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03-05.仲直り配信




「ご紹介に預かりましたオシロでぇ~す♪ 今日からバーチャルアイドル始めました~♪ 皆よろしくね~♪」



 どうしてこうなった……。


 私はただ夕食の準備を手伝うと申し出ただけなのに。




----------------------




 私の言葉を聞いた詩葉は何故か夕食の準備を放り出してしまった。一旦家に戻り、響用だと言いながら機材を抱えて戻ってきた。


 前々から準備を進めていたらしい。機材だけでなく、中身も含めて完璧に用意されていた。当然そこにはバーチャルアイドルのモデルデータも含まれる。私の分身たる純白の少女がカメラの前の私に会わせて動いている。


 まったく。本当に詩葉は何を考えているんだか。詩葉にも困ったものだ。まさかここまで準備を万端に済ませておきながらマニュアルの一つも用意していないなんて。


 しかも絶対勢いで始めたでしょ。私にアドリブで乗り切れって言うの? そういうとこだよ、詩葉。詩葉は普段几帳面なくせに妙な所だけ詰めが甘いんだから。



「趣味は♪ ヒコマちゃんの観察、もとい♪ 観賞です♪ 実は私も皆と同じ一ファンなのです♪」



 もう心臓バックバクだよぉ。いつ漏らしちゃうか気が気じゃない。うっかり詩葉だなんて呼んでしまったら身バレしてしまう。私の声にも気を付けないと。ボイチェンとか付いてないの? 詩葉は自力でヒコマちゃんボイス出してるの? 私の幼馴染半端ねえな。



『今観察って言った?』

『てかvickyじゃね? 今日いねえし』


 待て待て待て! 気付くの早すぎでしょ!?



『皆よく気付いたね~♪ 実はそうなの~♪ オシロちゃんの正体は「vicky-utalove」さんなのでした~♪』


「ちょっ!? うっ!? ヒコマちゃん!?!!?!」


 なぁに言ってくれちゃってんのぉ!?



『皆ごめんね~♪ 今まで黙ってて♪ 実はリア友なの♪』


 止まらない!?



『知ってた』

『はいはい』

『てぇてぇ、てぇてぇ』


 くっ! ノリの良いやつらめ!



『前回ので身バレしたん?』

『そんで仲直りだ♪』

『これがご褒美?』

『準備早すぎね?』

『実は前から準備してたんじゃん?』

『なんだよ。前回の相談も営業か?』

『ビキヒコはそんなことしない』



 盛り上がってらっしゃる。コメント欄が凄い勢いで流れていく。批判的な意見は思っていた程ではないが、あまりよろしくない流れだ。リアルに関することまで含まれている。そもそも私たちが暴露したようなものだけど。



「突然で驚いたよね♪ 正直オシロもびっくりしてるの♪ まだ飲み込みきれていないんだ♪ ヒコマちゃんたらいきなりだったんだもん♪ 急にね♪ 私の部屋に機材を広げだしてね♪ ほんとだよ? おかげで夕食もまだなの♪ ヒコマちゃんがこんな事企んでいたなんてね♪ そうそう♪ お陰様で仲直り出来たよ♪ うんうん♪ 皆のお陰だよ♪ あれがなかったら私も気付かなかったもん♪ ヒコマちゃんだって観念しなかったと思うし♪ だから皆ありがとう♪ 一先ず今日の所はこの辺で、え? 本当に? 私も? あ、間違えた。オシロも歌うの? それはちょっと♪ 無茶だよ♪ 今日は皆と一緒に聞いてるからね♪ 次回は? う~ん♪ どうかな♪ 正直まだ覚悟も決まってなくて♪ ほんとに突然だったから♪ うんうん♪ そうなの♪ 私としてはやっぱり一ファンとして応援していきたいからさ♪ 邪魔しちゃったら元も子もないし♪ 皆もそう思うでしょ? え? 向いてる? あはは♪ ありがとう♪」



 なんで皆乗り気なのさ。普通はもっと忌避するもんじゃない? ぽっと出の素人が有名人を利用して成り上がろうとしてるみたいでさ。実際そういう意見も紛れてるし。私もその意見に賛成だよ。やっぱり皆はヒコマちゃんを見に来てるわけだしね。私がいつまでも喋ってるわけにはいかないよね。



『オシロちゃん凄いよね♪ 初回からこんなに喋れるんだもん♪ やっぱり向いてるよね♪ ヒコマの見る目に間違いは無かったぜい♪ 皆もそう思うでしょ? 思うよね? 思うはずなんだよ♪ だと思った♪ えへへ♪』


 くっ! 可愛い! ごリ押す気ね!?



「ほらヒコマちゃん。いつまでも私のことばっかりじゃなくてさ。皆ヒコマちゃんの配信を見に来てるんだから」


『ふふふ♪ 甘いね♪ オシロちゃん♪ タイトルもサムネも差し替え済だよ♪ 今日は新レギュラー紹介配信だよ♪』


 くっ! いつの間に!



『それじゃあここらで一曲いってみようか♪ もちろん歌うのはオシロちゃん♪』


「冗談でしょ!?」


『ほらほら♪ 始めるよ♪』


「うっそぉ~ん!?」


 眼の前の端末からイントロが流れ出した。私もよく知る曲だ。ヒコマちゃんのオリジナル楽曲だ。中でも最も知名度の高い曲だ。だからっていきなり歌える筈もない。でも歌うしかない。そんな期待が向けられている。ええい! ままよ!



「~~~♪」




----------------------




 どうじゃい!?


『これからに期待だね♪』



 ちくせう……。



『悪くはなかった』

『95点の再現性だった』

『けど再現しただけ』

『オシロちゃんが歌ってるって感じしないよね』

『むしろファンとしての説得力は上がったんじゃね?』

『頑張れ♪ オシロちゃん♪』


 温かいコメントをありがとう。この人達古参の方々だね。気を遣ってくれてるっぽい。なんて良い奴らなんだぁ~。他のコメントは……まあ気にせんとこ。気持ちは痛いほどわかるし。ヒコマちゃんの配信見に来たら知らん奴が歌ってたんだもん。白ける人もいるよね。そりゃぁ。



『ほらほら落ち込まない♪ 初めてでこれだけ歌えれば上出来だよ♪ それに嬉しかったよ♪ オシロちゃんが本当にヒコマのこと大好きなんだって伝わってきて♪ 皆もそう思うでしょ? だよね♪ えへへ♪』


 くっ! なんか悔しい!


 次こそはもっと良い歌を届けてみせるぜ!!

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