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決死人機兵装メサイア  作者: うどん米
アジア大戦編
15/16

第15話・訓練成績のボトム



 時貞ときさだくんの案内を受けて僕たちは少し離れた仮想訓練ルームDにたどり着いた。

 すると、既に過去かこ先生が待ち構えていた。


「はーい、全員揃いましたね。では、パイロットスーツに着替えてください」


 そう言って指さした先に更衣室ある更衣室に僕たちは入って行った。

 更衣室にあったパイロットスーツを広げてみると、テレビでもよく見るデザインだった。


「うわー!見たことある!!」

「特注じゃなければ大体同じデザインになるからな……もしかして、パイロットスーツ着たこと……」

「あるよ!……一度だけ」


 入試の訓練で一度だけ着たことがある。

 パイロットスーツは個人差はあるのものの着た人間のシンクロ率を上昇させることができるのだ。


 そして、さっさと着てしまおうとしたとき後ろから声がかかる。


「裸で着るんだからな」

「し、知ってるよ……ちょっと間違えただけ」


 ささっと下着を脱ぎパイロットスーツを着る。

 相変わらずぴっちりとしたデザインで体のラインがしっかり出ている。


「……オマエ、なんかスポーツやってたのか?」

「いや、全然」

「そうか……よし、行くか」


 僕の体を見て何か思うことがあったのか、返答を聞いて不思議そうな顔をしていた。

 ともかく、僕たちは更衣室を出て未来さんも出てくると先生が説明を始めた。


「それでは、これから一時間目のテクノイド訓練を始めます。今回は初回なので、まず皆さんの腕前を見せてもらいたいと思いますので指導などは致しません」

(実技なら行ける!)


 実はちょっと自信がある。

 ループのおかげで実戦経験は既に積んでいるし、入学初日に敵も倒したこともある。


「それでは、始めます。皆さんそれぞれ仮想コックピットの中に入ってください」


 先生に言われるがままコックピットに入り、メサイアの物とは少し形の違うシンクロナイズを装着する。


「始まる訓練は入試の物と同じなので頑張ってください」


 その一言と同時に目の前の空間が広がる。

 そして、目の前にテクノイドが一体出現する。


(……ふぅ)


 これから目の前の奴と戦うと思うと少し怖い。

 だけど、これまでのループのおかげが信じられないくらい落ち着いていた。


『仮想戦闘開始』


 戦いの火蓋が切られた。



「オラー!」


 先手必勝の思いで、近づき拳を振りかぶる。

 だが、確実に入ったと思った拳は敵から見ればはるかに遅く。


 避けられ、反撃の一撃をもらった。


(正面からダメか……なら、側面から!)


 訓練はまだ続く――




 ***




 訓練が終了し、各々の講評が先生によって発表される。


「はい、槃くん。戦闘訓練:37点、山岳訓練:25点、隠密行動訓練:20点、集団行動訓練:38点」

「……40点満点ですか?」

「いえ、100点満点ですよ。びっくりしました。そこそこ長い教師生活の中でも入試訓練のレベルでこの点数は見たことがありません」


 何故だろう、先生は笑顔のはずなのに目の奥が全く笑っていない気がする。

 そういえば、すっかり忘れていたけれど僕が強いのはあの全能感があるからこそだった。


 覚醒していない僕は初心者で起動ギリギリのシンクロ率しかないんだった。


「……も、もしかして僕ってものすごい雑魚!?」

「はい、オブラートに包んでも雑魚ですね。二人を見習ってください」


 先生ですらオブラートに包めない結果に思わず膝をつく。

 あんなにタイムリープして頑張ったのに雑魚すぎる自分が情けなくなってきた。


「そ、そういえば二人は何点だったの?」

「えっと……私は戦闘訓練:75点、山岳訓練:64点、隠密行動訓練:66点、集団行動訓練:53点だよ」

「う、嘘ぉ!?」


 彼女の点数は圧倒的なものだった。

 と言うか、どちらかと言えば僕の点数が低すぎるだけな気がするが


「と、時貞くんは?」

「オレは上から80、75、72、80だぞ」

「どこが、落ちこぼれなんだよ!!」


 どうやら、僕はただの落ちこぼれではなかったらしい。

 落ちこぼれの中の落ちこぼれ、間違いなくこの学校最弱だったのだ。


「流石、時貞くんですね。これで……」

「先生、いいんです」

「……そうですね。ここからは貴方が切り拓くべきですから」


 二人の会話は妙に意味深だった。

 だが、それよりもこんなに点数が高い彼が1組ではなく4組にいることが不思議だった。


「それでは、3,4時間目も引き続きここで行うので少し休憩したらまた集合してください」

「「「はい!!」」」


 この後、僕たちは3,4時間目も乗り越えて今日は下校となった。

 ちなみに、行った訓練でも全くうまくいかずワースト記録を乱立させていた。


 最終的に先生からは退学、もしくは転校を勧められる始末だった。




 合格通知を受け取った時は狂喜乱舞したものだが今となっては不思議だ。


(僕って何で入学できたんだろう……?)


 あれが、入学試験と同じレベルなら試験当時の点数はもっと低かったはずだ。

 その上、学力も特別高いわけじゃない。


 だというのに、補欠とはいえ入学できている。


 思い当たる節はあるが、そうだとは思いたくなかった。


(……よし!先輩の所に行こう)


 ごちゃごちゃ考えたが、今やるべきことはどうにかして訓練に食らいつくことだ。

 さもなければ救世主になるなんて夢のまた夢だ。


 教室を出ようとしたその時、背中から声がかかる。


「おい、槃。一緒に帰ろうぜ」

「槃くん。一緒に帰ろう」


 同時に声がかかり、振り向くと二人がにらみ合っていた。

 正直、傍から見ていると今にも掴みかかりそうな形相に見えた。


「ご、ごめん。この後、行くところがあって」


 断るのは心理的に来るものがあったが、覚悟を決めて断った。


「そうなんだ、じゃあ仕方ないね。ちなみにどこに行くの?」

「知り合いの先輩の所に相談に行こうかなって」

「先輩……オマエ、外部生だろ?知り合いの先輩なんていたのか?」

「う、うん……明時あきとき 無無なな先輩って言う……!?」


 その時だった。

 突然、大きく目を見開いた形相の時貞くんに肩を掴まれる。


「明時先輩はやめとけ!」

「え、どういう事?」

「噂によると工房にずっと籠って日夜研究を続けている人らしいんだが……過激な研究を繰り返して果ては、何度も人体実験を繰り返しているらしい」

「先輩がそんな……」


 そんなことするわけないだろと断言したかった。


 だが、よく考えてみれば初日に実験に誘われていたし、何なら彼女が研究しているタイムマシンは使うには死ぬ必要がある。

 人体実験はともかく過激な実験はしていてもおかしくないだろう。


「とにかくやめとけ!」

「で、でも……強くなりたいんだ。救世主になるために」


 僕の夢を実現するためには、このままじゃいけない。

 だが、それを聞いた彼の表情は険しいままだった。


「……成れないと言えねえ。だが……わかった」


 少し考えた素振りを見せた後、彼はスマホを取り出し何かを確認していじり出した。


「なら、今日の放課後オレと一緒に来い。鍛えてやる」

「い、いいの!?」


 未熟なところが多すぎる僕には願ったり叶ったりの提案だった。


「ああ、オマエはどうする?」

「わ、私?私もいいの……?」

「オマエに努力する気があるならな。ほら、さっさと行くぞ」


 そう言っていち早く歩き出した。

 僕も急いで後を追い、未来さんも荷物を持って後に続いた。


 そして、彼の後ろについて行くと再び僕たちは仮想訓練ルームDにたどり着いていた。


「よし、さっさと準備するぞ」

「じ、準備?ここって、使っていいの?」

「ああ、さっき確認したらまだ予約されてないみたいだったから申請を済ませておいたんだ。ここなら、思いっきり暴れられるだろ」


 どうやら先ほどスマホをいじっていたのはここの予約を確認していたらしい。

 その後、朝と同じようにパイロットスーツを装着して集合した。


「まず、槃。オマエのシンクロ率はいくつだ?」

「50%!!」

「なんでそんなに自信満々なんだよ」


 見せられる醜態は今日の朝に大体晒してしまったため、一周回って恥ずかしくなくなってきた。

 ワースト記録を乱立しまくった僕の敵はいない。


「ま、気にすんな。オレもシンクロ率は65%しかないんだ。この学校じゃ十分下位の方だぜ」

「え!?」


 僕とたった15%しか変わらない。

 だというのに、訓練の点数では倍以上の差がついている。


「この中だったら、多分シンクロ率が一番高いのは稲光だろうな」

「そうなの!?」

「う、うん私のシンクロ率は80%だよ」

「嘘!?」


 何となく結構差がついているんだろうなとは思っていた。

 だが、30%の差は流石に堪えるものがある。


 だが、そんな彼女よりも訓練の点数は時貞くんの方が高い。


(きっと、相当努力したんだろうな)


 そんな、彼が僕たちを鍛えてくれるというなら一層やる気が高まって来た。


「……でも、僕って一体何をすればいいのかな?はっきり言っていいところないよね」

「いや、そんなことはねえぞ。オマエには十分特別な才能がある。それも、オレたちがうらやむようなものがな」

「え?」


 二人の前で僕はあの覚醒状態になったことはないはずだ。

 それ以外となると、入学式の前で物怖じせずトイレに直行する姿しか見せていない。


「緊張しない才能だ。本番に強いと言い換えてもいいな」

「本番に強い?あの点数で……?」

「点数だけを見ればな。知ってるか、仮想訓練中は安全のために色々測っているんだ」


 そう言いながら、彼は朝に僕が使用していた仮想訓練ルームの端末をいじり出した。

 すると、空中にウィンドウが展開し何やら数値が写し出される。


「これはオマエの心拍数だ。本来なら戦っている時は精神的なストレスが常にかかる分、上昇し続けるはずなんだがな」


 続いて僕以外の二人のデータも写し出される。

 だが、こちらの数字はドンドン上昇しているし僕のように落ち着きはない。


 よく考えてみれば、訓練中は失敗ばかりだったがそれほど動揺した場面はなかった。


(もしかして、命がけの戦いを経験したから……?)


 タイムリープの恩恵は特になかったと思っていた。

 だが、実際にはその経験は確かに僕の力になっていた。


「これから、オマエ達に戦い方を叩き込む。特に槃はその才能を生かせば飛躍的に強くなれる」

「っ!!」

「相当辛いが、行けるな」


 彼の熱く、だが静かでもある瞳が僕を覗く。


 断る理由なんてなかった。

 僕は勢いよく頷いた。

イエーイ、合計300pv超えたぞ!

え、評価ポイントはどうなんだって?……ゼロだよ!

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