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狩人講習:6日目・実地調査 (起)

 厄災との激闘を終えた翌日、狩人講習ハンターズセミナー6日目の朝──。


「「おはよう、ございます……」」


「おはよう、露骨に疲れが出てるね」


「「すみません……」」


 ここまでの5日間と同じ場所で、ここまでの5日間とは比べ物にならない精神的疲労を蓄積していると見られるシェルトとハーパー、そして特に変化のないユニが挨拶を交わす。


 ……ちなみに、ハクアとシェイは欠席。


 少しだけ、1日だけでいいから1人になりたいとの事。


 本来、狩人講習ハンターズセミナーを休むなどという事は余程の理由がない限り認められないのだが──貴重な時間を割いてくれている先達の事を思えば当然──ユニはこれをあっさり承諾。


 それというのも【妖魔弾の射手(ファントムシューター)】や【狂鬼の戦乙女(ワルキューレンオーガ)】と接触させた時点で、ハクアとシェイについてはすでに講習セミナーで教えたかった事は全て伝え終えているも同義であるらしく。


 元々あの2人には『明日の講習セミナーは自由参加、休んでもいいよ』と伝えてあった為、承諾も何もなかったという訳だ。


 とはいえ、2人にしか伝えていないという事は。


「疲れてるところ悪いけど、さっそく講習セミナーを始めるよ」


「「は、はい……ッ」」


 残る2人は〝強制参加〟であるという事。


「今日、君たち2人にやってもらうのは〝実地調査フィールドワーク〟。 どこかに在る迷宮の入口を見つけ次第、内部を調査。 〝扉〟を設置した後、協会ギルドに新たな迷宮の出現を報告。 いわゆる〝探索クエスト〟の全行程を、君たち2人に担ってもらうよ」


「「はいッ」」


 6日目となる今日、課せられた課題は〝実地調査フィールドワーク〟。


 ユニが告げた内容が全てとなる、クエストの中ではそこそこ難易度の低いとされる探索クエストに挑むと知ったシェルトとハーパーの表情には疲労こそ残っていれど、そこに油断や慢心といった新米特有の改善点は見られない。


 ここまで来れば、流石に解っていたのだ。


 ユニからの課題が、ただで終わる筈がないと。


 その後、2人は協会にて『地上で迷宮を彷徨う者のような巨躯の竜化生物が目撃された』という情報が切っ掛けとなった探索クエストを受注、目撃情報があった地域へ転移した。


 ……尤も、今回は難易度の低い探索クエストという事もあってか1から10まで黄金の橋(ギャッラルブルー)だけで達成してもらうとユニから言われた為、シェルトの【通商術:転送(ポータル)】にて転移し。


 ユニが一瞬で目的地への転移に成功したのに対して、シェルトの商人のLvはまだまだ低く、おまけに適性も高いとは言えない関係上、都合4度の転移でようやく到着しており。


 すでに結構なMP(魔力)を消費してしまっていたが、そんな事はユニにも協会ギルドにも関係ないし知った事でもない為、甘えなど許される訳もなく、すぐさま2人は周辺地域の探索を開始したものの。


「ふぅ……ハーパー、そっちはどう?」


「いえ、これといって収穫は……」


「そう……」


 もちろん、そう簡単には見つからない。


 そもそも、迷宮の出現はいつだって突然だ。


 いつ現れるかも、どこに現れるかも誰にも解らない。


 それは、ユニでさえ例外ではないのだ。


 尤も、ユニには黄金の橋(ギャッラルブルー)を始めとしたSランク未満の狩人ハンターたちにはない星の数ほどの手札がある為、2人がこうして探索している間にも入口を見つけ終えているし、もっと言えば出現しかけている迷宮の産声すら感知できているのだが。


 当然ながら、それを教えてやるつもりはない。


 これは紛れもなく、狩人講習ハンターズセミナーの一環なのだから。


 ゆえに、ユニは2人に対して助言など与えぬまま。


「……?」


 嚮導役ガイドを始めたその日から、ずっと自分たちを覗き続けている何某かの正体を暴く為の思索に徹しているのである。

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