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魔物の笛

 フリージアがシャワーから出てきたところを捕まえて、葵はレベル上げについて聞きたいことを聞いた。

 フリージアは丁寧に答えてくれた。この世界にもレベルの概念があること、初めは街や村の周りの弱いモンスターを倒して経験値を稼いでレベル上げをすること、怪我などは薬草を当てて治していることを教えてくれた。

 

「明日からレベル上げもしたいんですけど、いいですか?」


 おずおずと葵が聞くと、フリージアは「いいわね!」と頷く。


「モンスターからアイテムもドロップできるし良いと思うわよ!ただ一人では危ないから、私がついて行ったほうがよさそうね。」

「いいんですか!?」


 葵がぱっと顔を輝かせると、フリージアはにっこりと笑う。


「もちろんよ!情報収集は男たちに任せて、私達はレベル上げ頑張りましょ!ビショップ一人よりは効率がいいと思うわよ。」

「ありがとうございます!」


 葵はホッとしていた。正直に言うと一人では不安だったのだ。なので、フリージアが同行してくれるというのは心強い。安心した葵は、疲れからかすんなりと寝付くことができ、翌朝にはスッキリと目が覚めた。


「じゃあ葵、この辺にしましょうか。」

「はい!」


 翌朝、フリージアと葵は街から少し外れた森の中にいた。アンディも一緒だ。アンディをずっとスリングに入れていると葵の肩が痛くなってくるので、情報収集に行ったラークが代わりにアンディを見ててやろうかと提案してくれたが、申し訳ないと思って葵は固辞した。アンディはどっちでも良さそうだったが、なんだかそれは飼い主として悲しい。


「葵、俺いつもだったらこのくらいの時間は寝てるんだけど…。」


 アンディがスリングの中でふわあ、と大きなあくびをしてみせる。確かにアンディはそろそろシニアなので、日中は寝て過ごしていることが多いと母が言っていた。

 しかし、宿の部屋にアンディだけを残してくるのも心配なので、文句を言われようがレベル上げには付き合ってもらう。

 葵がアンディにそう告げると、アンディは渋々といった様子でもう一度大きなあくびをした。

 二人のそんな様子を見ていたフリージアはクスクスと笑っていたが、ゴソゴソとスカートのポケットから笛のようなものを取り出した。


「なんですか、それ?」


 葵が不思議に思ってフリージアに聞くと、フリージアはニヤリと笑ってみせる。


「こっちからモンスターを探すのは手間でしょ?だからこの笛で来てもらうの。『魔物の笛』よ。」


 えっ、と葵が思った次の瞬間にはフリージアが魔物の笛をピイイと吹き鳴らす。そして、上空からは鳥のモンスターが二匹、森の中からは昨日見かけたスライム状のモンスター四匹がウオオオと大きな声をあげながら突進してくる。


(こんなスパルタある!?)


 と葵は思ったが、フリージアは次々と上空の敵を射掛けて空から落としていく。そしてスライム状の魔物も。


「葵!致命傷は与えられてないからあなたの魔法でトドメをさして!」


 どうしたらいいのかオタオタしている葵に、フリージアは的確に指示を飛ばす。葵はそれを聞いて昨日は唱えられなかった攻撃魔法を唱える。


「ホーリーブレイク!」


 一匹、二匹と確実に仕留めていく。倒してもそのうち復活することを知っているので葵は気が楽だった。


「うん、いい感じね。魔物の笛は音が聞こえる範囲までしか効果がないから、この辺の低レベルなモンスターしか出てこないの。だから二人でもそれなりにこなせるはずよ。」


 そう言われて葵はホッとした。何かの間違いで強い魔物が出てきたらどうしようと密かに不安に思っていたのだ。なのでそれを聞いて安心する。


「さて、この調子でやっていきましょうか?魔力が無くなったら一旦街に戻って休憩にしましょう、それまではガンガン行くわよ!」


 やる気にあふれるフリージア。葵はその姿を見て、心底ありがたいと思うのだった。

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