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02-05.笑顔




 あんにゃろう。学校休みやがったな。



「おはよう、響ちゃん。今日は顔色良いみたいだね」


「おはよう♪ 心配かけてごめんね♪ もう大丈夫♪」


 いっぱい笑ってスッキリ爽快だぜ♪ 流石はヒコマちゃんだぜ♪ コメント民の皆にも感謝しちゃるぜ♪



「響ちゃん♪ 琴音ちゃん♪ おっはよ~♪」


 げっ。騒々しいのが来た。詩葉が休みだからって何もこっちに絡んでこなくてもいいだろうに。


 いや。かえって都合も良いか。今のうちに仲良くなっておこう。詩葉と決別した後までちょっかいかけられ続けるのも面倒だし。そういうのを制御する為にも先ずは夏空さんの事もよく知っておかないとだ。



「おはよう♪ 夏空さん♪」


「「え?」」


 何その反応。私が返事したらダメなん?



「おはよう! 響ちゃん!」


「うん。もう聞いたよ」


「奏って呼んで!」


「はいはい。奏さん」


「呼び捨てで!」


「おっけー。奏」


「やったぁ♪」


 大げさだなぁ~。



「響ちゃん……」


 やばい。琴音が不審がってる。



「いつまでも素っ気なくしたら感じ悪いっしょ。それにさ。私決めたの。詩葉ともう一度話すって。だから詩葉の友達を邪険には扱えないよ」


「響ちゃん♪」


 チョロいな。



「……」


 琴音はダメか。この程度で騙されてはくれないか。流石は私の大親友だね♪



「親友。嘘つかない」


「……信じるからね」


 すっかり疑心暗鬼になっちゃってまぁ。私のせいか。



「ねえ、奏。奏の知ってる詩葉の事を教えてくれないかな」


「もちろん良いよ♪」


 先ずは情報収集だ。この程度の協力関係ならば問題も無いだろう。私はあくまで仲直りの為に詩葉に近づくのだ。対外的にはそういう事にしよう。結果として話が拗れて決別するのはまあ致し方のない事だ。



「詩葉ちゃんはねぇ~♪」


「もう授業始まるよ。席に戻って、奏ちゃん」


「あれ!? じゃあまた後で!」


 慌ただしい子だ。



「……」


「まだ怪しんでるの? 琴音も協力してよ。私と詩葉の"仲直り"にさ♪」


「もちろん。響ちゃんが本当にそのつもりならいくらでも力になるよ」


「ありがとう♪ 頼りにしてるよ♪ 親友♪」


「……うん」


 あらま。何か変な態度見せちゃったかな? それとも私の心変わりが急すぎたせいだろうか。或いは親友の勘とか? 何にせよ心強い限りだ。その洞察力で是非とも詩葉の真意を見抜いておくれ♪ 私の為に♪



 詩葉の真意と言えば。


 今まで詩葉が家事をしてくれていたって話だったよね。毎日私の為に心の籠もった手料理を振る舞ってくれていたわけだ。涙ぐましい努力だね。思わず絆されてしまいそうだよ。


 私は意固地になっているだけだ。そう言われれば否定は出来ない。詩葉にも何か理由があったのだろう。ちづ姉が手を貸す程だ。相応のものである事は間違いない。


 だからって何でもかんでも許せる筈もない。私はとても怒っている。最初は詩葉を責めるつもりなんて本当に無かったんだ。けれどそれは詩葉が自分の為に私を斬り捨てたのだと思ったからだ。私が詩葉を苦しめたのだと思ったからだ。


 けれど真実は違った。詩葉は私の為に私を蔑ろにした。こんなの許せる筈がない。愛しさ余って憎さ百倍だ。私は絶対に詩葉を許さない。


 いったい何様のつもりなんだか。ちづ姉もちづ姉だ。具体的にどこまで関与していたのかは知らないけど、私達の状況に気付いていなかった筈がない。本当は詩葉に脅されていたのではなかろうか。今の詩葉ならやりかねない。


 私の知る詩葉はそんな人物ではないけれど、一年もの間、無視を続けながら隠れて家事をしに来ていたなんて意味がわからない。いったいどんな精神状態ならそれが可能だというのか。実は狂人の類なんだろうか。いつの間に愛しの幼馴染はそんな化け物に成り果てていたのだろうか。


 やはり私達は一度縁を切るべきだ。それがお互いの為になる筈だ。こんなおかしな関係をいつまでも続けているべきじゃない。きっと私と離れれば詩葉だって少しはまともになってくれるだろう。あの子が反省したら……いや。未練は捨てよう。半端はダメだ。必ず詩葉には見抜かれてしまう。隙を突かれて言いくるめられてしまう。それではダメだ。全て台無しだ。詩葉の為だなんて言い訳はすまい。私は私の為に詩葉を捨てるのだ。これは醜い仕返しだ。そう自覚しよう。




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 奏は休み時間の度に話しかけてきた。私達はあっという間に意気投合した。詩葉の話をするのは決して悪い気分ばかりじゃない。それはそれ、これはこれだ。前回とは私の心持ちもまるで違う。何より今の私には目的がある。これも全て必要な事だ。何も気にする必要はない。



「そうそう♪ 詩葉ってそういう所あるよね♪」


「でっしょ~♪」


「……」


「あ、ごめん。琴音。つまらなかった?」


 ずっと詩葉の話ばかりしてたもんね。



「ううん。そうじゃなくて」


「どうしたの?」


「響ちゃんは本当に遠野さんの事が大好きなんだなって」


「まあね♪ 双子の妹みたいなもんだから♪」


「そっか」


「ふふ♪ 嫉妬しちゃった? 安心して♪ 私の親友は後にも先にも琴音だけだから♪」


「うん。私も」


 その割には浮かない顔だ。



「琴音♪ ほら笑顔♪ 笑顔♪ 笑って♪」


「……ごめん」


 あらら。

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