 ガバっと両腕を開く奏。



「やらないよ」


「残念♪」


 言う程残念そうでもない。奏も浮かれポンチだ。



「ねえ、琴音」


「なに?」


「琴音はどこか行きたい場所ってある? 夏休み中にさ。もしこの四人で遊ぶとしてさ。ほら。奏はどこでもよさそうだからさ。琴音が問題ない範疇で一緒に遊ぼうよ。普通の友達としてさ」


「……高二の夏休みだよ?」


 勉強優先ってこと?



「青春だって大切だよ。恋に限らずさ。私は琴音と奏が一生友達で居てくれたら嬉しいもん。だから思い出を作っていきたいなって。ほんの少しだけでもさ」


 別に毎日遊ぼうぜって話でもないんだし。夏休み中に一度か二度くらい遊んでもいいかなって。



「……考えておくね」


「うん♪ ありがとう♪ 琴音♪」


「……響ちゃんなら」


「うん?」


「……なんでもない。……響ちゃんのバカ」


 なんでちっさくバカって言ったの?



「むぅ~」


 今度は奏にジト目を向けられてるし。



「響って酷いよね」


「え? 藪から棒になにさ、詩葉」


「別に」


「わけがわからないよ」


「「「……」」」


 何故全員からジト目を向けられねばならんのか。



「あ、そうだ。あった。行きたいところ」


「どこどこ♪」


「カラオケ」


「いいね♪ ヒコマちゃんとオシロちゃんの独占ライブ♪」


 え~。流石にそれは~。



「無理。行かない」


 詩葉は強めの口調でキッパリと断った。


 流石にマズいか。カラオケって声漏れるし。というかさ。私ももうカラオケ行けないの? 歌う時とか気を付けないといけないの? いや、言うてもまだ登録者数十万人未満だ。誰もが聞いたことのある声って程じゃない。実際クラスの他の子たちにはバレてないわけだし。私なんてまだ二回しか出てないわけだし。


 けどさ。ヒコマちゃんの勢いは結構なものなんだよね。デビューから僅か一年ちょいで十万人に届く個人勢って中々居ないだろうし。というか冷静に考えるとほぼあり得ないレベルかもしれない。それだけヒコマちゃんは注目を集めやすいのだ。詩葉が外で喋るのだって難しくなるのかもしれない。



「配信の時とかって大丈夫なの? この辺りって住宅街だから夜は静かでしょ? 家の前を通った人とか気付いちゃうんじゃない?」


「それはないでしょ。詩葉の声が漏れてきたことないし」


「部屋に防音室があるの。今度響の部屋にも設置するから」


「え? 本気?」


「必要だから」


 だからったって……。



「そういうのって高いんじゃ?」


「そのマシンと変わらない」


 は? え? マジ?



「必要だから」


 あのねぇ……。



「あはは~。聞かなかったことにしよ~」


 私もそうしたい……。



「詩葉ちゃんの部屋見てみたいなぁ~」


 奏は勇気があるね。



「あれ? 奏って入ったことないの?」


「うん。いつもリビングまでだったから」


 ……ああ。そりゃそうか。配信用の防音室とかだって見せられないだろうし。ヒコマちゃんの件は内緒だったもんね。



「詩葉ママは何か言ってた?」


「……まだ言ってない」


「流石にマズいんじゃ……」


「……内緒にして」


 あかんじゃろ。


 まったく、詩葉ったら。一人暮らしになった途端に好き放題しおって。いやまあ、流石に最初はもう少し大人しかったはずだろうけども。防音室とか後から追加したものだろう。お小遣いで足りるものとも思えないし。



「やっぱり防音室とかって無くても問題ないんじゃ?」


「私は気を遣ってた。けど響にそれが出来ると思えない」


 失敬な。



「それに響が鈍いだけ」


 増々失敬な。



「そうだね。響ちゃんガサツだからね」


「なんでよ!?」


「逆に詩葉ちゃんってマメだよね♪」


「さては知らないな!? 詩葉は几帳面で用意周到なくせに土壇場で勢いに任せるタイプなんだぜ!」


「「……なるほど」」


「ない。そんなこと絶対にない」


「いやいや。二人も納得してるじゃんさ。現実見ようぜ♪」


「……」


 ありゃ? 怒った?



「……帰る」


「どこに帰ると言うのかな?」


 秘技! 通せんぼ!



「邪魔。どいて」


「ここは詩葉の部屋でもあるんだぜ♪」


「うるさい」


「まあ話を聞いてよ、詩葉んや」


「退きなさい」


 口調が変わってきた。



「ダメ。絶対に行かせない。詩葉はここに住むの。ここが詩葉の部屋なの。監禁して可愛がるの」


「こんな時に怒らせないで頂戴」


「もう怒ってるじゃん」


「響」


「もう一度座って、詩葉。今日は引かないよ。どうしてもって言うなら今から取っ組み合いの喧嘩を始めてもいいよ。詩葉が友達の前でみっともない真似をしたいならね」


 抱きしめて口付けしちゃるぜ♪ それが詩葉にとってどういうものなのかをしっかり理解した上でね♪



「……意地悪」


 詩葉は渋々座り直した。



「ふふ♪ ありがとう♪ 詩葉♪」


 意地悪しちゃってごめんね♪ 後でちゃんと仕返しも受けてあげるからね♪



「詩葉ちゃんってもっと尻に敷くタイプかと思ってた」


「奏ちゃん。ステイ」


「わん♪」


 奏と琴音だと琴音優位なんだね。勢いでタジタジになる事もあるけど。



「私と詩葉って実は相性悪いのかなぁ?」


「なんですって?」


 あかん。一瞬でブチギレた。



「いや、そんな深い意味はなくてさ。ただ単にどっちも相手を自分のものにしたいタイプだからさ。ぶつかり合っちゃうのかなって。私は詩葉と仲良くしたいんだけどね」


「……響が大人しく従えばいい」


 詩葉が極端に支配的なだけかもしれない。私はもっと普通に支え合いたいだけだもん。やっぱり詩葉は私の力なんて必要としていないのかもしれないけれど。

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