決行は明後日
今年の更新は今回で最後です!
次回更新は、1/11(土)となります!
今年も本作をありがとうございました!
それから、もうユニを疑う理由もなくなった3人の代表者たちと2人のSランクは、6人の部下たちを見張りとして外に置き天幕の中へ入りつつ、用意された椅子へと座り。
「改めまして、ユニ殿。 この度は疑いをかけるだけでは飽き足らず試すような真似までしてしまい、誠に申し訳ございませんでした。 その上で助力を願うなど烏滸がましいとは存じますが、すでに状況は切迫し切っております。 どうか……」
ユニが竜狩人である事を踏まえれば自分が話を進めるべきだろうと判断した竜狩人協会の代表者が、『彼の暴挙を止められなかった自分にも非はある』と頭を下げながらも、リューゲルからの個人的な頼みだけでなく正式なクエストとして受理してもらいたいと真剣な表情で依頼したところ。
「気にしなくていいよ、ファンの子たち以外に疑われるのは慣れっこだし。 で? アレに挑むのはいつになるのかな?」
「ふむ……連携はともかく、戦力は整いましたので──」
普段はレベリングの為に迷宮に居る事が多い関係上、意外とファンクラブの会員でもなければ顔が知られていなかったりするユニからすれば失礼でも何でもなく、それよりも討伐の日程が気になって仕方ない様子のユニからの問いかけに。
「──2日後、民間人の避難と戦場の完全封鎖が終了次第」
「了解。 お互い頑張ろうじゃないか、ねぇリュ──」
本来なら即時開戦でも構わないのだが、おそらく今まで以上に大規模な戦闘となる事が予想される為、可能な限り今以上の被害を出さないようにする準備が完了するまで少し時間が欲しいと主張する彼の解答に、ユニが承知と首を縦に振りつつ今回の主役となるだろう狩人に発破をかけんとしたが。
「──リューゲル?」
「……あ? 何だ?」
「いや、頑張ろうねって」
当の本人は何故か、『ん〜……?』と唸りながら俯いたまま微動だにしておらず、こうして名前を呼ぶまで反応さえしなかった彼に疑問を抱きつつも改めて発破をかけるユニ。
「え……あ、あぁ悪い、考え事してた」
「どうしたの?」
「……いや、個人的な事なんだがな」
どうやら彼は、ここに至るまでの話を耳にはしながらも全く別の事についてを考えていたらしく、またその別の事とやらが完全に私的な内容である為、話すべきかどうかという事についても悩んでいたようだが結局、彼は話す事に決め。
「一応、解決の目処が付いたってのをフェノミアに報告してやろうと思って、さっきから何回も通信してんだが──」
元々は【碧の杜】で受ける筈だったクエストである為、彼の親族がどうのという話はともかく、あの雷雲の正体やクエスト自体の大まかな内容は共有していた相方、フェノミアにもユニの存在や助力についてを迷宮宝具を使用して報告してやろうとしていたらしいものの、どうやら上手くいかず。
「──連絡、つかねぇんだ。 今まではすぐ繋がったのによ」
無視されているのか、それとも単に出られないのかは解らないが、これまでなら初回で反応した筈なのに2度3度と掛けても反応しない事実に困惑していたのだと知ったユニは。
「……ふぅん」
どういう心境からなのか、ただ意味のない音で返すだけ。
『うぅ、これオキニだったのにぃ……(T ^ T)』
(……まだ言ってるよ)
背後から被さる死霊が鬱陶しかったせいかもしれないが。