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2つ目の約束

これで〝角持つ雷雲〟編は終了、次回から新章がスタート!


次の更新は1週間後、5/3(日)となります!

お楽しみに!

 結論から言えば、引き鉄となった者たちは死んでいた。


 しかし、事が起きた際に死んだのではなく。


 何と、あの戦場で死んだらしいのだ。


 ユニもリューゲルも居合わせた、あの戦場で。


 亡霊を従える技能スキル、【霊障術:死霊(サモンレイス)】で死霊術師ネクロマンサーが聞き取りをしたところ、どうやら〝Sランク2人の参戦〟と〝片方が【最強の最弱職(ワーストゼロ)】〟という情報を仕入れた結果、『死亡する確率も低そうだし少しでも手柄を手にして今ある罪と相殺しよう』と愚行した挙句、無様にも重力で圧死したようだ。


 余計な欲を抱かなければ生きていられたのに、蘇生経験があったせいで生き返る事もできず冥界へ堕とされたという。


「──ってなワケで、ある意味アイツらの目論見通り罪には問えなくなったんだと。 しゃあねぇよな、蘇れねンだから」


「こんな事の為に【輪廻する聖女(セイントオブオラクル)】は呼べないだろうしね」


「そういうこった」


 尤もリューゲルの言う通り、〝命〟で罪の相殺はできたのだから本望なのかもしれないが、それは彼らのみぞ知るところであり、それだけの為に最後の希望(ラストホープ)の一角を招聘するなど役不足もいいところである為、致し方ない措置だったとか。


 神の力を使えばもちろん可能だが、まずやらないだろう。


 疑問が解消された時点で、興味を失っていたからだ。


「聞きたい事も聞けたし、そろそろ帰るよ。 またね──」


 その証拠に随分あっさり話を終わらせたユニは、くるりと踵を返しつつ改めて【通商術:転送(ポータル)】を発動、帰国せんと。


 ……した、その時。


「──フェノミアとの通信、試してくれたか?」


 背後から聞こえたのは、極めて真摯な声色での問いかけ。


 音信不通の相方と、連絡を取ってくれたか? という疑問。


「……あぁ、何度かね。 最上級ハイエンドまで使ったよ」


「結果は?」


「……」


「そうか……悪ぃな、手間取らせちまって」


 ユニにしても、フェノミアという女性は〝性癖〟を除けば好意的に見ている方の人間である為、生死を確認できるものならしてやりたかったが、どうやら収穫はなかったらしく。


「何か解ったら真っ先に伝えるよ、色々伝手もあるしね」


「……ありがてぇ、よろしく頼むぜ」


 テクトリカに聞いても『知らなーい』としか返ってこなかった以上、地道に伝手を頼っていくしかない為、時間はかかるだろうが強者が2人揃えば何とかなる筈だというユニからの言葉を受け、リューゲルはその後ろ姿に礼を述べる。


 何よりも頼もしく、そして美しく凛と立つその後ろ姿に。


「じゃ、今度こそ帰るから。 またね、リューゲル」


「あぁ。 次は、俺がお前の力になるからな」


「ははは。 うん、期待してるよ」


 そして、いよいよ帰還の準備が整ったユニとアシュタルテが【通商術:転送(ポータル)】の向こう側へと消えていく中、借りは必ず返すと告げるリューゲルに、ユニは爽やかな笑みで以て返しながらそう言って、ドラグハートへ帰還していった──。











「……『期待してるよ』、か……ッはは──」











「──心にもねぇ事言ってンなよ、〝怪物〟」

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