表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/43

04-01.特別な顔




「あ~♪ 美味しかったぁ~♪」


「よかったね」


「うん♪」


 詩葉は穏やかな表情だ。



「お腹撫でて♪」


「やだ」


「お願い♪ お腹いっぱいで苦しいんだもん♪」


「そうは見えない」


「変なとこ触ってもいいから♪」


「気でも触れたの? お母さんたちいるんだよ?」


「二人は気にしないって♪ ママも言ってたじゃん♪ 押し倒してもいいよって♪」


「……はぁ」


 詩葉は窓の方に視線を向けてしまった。



「ごめんね、詩葉。嫌な気分にさせちゃったんだね」


「……別に」


 詩葉は外を向いたまま片手を差し出してくれた。私はそれを握りしめた。



「ふふ♪ ありがとう♪ 詩葉♪」


 今はこれだけでも十分♪




----------------------




 家に着くなり、詩葉は用があるからと自室に籠もってしまった。今日は夜から配信だ。やっぱり私も一緒に配信するのかな? 詩葉モードだと全然喋ってくれないんだよね。ヒコマちゃんの時はあんなにお喋りなのに。



「ねぇ~ママ~」


「な~に~」


 リビングで一緒にゴロゴロしているママが応えた。



「ひま~」


「詩葉ちゃんとのデートプランでも考えてみたら~」


「ナイスアイディア~」


「頑張って~」


「お化粧教えて~」


「お化粧~……え? ……え?」


 なにさ。



「こうしちゃいられないわ!」


 すっと立ち上がって慌ただしく準備を始めるママン。何故だかテンションバク上がり中だ。



「響♪ いらっしゃい♪」


 私の洗顔も含めてあっという間に準備を整えたママは、そのままの勢いで手際よくお化粧を始めた。



「見て覚えろってこと?」


「黙って。動かないで」


 あい。


 真剣なママの気迫に押されて大人しく膝に手を置いた。



「いいわ。いいわ。あなた最高よ」


 ぶつくさと真剣な声音で言われるとちょっと怖い。しかも至近距離で。覗き込まれながら。



「流石私の娘ね」


 自画自賛。あと親バカ。



「うふふ♪」


 しまいには変な笑いまで漏れ出した。



 ……。


 …………。


 ………………。



「できたわ♪」


 たっぷりと時間をかけてようやく手を止めた。



「ほら♪ 見てみなさい♪」


「お~♪ ……気合入れ過ぎじゃない?」


 できればもっと普通のメイクを教えてほしいんだけど。



「笑って笑って♪」


 全然聞いてない。


 そのまま撮影会が始まった。ファッションショーも始まった。どこにそんなドレスなんてあったのさ。なんで今のサイズにぴったりなのさ。不思議。



「最高よ♪ 響♪ これなら詩葉ちゃんもイチコロよ♪」


 詩葉ちゃんはとっくにベタ惚れだから大丈夫だと思うよ。



「まあ♪ 響ちゃん♪」


 詩葉ママも現れた。詩葉ちゃんはまだ引き籠もっているそうだ。しゃあねえ。私の晴れ姿を送ってやるか。送信、と。


 ……もう返信きた。



『 (# ゜Д゜) 』


 なんで怒ってるの? 『詩葉もおいで』送信っと。



『 ( ー`дー´) 』


 どういう感情?



「響ちゃん♪ ほらスマホは置いて♪」


 あなたの娘を呼び出そうとしてるんです。詩葉ママ。



「きゃ~~~~♪ 可愛い~~~♪」


 ちょっと恥ずかしくなってきた。



「もう。ママ燥ぎすぎ」


「これが燥がずにいられるもんですか!」


 まるで念願の夢が叶ったかのようだ。




----------------------




 やらかした……。



「詩葉ちゃんから?」


「うん。連絡入ってた」


 配信始めるよって。やっぱり私も参加させるつもりだったらしい。もう始まっている時間だ。今からでも参加していいのだろうか。取り敢えず連絡を入れてみよう。



『すぐ来て!!』


 ブチギレていらっしゃる。



「ママ、スマホ貸して」


「はいどうぞ」


 ちょちょいのちょい。



「これ観てて」


「もしかして詩葉ちゃん?」


「よくわかったね」


 というか最初から知ってたんじゃないの?



「まあ♪ あの子ったら♪ こんなことをしていたのね♪」


 詩葉ママも知らなかったの? 本当に? というかなんでまたこっち来てるの? 夕飯食べに一回戻ったのに。詩葉が相手してくれないからか。納得。


 いや。今は考えている場合じゃないんだった。



「響は観ないの? 詩葉ちゃんからの用事ってこれのことでしょ?」


「ううん。そうなんだけどそうじゃないの。悪いけど暫く部屋には入ってこないでね」


「「は~い♪」」


 察しのいいこって。明らかに声音が期待している。私が何をするのか気付いたのだろう。理解ある親だね。ほんと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ