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2日後、決戦前

あけましておめでとうございます!


今年も本作をよろしくお願いします!

 そして、ユニとリューゲルを中心とした波瀾から2日。


「おはよう、リューゲル。 調子はどうだい?」


「おう。 まぁまぁだな、上の下ってとこだ」


 まだ日の昇り切っていない夜明け前な青藍色に彩られた空の下、挨拶を交わす普段通りなユニと眠たげなリューゲル。


 本来の天候としては晴れと言って差し支えないが、この辺りの今日の天気は〝晴れ時々雷雲〟であり、かの存在を討ち倒すところまでいけて始めて〝終日晴れ〟になるのだろう事を、この場に居ない者さえ含めたの人々は皆、知っていた。


 ──閑話休題ところで


「あれからフェノミアとの連絡は取れた?」


「……いや」


 2日も経過した今、流石に連絡の1つくらい取れただろうと踏んだがゆえの問いかけに、リューゲルは首を横に振る。


 ユニの楽観的な予想に反し、まだ音信不通のままらしく。


「なぁ、それどころじゃねぇのは解ってんだが……」


 こうなれば、と後回しにして当然の事態である事を理解した上で、間違いなく自分より優れた通信手段を持っている筈のユニに、お前も連絡してみてくれと頼もうとしたものの。


「残念、私も駄目だったよ」


「……ッ、そう、か──」


 どうやらユニは2日前の時点でフェノミアへの連絡を試みていたようで、それから昨日と今朝も1回ずつ上級魔術ハイスペルすら行使したらしいが、それでも連絡はつかなかったと明かし。


 単純な眠気に加えて相方の安否という不安要素まで伸し掛ってきたせいか、ただでさえ上の下くらいの彼の力が中の上くらいまで落ちようかという事態に陥りかけていたその時。


 そんな意気消沈気味の彼から少し離れた場所では。


「相手は迷宮を護る者(メイズガーダー)かつLv100の雲羊竜うんようりゅう! どの要素を取っても初見だという者も居よう! だが案ずる事は何もない! 我々には優に100を超える同業者と400近くの頼れる味方、何より2人の絶対強者(Sランクハンター)がついているのだから!!」


「ま、そーゆー事で。 今日のところは一時結託チーミング優先ね〜」


「「「応ッ!!」」」


 かたや、200人ほどの竜も首も問わない狩人ハンターたちが各々の属する組織の代表者たちからの鼓舞を受け、かの雷雲を撃墜すべく各々が用意した遠距離武器を高く掲げて呼応し。


「すでに多くの犠牲を出し、そのうえ他国の人間に全てを託すような事があっては面目など丸潰れ! 警察官ポリスたちよ、奮起せよ! その身を粉にして、この事態の終息を図るのだ!!」


「どんな事情があるにせよ……生まれ育った、或いはこれまで暮らしてきた国を護りたいという想いは同じ! 相手が竜であるなら尚の事! 人間ヒトも竜もなく、その爪と牙を振るえ!」


「「「了解!!」」」


『『『GYAOOOOッ!!』』』


 かたや、300人ほどの警察官ポリス竜騎兵ドラグーンたちがやはり各々の属する組織の代表者たちから、あちらともまた毛色の違う鼓舞を受け、人間たちはあまりに整った敬礼で、竜化生物たちは咆哮で呼応するという勇ましい光景が広がっていた。


 ……ちなみに、それら4つの組織には属さない傭兵マーセナリーの姿は見えないものの、彼らは〝最も受け取れる報酬が高くなる瞬間〟を狙っている為、戦いが始まってすらいない今は姿を隠して機を窺っているのだろうとユニは理解しているが。


 まぁ、それはそれとして。


 4人の代表者たちは1人の武人として見ればハッキリ言って弱い部類に入ろうが、彼らの本質は──その〝統率力〟。


 どんなに口だけでも、どんなに傲慢でも、どんなに無能でも、彼らは他者を最大限に活かす方法を心得ているのだ。


 そんな彼らの勇猛なる姿勢に、リューゲルは舌を打つ。


 彼らに苛立ったから──……ではなく。


 この局面でウジウジしている、自分に苛立ったから。


「……悪ぃ、お前に助力を頼んだ俺がこんなんじゃお前にもアイツらにも示しがつかねぇよな。 気合い入れてかねぇと」


「その意気だよ。 それじゃ、征こうか」


「おうよ!」


 リューゲルは、奇しくもそれを気づかされたのだった。


 ()()()()()()()()()、と己が罵倒した者たちに。

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