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狩人講習:7日目・vs人造合成種 (漆)

「【神秘術:回復(ヒールスペル)──」


 とにもかくにも、ある程度HP(体力)を回復しない事には討伐も弱体化もないと解り切っていた為、戦闘に使用する分を残す事を前提とした最低限の回復をと技能スキルを発動せんとした時。


『──BOOWLッ!!』


『『YEL……ッ』』


「ッ!? はや──」


 3つの内、シェルトから見て右側の首だけが短く吠えたかと思えば、その巨躯からは想像できぬほどの速度と高度で跳躍するとともに噛み付くか踏み潰すかしようとしてきた為。


 ()()()()()()()()と分析しつつも、その高度が幸いして何とか【武人術:回避(スウェイ)】の起動と実際の回避行動が間に合い。


、つ……ッ!」


 着地時の衝撃と、それに伴い四方八方に拡がった石礫が散弾のようにシェルトを苛みはしたものの、そんな事より。


(待って、速いし痛いのもそうだけど……今の、何か……)


 今の一連に、シェルトは何らかの違和感を抱いていた。


 予備動作が殆どない突進、異様な高度の跳躍と気になる要素は幾つかあったが、それを引き起こしたのは──。


(右側の首の、〝独断〟だったのかもしれない……!)


 3つの首の内、()()()()()()()()()可能性がある。


 それを証拠に突進の際、逸る気持ちで短く吠えた右側の首とは対照的に、残る2つは突然の事に驚きつつも『またか』とばかりに()()()()()()()()()ような素振りを見せていて。


 もしかしたら、右側以外の首は突進ではない何らかの方法で以てシェルトを殺そうとしていたのではないかと。


 そんな中、抜け駆けでもしようとしたのか右側の首が相談もなく突っ込んでいったのが原因だったのではないかと。


 シェルトが抱いた違和感の理由は、そこにあった。


(でも、まだ確証は……1回、試してみないと!!)


 しかし違和感はどこまでいっても違和感でしかない為、貴重なMP(魔力)を消費してでも試さねばと踏んだシェルトは。


「【増強術:速勢(クロックアップ)】、【賢才術:暴走(インフレーション)】……!」


 つい先ほど収納したばかりの銃を再び【通商術:倉庫(ストックルーム)】から取り出しつつ、【銃操術:砲塔(ターレット)】を用いての一斉掃射などではない、とある意図を秘めた技能スキルを放つ為の準備を瞬時に完了させてから。


「──【銃操術:全弾(フルバースト)】ッ!!」


『『『WOOF……ッ?』』』


 寸法サイズだけなら人造合成種キマイラの半身ほどにも相当する魔力の弾丸、もとい砲弾を先の息吹ブレスにも劣らぬ速度で発射した。


 それは、威力と密度を度外視した規模と速度特化の一撃。


 言ってしまえば、ただの〝張りぼて〟である。


 見てくれだけなら確かに鏡試合ミラーマッチの際にトリスが加速目的で放ったものより遥かに強そうだし、たとえシェルトが放ったものだとしても警戒してしまうというのも解らなくはない。


 とはいえ、人造合成種キマイラが乗ってくるかどうかは賭けだが。


 ……どうやら、上手くいったようで──。


『WOOOLッ!!』


『LUUUU……ッ』


『ッ!? GRRR……ッ、BOWOOOOッ!!』


「危なッ! い、いやそれより……!!」


 右側の首は【銃操術:全弾(フルバースト)】を跳躍して躱そうとし。


 左側の首は【銃操術:全弾(フルバースト)】を寸前まで見極めんとし。


 そして中央の首は、そんな2つの首の息の合わなさ加減に面食らいつつも強制的に制止させ、1匹分の息吹ブレスで即迎撃。


 当然、見てくれだけ立派でも中身はすっからかんな張りぼてでしかない魔力の砲弾はあっさり消し飛ばされ、その向こう側に居た当の本人をも跡形もなく吹き飛ばさんとするほどの威力の息吹ブレスにシェルトはただただ圧倒されながらギリギリで回避するしかなかったが。


 ……これで、ハッキリした。


(やっぱりそうだわ、あの増殖変異種ミュータント擬き──)











(──意識まで統合されてるわけじゃないんだ……!!)

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