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竜化世界で竜を狩る 〜天使と悪魔と死霊を添えて〜  作者: 天眼鏡


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2種の最終確認

 それから更に奥へと進んでいく一行を阻む為か、より一層の高頻度で襲来する触手を、レイズ筆頭に退けていく一行。

 

 レイズの実力そのものはユニが告げた通りAランク下位程度でしかなくとも、単独で1本以上の触手を屠れる人員が1人増えるだけでも進行速度は格段に上昇、その結果として。


「──……っ! ゆ、ユニさん、ここです! ここが……!」


「そのようだね。 この下り坂の先が、最奥だ」


「「「「「……!」」」」」


「「「……ッ」」」


 一行は当初の想定より早く、迷宮最奥へと辿り着いた。


 その避けようもない事実に、【銀の霊廟(グリトルス)】の5人はもちろんの事、【紅の方舟(ナグルファル)】の3人の表情にも緊張の色が見える。


『TEE……AAAC……ッ』


「大丈夫? フリード……」


『ッ、CHEETA!』


「……うん、そうだよね。 やるしか、ないんだよね」


 当然、サレスやフリードにも。


 先の8人と違うのは、やはり〝覚悟〟の強さか。


「間もなく聖女が僕の手に……、ユニ嬢」


「関わるなと言った筈だけど」


「おやおや、世間話も拒絶(NG)とは」


 一方、Sランク2人の表情や声音からは緊張の『き』の字も見て取れず、これほど嫌われていてもなおめげずに話しかけてくるレイズを突き放したユニが、くるりと向き直って。


「ここから先は言うまでもなく〝死地〟、他の5人はともかく最後の希望(ラストホープ)の一角すら敵わなかったのだろう天使が討伐対象。 【紅の方舟(ナグルファル)】は足手纏い、【銀の霊廟(グリトルス)】に至ってはその足手纏いにさえなれず屍を晒す事になってもおかしくない」


「「「「「う……」」」」」


「「「チッ……」」」


「別に責めたりしないから、ここで戻ってもいいよ?」


 この期に及んでと思われても仕方のない、ここまで来て突き放すような言葉で以てサレスとレイズ以外の8人へ『居ても居なくても同じだ』と告げてきたユニに、かたや萎縮して呻き、かたや悔しげに舌を打った彼らからの返答は──?


「……馬鹿言ってンな。 こんなとこで芋引いちまったら恥晒し極まりねぇし、リーダーの蘇生も叶わねぇンだろうがよ」


「弱者にも、弱者なりの意地があります。 どうか……」


「……そ。 まぁ好きにしなよ」


 いいから連れていけ、というSランク相手の啖呵。


 もしかしたら──……否、結構な高確率で自分たちは命を落としてしまうのだろうし、【輪廻する聖女(セイントオブオラクル)】を救えなければ事が済んだ後で蘇らせてもらう事も叶わなくなるものの。


 こんなところまで来て退くのは、どう考えても違う。


 ランクは違えど、志だけは彼らも立派な狩人ハンターなのだから。


 そんな彼らの覚悟を感じ取ったからなのか、それとも単に()()()()()()()の方が重要な為、早めに切り上げたかっただけなのか、ユニが興味なさげにふいと視線を外した途端。


「それじゃあ話も纏まった事だし、行くとしよう」


「「「何でアンタが仕切ってンだよ!」」」


 パン、と大袈裟に手を叩いて自分がリーダーであるかのように振る舞い始めた──本当にそう思い込んでいるのかもしれないが──レイズに【紅の方舟(ナグルファル)】が総出でツッコむ中。


 ユニはそちらに目も暮れず、()()()()()()()をし始める。


(フュリエル。 かの主天使ドミニオンは君が討たなきゃいけないの?)


『え? いえ、殺せるならば誰であろうと構いませんが』


(そっか、それは好都合だね)


『……?』


 それは、『天界の者の不始末を天界の者以外が片付けてもいいのか?』という至極真っ当な疑問であり、その疑問への解答如何では〝サレスを同行させた意味〟が消失しかねないとも思っていたようだが、幸か不幸かそれは杞憂に終わり。


 誰でもいい、という最高の解答を得られた事で満足そうに微笑む主に困惑するフュリエルをよそに、サレスとレイズを先頭として進んでいく一行に遅れぬようユニも歩き出して。


 それから数分後、一行はついに辿り着いた。


 サレス以外の捜索隊を壊滅させ、かの【白の羽衣(スワンクローク)】すらも未帰還に追いやった天使が潜んでいるという、最奥の間に。


 触手以外に他の何かが出てくる可能性もあり、ユニとレイズを除いた一行はおずおずと歩を進めていたが、そこでふと見遣った先に例のモノの存在を視認、全員の動きが止まる。


()()は……おい穀潰し、()()()がテメェの言ってた……」


「っ、は、はい……あの時、皆さんを殺し尽くした──」


 そう、この最奥の間のちょうど中心に鎮座していた。


「──無数の触手が飛び出し続ける、宝箱です……っ」


「「……!!」」


 本当に、どこにでもありそうな〝宝箱〟の存在を──。

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