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決死人機兵装メサイア  作者: うどん米
アジア大戦編
31/36

第31話・運命循環のカンフェ



 僕たちの決意から約一週間後の2044年4月24日

 ついにこの日が来た。


 ここまでやれることはやりつくしたと言っていいだろう。



 僕たちは、普段いる校舎を離れてアメリカ軍基地跡地に足を運んでいた。


「……台湾有事をきっかけに日本の軍拡が進んだは良いものの、基地が不要と判断されて撤退しちまうなんてな」

「それがこうやって再利用されているのを考えると、何とも言えないねぇ」

「歴史を感じるね」


 と言っても、日本が軍拡をしていなければ今頃隣国に攻められてより多くの被害を出していた可能性が高いも事実だ。


 別にアメリカと仲が悪い訳でもないし国交も今だに続いている。

 いざ、戦いが起きれば共に戦う同盟国の一つだ。


「でも……何でこうなったのかなあ?」


 未来さんが不思議がるのもわかる。


 その基地が今や、ショッピングモールも入る地元住民の憩いの場になっているのだからわからないものだ。


「さあ、再利用だろ。ほら、さっさと行くぞ」


 人機祭は地元住民だけでなく、全国からテレビ局やら何やらが集まってくる。


 テクノイド同士の戦闘はド派手で視聴率も取りやすいし、他国に日本の軍事力を誇示する絶好のタイミングだ。




 そして、少し歩くと僕たちの戦いの舞台となるビーチが見えてきた。

 ここの地下に僕たちが使うテクノイドが収容されている。


 その時、黒塗りのいかにもな高級車が地下に入っていくのが見えた。


「すごい高そうな車だね。どんな人が乗ってるんだろ」

「……大丈夫だ。不審者でも乗ってるんだろ」

「それは大丈夫って言うのかな!?」


 彼の発言に突っ込むと、なぜか先ほど地下に入った車がバックで戻って来た。

 一瞬、車の中の人物と目があった気がした。


 次の瞬間には、凄い勢いで車の扉が開かれスーツを着こんだ男が走ってくる。


「あー先に謝っとく。すまねえ」


 隣でボソッと、僕たちだけに聞こえる声量で彼が呟いた。


「時貞ー!!」


 とんでもない声量と共にこちらに走り込んできた男を見た瞬間、横に押し出された。

 すると、時貞くんの体がぶれて吹っ飛ばされていった。


「何の用だよ。父さん」

「久しぶりに会うって言うのに、その反応は酷いじゃないか。それに、パパと呼びなさい」

「父さん……?」

「パパ……?」


 突然、彼を吹っ飛ばした彼の言葉に未来さんと顔を合わせる。


「も、もしかして時貞くんのお父さん!?」

「現防衛大臣の武者小路 時光さん!?」

「ほら、友達も見てるんだ。50超えたってのに、息子に抱き着くのはやめてくれ」

「……わかった」


 そう言うとやっと時貞くんに抱き着くのを辞めた。

 怪訝そうな表情で彼は立ち上がり、親子二人で服についた砂を払う。


(……そっくりだなぁ)


 特に目元が似ている。


 傍から見ても全く仲が悪そうに見えない。

 そして、この人が国防の最後の砦とか最後の良心とか言われているようには見えない。


「……失礼。久しぶりに息子と会ったものではしたない姿を見せてしまったね」

「全くだ……どうにか、会わねえ済まねえかと思ってたが、ちっ」

「ふっ、パパをなめるな。昨日、何度も願ってきたからな『息子に会えますように』とな」

「神頼みかよ!」


 一瞬でも、盗聴器とか使ったのかなと思ってしまった僕を呪いたい。

 普通の人は盗聴器を仕掛けるとかしないんだった。


(……神は死んだ)

「槃くん。どうしたの?ぼーっとして」

「っ!いや、何でもない」


 未来さんに話しかけられるまで、割とヤバいことを考えていた気がするが気のせいだろう。


「コホン……改めて息子と仲良くしてくれてありがとう。私は武者小路むしゃのこうじ 時光ときみつだ」

「は、はい存じています。今の、防衛大臣さんですよね」

「ははっ、そんなに固くならなくても構わないよ。式が始まった後はあれだが、今はただの時貞の父……いや、パパだからね」


 話してみればフランクと言う印象が強く出る。

 でも、何だか彼が自分の父親のことを彼女に紹介されたとき少し誇らしげな表情をしている理由がわかるような気がした。


「あたしは稲光いなびかり 未来みらいって言います!」

「ぼ、僕は無涅むね めぐると言います。時貞くんには本当に本当にお世話になってて……これからもよろしくお願いします!!」

「ははっ、いい友人を持ったじゃないか。未来ちゃんに槃くんか……待て欲しい、無涅と言ったかな?」


 さっきまでフランクだった雰囲気はどこへ行ってしまったのか。

 一瞬で、尋問でも始まったのかと言う雰囲気に変わる。


「は、はい」

「……そうか、もしかして何だか君の母親は無涅むね 彼岸ひがんと言うんじゃないかな?」

「それって、ここの学園長だよな」

「うん……って、そうだ!槃くんと同じ苗字だ!」

「……はい」


 僕はあまりこのことを言いたくなかった。

 なぜなら、学園長の息子が入学なんてコネにしか見えないからだ。


 そもそも、僕がこの学校に入学してきたのも全て母さんの影響だった。


「その、ごめん。言えなくて……」

「別に気にしてねえよ。オレだって、親が学園長だって気軽に話せねえよ」

「あたしも……でも学園長の私生活は気になるかも!後で、教えてよ!!」

「ふ、二人とも……!」


 僕の心配は完全に杞憂だったらしい。

 二人は、僕の親が何であれ態度を変えたりしない。


「本当に、いい友人を持ったね。そうだ、君は明時あきとき博士を知っているかい?」

「明時博士……それって、無無先輩のことですか?」

「いや……そうか、私が言っているのは彼女の祖父である明時 めぐる博士のことだ」


 明時 廻。

 僕はその名前を聞いて、何となく他人事のようではないような気がした。


 それに、彼女の祖父と言えばタイムマシンを作り出した人物でもある。


「いや、その……知らないです」


 だからと言って、タイムマシンを作った人ですよね。

 と正面から言うわけにもいかず、適当に誤魔化す結果になった。


「……そうか、すまないね。変な質問をして」

「本当だぞ、父さん。そもそも、こんなところで油を売ってていいのかよ。ほら、後ろの黒服の奴らも困ってるぞ」


 確かに、気づけば彼の警護らしき黒服の人たちが僕たちを囲んでいた。

 何だか、全員が申し訳なそうな顔をしている気がする。


「パパと呼んでくれたら行くとするよ」

「……パパ、行け」

「よし、わかった!パパは行ってくるぞ!!」


 雑な一言で命令すると、時光さんは踵を返して車の中に戻って行った。

 それに、呼応するように警備の皆さんも続いて行った。


「……何だか、凄いパパだね」

「昔からああなんだよ。特に、母さんが亡くなってからは一層な」

「そっか……」


 本当に心の底から時貞くんを愛しているんだろう。

 そして、僕はその親子の一部始終を見て不思議と羨ましいなと思ってしまった。




 ***




 車に戻り、地下へ進ませる。

 その最中、時光は警護隊長から先ほどの行動を注意されていた。


「大臣。あまり勝手な行動はよしてください。何かあったらどうするんですか」

「す、すまないね。息子を見るとどうしても自制が聞かなくなってしまうんだ」


 改めて自分の立場を再確認する。

 もし、私が倒れるようなことがあればそれこそ政府の暴走を抑えきれなくなり、日本の軍拡を止めきれなくなるだろう。


 そうなれば待っているのはひとまずアジア内での大戦となるかもしれない。


「無涅 槃くんか……」


 おそらく名付け親はあの女狐だろう。

 義理とは言え息子にこんな最低な名前を名付けるなんてアイツしか考えられない。


 そして、彼は何か知っているかと聞いたら明らかに動揺した。


(タイムマシン。いや、強化人間計画……彼の孫娘はどこまで知っているのか。どこまで彼に伝えたのか……)


 だが、少なくとも彼が何かしらの渦中の中心にいることはおそらく間違いないだろう。

 しかし、彼が出来ることはひたすらに今日が無事に終わるのを願う事だけだった。

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