表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
314/345

連れ立った先に

 EXランクとFランクの邂逅から、およそ十数分後。


「あ、の……ユニさん……あっ、ユニ様……?」


「〝さん〟でいいよ、どうしたの?」


「えっと……ボクたち、どこに向かってるんですか……?」


 普通に〝さん〟でいいのか、それとも〝様〟と敬った方がいいのかと今さらながらに葛藤中のサレスは今、縮小化したままの迅豹竜じんひょうりゅうを抱えつつリュチャンタの街を歩いており。


 何故、ユニが自分に会いに来たのか?


 何故、竜狩人ドラゴンハンターを辞めろなどと言ったのか?


 何より、どこに向かって歩いているのか?


 何も解らないまま連れ出され、何も解らないままどこかを目指して歩くというだけでサレスは不安でいっぱいな様子。


 それも無理はないだろう、あれから一言二言ユニと会話した結果、Sランクとは現在の世界に10人しか居ない絶対強者を指すのだと知った事で途端に恐ろしく思えていたから。


 また、()()()()()()()()()()()()()()()()がハッキリしたからというのも大きかったようだが、それはさておき。


「言ったよね? 『竜狩人ドラゴンハンターを辞めて欲しい』って。 今、私たちが向かってるのは君にとっての──〝再就職先〟だよ」


「再就職先……? それって、どんな──」


 サレスとは対照的に機嫌が良い様子のユニ曰く、これから向かう先にあるのは竜狩人ドラゴンハンターを辞める事になる──すでにユニとドライアの権限で強制的に解雇となっている事をサレスは知らない──彼の新たな就職先となる施設であるらしく。


 それは一体、と当然の疑問を投げかけようとした時。


「──ほら、着いたよ。 さっそく入ろうか」


「……えっ? こ、ここって……」


 竜狩人協会(D・ハンターズギルド)のリュチャンタ支部とは正反対の位置に存在する、あちらとは少し趣が異なる施設の前に2人が到着した。


 ……わざわざ竜狩人協会(D・ハンターズギルド)と正反対の位置に建てられたその施設が何かなど、もはや説明するまでもないだろう──。


「そう。 首狩人協会(B・ハンターズギルド)、リュチャンタ支部だよ」


 ユニを始めとした竜狩人ドラゴンハンターにとって同業者でありながら犬猿の関係でもある、首狩人バウンティハンターの集会所となる施設だった。


 ……ちなみに、ちなみにだが。


 別に、片方の協会ギルドの集会所にもう片方の協会ギルドに属する狩人ハンターが足を踏み入れる事自体に違法性はなく、ちょっと白い目で見られたり小さな諍いが起こったりといったハプニングを許容できるのならば、それ以外にこれといった問題はない。


 しかし、それはあくまでも〝首狩人バウンティハンター竜狩人協会(D・ハンターズギルド)を足を踏み入れた場合〟と、〝()()()()()()()()首狩人協会(B・ハンターズギルド)を足を踏み入れた場合〟からなる2例に限った話であり。


 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()首狩人協会(B・ハンターズギルド)へ足を踏み入れた場合、法にこそ触れずとも厄介な事態が起こる可能性が非常に高く。


「……はッ? お、おい、アレってまさか……!」


「まさか、っつーか……いや、マジか……?」


「何であの人がここに……!?」


 EXランク──世間的にはSランク──であり、その条件を世界で最も満たしていると言っても過言ではないユニの来訪は、それまで飲食を嗜んでいたりクエストを吟味したりしていた首狩人バウンティハンターたちの視線を一挙に集める事となった。


 そして、それぞれが得手とする武器に指をかけんとする者まで現れる中、ビクビクと辺りを見回しながら後を追うサレスを連れて何の気なしに步を進めるユニだったが──。


「──……おい」


「……」


「おい……! おいって! いい加減止まれや!!」


「……? 何かな」


 1人の巨漢が立ち上がって声をかけ、それでも止まるどころか反応すらしないユニに痺れを切らし、ドスドスと床を踏み鳴らして立ち塞がってきた事で、やっと顔を向けるユニ。


「『何かな』じゃねぇよ馬鹿野郎! ここをどこだと思ってやがる!? さっさと回れ右しろ【最強の最弱職(ワーストゼロ)】! それともその〝首〟、貧乏人オレらの為に置いていく気になったのか!?」


 その素っ気ない態度が気に食わなかったのか、それとも元よりそうするつもりだったのか──おそらく後者──恐喝と捉えられても何の反論もできなさそうな語気の強さで巨漢がユニへと詰め寄る一方、サレスはそんなユニの後ろで。


(この人、強そう──)


 じーっと、その巨漢の体格や背負う武器を見ながら。











(──〝5手〟くらい要るかも)


 ……〝何か〟を、脳内で模擬演習シミュレーションしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ