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いくら安全地帯といえど

ここからが〝竜狩人協会(D・ハンターズギルド)編です!


この章から更新が2日に1度となります。

ご了承いただければ幸いです。

 痴話喧嘩にも等しい内輪揉めで、この国唯一のSランクパーティーであった虹の橋(ビフレスト)を解散させ、著しく国力を低下させたものとして処罰を受ける事となったSランク竜狩人ドラゴンハンター


 【最強の最弱職(ワーストゼロ)】──ユニ。


 下された処罰である〝迷宮攻略〟も無事に終了し──犠牲者も出ているが、それはそれ──今は女王陛下の個人的な欲求を満たす為だけに呼び出されていたのだが。


「──……腐っても冥界の次席、侮れんな」


『あれれー? おかしーなー? さっきの〝スパダリゆにぴに甘え散らかす女王サマ〟はどこ行っちゃったのかなー?』


「……殺す」


『ざんねーん! もぉ死んでますぅーm9(^Д^)www』


 今現在、女王の私室とは思えないほどにゆったり寛いでいるユニの目の前では、いかに王城の内部といえど室内で繰り広げていい次元ではないほどの衝撃と轟音が止まない激闘が勃発しており。


 かたや1年ぶりとなるユニとの貴重な一時を邪魔されたがゆえに、かたや〝好きピ〟とか何とか言っていたが要するにユニへの独占欲がゆえに互いを本気で滅ぼそうとしている事は明らかだった。


 ちなみに、これは余談だが。


 ヴァリアンテは、()()()()()に就いている。


 そりゃあ女王なんだから女王そうだろうと思うだろうが。


 ……そうではない。


 ヴァリアンテが就いている職業ジョブは、世界広しといえど平民はおろか貴族さえを比較にならぬほど尊い血を継承した者、或いは〝実力ちから〟でその座を簒奪した者にのみ就く権利が与えられる──。


 その名は読んで字の如く──【王族ロイヤルティ】。


 4つの随時発動型技能アクティブスキルと1つの常時発動型技能パッシブスキルを持つ事自体は他の職業ジョブ武装アームズと変わりないが、それら全てが他の職業ジョブ武装アームズにおける幾つかの技能スキルの完全上位互換に当たるという、まさに王の王による王の為の職業ジョブ


 もはや言うまでもない事ではあるものの、ヴァリアンテは2つの方法の内、後者によってこの職業ジョブを手中へ収めるに至り。


 今、冥界のNo.2を相手に互角の戦いを繰り広げている。


 ……ように見えるかもしれないが。


(同格ではないな。 ちょっとテクトリカが上回ってるみたいだけど、はっきり姿が見えてる時点で大差ないんだろうね)


 ユニからすれば、テクトリカの存在を姿ごと明瞭に知覚できている時点で五十歩百歩であろう事実と同時に、ほんの少しだけテクトリカの方が優位に立っている事も明らかだった。


 フュリエルは〝消滅の白炎〟を、アシュタルテは〝流行の兵器〟を武器としていたが、テクトリカはその2柱ともまた違う力を有している。


 ──〝無尽の憑依〟。


 そもそも、このテクトリカなる死霊卿エルダーリッチは数万、数億、数兆──とにかく数える事も馬鹿らしくなるほどの〝魂の集合体〟であり、その中で最も能力に秀でていたテクトリカが他の魂を従わせた結果、冥界のNo.2になるまでの強者となっているらしく。


 その能力とは、あらゆる物体や物質に己から切り離した魂を憑依させ、それらを意のままに操る事ができるというもの。


 ……それだけ? と思うかもしれないが。


 先述した通りテクトリカは無数の魂の集合体であり、その能力の行使についても文字通りの〝無尽〟──そこに果てなどない。


 極端な話、あらゆる生物の肉体1つや複数の部位どころかおよそ60兆個にもなる細胞の1つ1つへ憑依させる事もできる。


 今それをしないのは、テクトリカとヴァリアンテの実力が限りなく拮抗した状態にあり、〝しない〟のではなく〝できない〟のだろうと確信する一方。


(……そろそろ止めた方がいいかな。 このまま放っておいても私の【通商術:安地(セーフゾーン)】が壊れる事はないだろうけど──)


 実はユニ、この下らない理由とは裏腹な国と国との戦争よりも激しい戦いが幕を開ける直前、突然変異種ミュータントでもなければ侵入はおろか知覚する事さえできない亜空間へ女王の私室ごと自分たち3人を閉じ込めており。


 テクトリカもヴァリアンテもユニより劣っている以上、ユニの【通商術:安地(セーフゾーン)】が内側から破壊されるような事はなく、そして外側へ衝撃や破壊音が響く事はないだろうとは解っているが。


 それはそれとして、『ここまで静観してやっただけでもありがたいと思え』、『これ以上、時間を無駄にしたくない』という想いがあるというのも否定しようのない事実であった為──。


「──そこまで」


「『!!』」


 片手で女王の得物を、片手で死霊の得物を止めた。

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