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首狩人が動いた理由

 しかし、そうも言ってはいられないのが現実問題。


 あの2人は正真正銘の切り札であると同時に、もはや他に手がないとなった時にようやく動き出す最後の砦でしかない為、効かないからといって通して良いという話ではなく。


「ッ、まだ粗がある……! 怯むな、驕るな、身罷るな! 我らこそ国防の要、竜騎兵ドラグーンここに在りと轟かせてみせよ!!」


「「「了解ッ!!」」


『『『GYAOOOOOOOOッ!!』』』


 自分と同じく先ほどの光景を見てしまった部下たちや竜化生物が決して気を抜かぬように、改めて活を入れる一方。


「本丸は、頼みましたよ。 狩人ハンターの方々」


「……言われるまでもない」


「もう出番かぁ、よいしょっと」


 それはそれとして、どこまでいっても自分たちは支援役でしかないという事を証明するかの如く、あくまでも本懐たる雷雲の討伐を果たすのは貴方たちだ、と言葉と願いを託された2人の代表者たちはともに重い腰を上げ、一呼吸置き。


「国の為にと立ち上がった勇猛果敢にして尽忠報国たる狩人ハンター諸君! かの敵は諸君らが相手取ってきた如何なる存在をも凌駕する怪物だ! 必然、甚大なる犠牲も出るだろう! だが臆するな! 諸君らの奮闘はこの国の誰しもの記憶に残り、歴史に残るのだから! さぁ征くぞ、かの雷雲を討つ為にッ!!」


「ま、ほどほどに頑張ろうね〜」


「「「応ッ!!」」」


 竜狩人ドラゴンハンターの代表者は恐怖さえも呑み込めと言わんばかりの熱い鼓舞を、首狩人バウンティハンターの代表者は相も変わらぬ短めかつ間の抜けた鼓舞にもならない鼓舞を送り、それを受けた両陣営の狩人ハンターが武器を掲げて呼応した後、各々の武器や技能スキル魔術スペルなどの威力が最も有効に働く距離まで駆けていく中にあり。


「……ん?」


「どうした?」


 ユニは、ふと1つの疑問を抱いた。


「いや、ちょっと気になったんだ。 〝竜〟はまだ解るんだけど、〝首〟が参戦する理由とか名目に心当たりがなくてね」


「あぁ、その事か……」


「何か知ってるの?」


 それは、対竜化生物に特化している竜狩人ドラゴンハンターはともかくとしても、ただ『最初に依頼を受けた組織の1つだから』というだけで、どうして対人に特化している首狩人バウンティハンターまでもが積極的に関与してくるのか、という抱いて当然の疑問。


 本人たちに聞けるような雰囲気ではないし、と思っていたところ、どうやらリューゲルは何かを知っているらしく。


「俺もここ2日で警察官ポリスどもに聞いた話なんだがよ──」


 仕入れたばかりの情報を、呆れ顔で語り出す──。


 ……そもそも、この雲羊竜うんようりゅう討伐作戦の発端となったのはとあるパーティーの不正行為と不注意だったわけだが、ではそのパーティーとは一体()()()()()()()()()のだろうか?


 もちろん、問うまでもなく竜狩人協会(D・ハンターズギルド)である。


 リューゲル自身もそう言っていたし。


 しかし、どうやらその情報は正確ではなかったようで。


 警察官ポリスが身元を判明させた際、明らかとなったそうだ。


 彼らが皆、何らかの問題を起こして皮肉にも〝クビ〟になっていた、〝元首狩人(バウンティハンター)〟であったという衝撃の事実が。


 つまり、首狩人バウンティハンターたちが参戦しているのは。


 ……否、参戦を強いられているのは──。


「要は元同僚の尻拭いに駆り出されてるってわけだ」


 彼らの尻拭い──というか、しょうもない真似をした元同僚のせいで下落しかねない首狩人協会(B・ハンターズギルド)の価値や存続意義そのものを守る為には戦わざるを得ないというだけであり。


「何というか……哀れだね。 そんな事の為に──」


 弱者には滅多に興味を示さないユニが、こうして思わず彼らの境遇を哀れに感じてしまうほどの下らない理由で。


「「「ぐぎゃあぁああああ……ッ!!」」」


「「「いやあ"ぁああああ……ッ!!」」」


「──消し炭にならなきゃいけないなんて」


 命を落とす事になる彼らを、また哀れんだ。

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