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条件への返答

 ユニやサレスとともに、【白の羽衣(スワンクローク)】の救援に向かえ。


 それはつまり、首狩人バウンティハンターである彼らにとっては管轄外と言っても過言ではない迷宮へ赴き、微力を尽くせという事。


 ……ここだけの話、首狩人協会(B・ハンターズギルド)に属しているからといって竜狩人ドラゴンハンターの領域とも言える迷宮に足を踏み入る事ができないなどという規則はなく、迷宮に逃げ込んだ賞金首を追跡する為に迷宮の管理者から許可を得て潜入する事もざらにあり。


 特別な理由がなくとも、人間を殺すよりも竜化生物を狩る方が遥かに効率良くEXP(経験値)を得られる為、竜狩人ドラゴンハンターたちに白い目で見られたり小競り合いが起きたりする事に耐えられる場合に限り、自主的に迷宮へ赴く者も少なくないという。


 ゆえに、彼らを引き入れる事については何の問題もない。


 しかし、その条件の提示には()()()()()()()()()がある。


「な、何で俺らが竜狩人ドラゴンハンターの救助なんかに……ッ!!」


 そう、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()が。


 確かにホドルムを蘇らせられるのは【輪廻する聖女(セイントオブオラクル)】だけなのは間違いないし、あまりに表情が〝無〟から変化しない事から〝鉄仮面の処女(ノーフェイスメイデン)〟と揶揄されど、貴族の生まれでありながら分け隔てなく回復や蘇生を施すその姿を見た事がある彼らからしてもマリアを救ける事自体はやぶさかでもない。


 だが、【白の羽衣(スワンクローク)】に属する他5人もとなると話は別。


 狩人ハンターは、世間が思っているよりずっと〝イメージ稼業〟。


 ようやくリーダーがAランクに昇格し、3人の仲間の誰か1人でも彼に追いつく事ができればパーティー単位でのAランク昇格も見えてくる、そんな絶好とも言うべき機会タイミングに。


 リーダーの死というハプニングに直面した事を思えば仕方ない部分もあるとはいえ、〝竜狩人ドラゴンハンターパーティーの救助へ向かう〟というのは、竜狩人あちらに阿っていると捉えられかねず。


 仮に、〝不甲斐ない竜狩人ドラゴンハンターパーティーを、リュチャンタ中の竜狩人ドラゴンハンターに代わって救助してやる〟という体で向かったとしても、きった悪印象を拭い切る事はほぼ不可能だろう。


 加えて、その条件を提示してきたのが【最強の最弱職(ワーストゼロ)】というのもまた厄介であり、狩人ハンターとは全く関係ない外野はもちろんの事、首狩人バウンティハンターの中にさえ熱烈なファンが居る彼女を袖にするような返答をすれば最後、今まで築き上げてきた彼らの立場が一瞬で崩壊してしまう事は想像に難くなく。


「「「……!!」」」


「う……」


 必然、彼らの怒りの矛先は元凶たる少年に向けられたが。


「「「……ッ」」」


「え……?」


 すぐに顔を逸らされた事で、逆に不安を抱くサレス。


 ……彼らも、気づいたのだろう。


 決闘になるよう仕向けたのはユニだが、奇しくもユニが望んだ展開になるよう動いてしまったのは自分たちの方だと。


 理不尽な怒りの矛先を向ける資格などありはしないと。


 ゆえに、彼らがすべき返答はもう──。


「……ッ、協力、する……」


「結構。 明日の朝、竜狩人協会(D・ハンターズギルド)に集合するように」


「あぁ、解った……」


「じゃあ行こうか、サレス。 転職の手続きをするよ」


「え、あ……は、はい……っ」


 ──……1つしか、なかったのだ。


 もう興味はないとばかりに去っていく2人の背中を。


「〜〜ッ、クソがァ!!」


 睨みつける事しか、できなかったのだ──。

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