第8話 畑に帰れ!
デートです。
小学3年生になった。
最近は魔法陣を描くのが2秒くらいになってきた。
これでもやはりクラスでトップでは無い。
さすがにトップの人は、まだ魔法を発現していない。
なぜなら即興で描けるようになってからがまた大変なのだ。
主にタイミングと想像力が鍵だ。
そのため、うちのクラスのトップが魔法を使えるようになるのは、もう少しかかりそうだ。
俺は今、街に出て買い物に来ている。
なんでも茜が誕生日プレゼントが欲しいらしい。
なので茜と一緒に歩いている。
しかし、店はどこも閉まっている。
最近景気が悪く、いつもこんな感じなのだ。
理由は隣国の戦争である。中産とロドシアという大国が半年ほど前に戦争を始めたのだ。
世界経済の先行きの不透明さから株価が大暴落。未曾有の恐慌として、戦争の始まりの場所の名前をかけてオーイルショックと呼ばれている。
決して、石油は関係ない。なぜならこの世界の燃料源は石油では無いからだ。
ただ戦争が始まったところがオーイルという地名だっただけだ。
こんな時に買いにこなくてもいいだろうに。
前に来た雑貨屋さんに来たが、案の定空いてなかった。
茜はふくれ顔だ。
そうしていると、後ろから肩を掴まれた。
すわっ!曲者!
と思ったら、幼馴染の隠元だった。
3年ぶりか。
こいつは首都の西京にある政治家を多数輩出する小学校に通っている。
ちなみに俺が通ってるところは、軍人を多数輩出している。
なので最後に会ってからは連絡すら取ってなかった。
「よう。久しぶりだなすばる!
彼女とお出かけか?」
「彼女じゃないですから!」
「ゴフッ!」
隠元が照れた(演技)茜にぶたれて5mほど吹っ飛んだ。
うん、だって身体強化使ってぶってんだもん。
生きてるだろうな?
「イテテテテ。ごめんごめん、失言でした。」
うん、鼻から血が出てるが大丈夫だろう。
こいつはなんだかんだいって、計算高いからこうなることも予想していただろう。
ちなみに俺は魔法基礎の先生が好きだったが、1ヶ月ほど前に結婚したため、血の涙を流した。
失恋は辛いよ。
先生ロスはクラスの男子の総意である。
そう思ってるうちに、隠元は回復したようだ。
月の魔法には、自己治癒能力の向上の能力もあるため、こんなに早く回復したのだ。
「まずは自己紹介から。
こいつのダチで武田 隠元だ。
よろしく!」
「さっきはぶってごめん。
スー君の愛人の進藤 茜です。
こちらこそよろしく!」
こいついつから俺の愛人になったんだ?
なんで小三なのにそんな言葉知ってんだよ。
こいつは小三のくせしてジョークのレベルが高すぎる。
1回、ジョークに本気で返してみれば照れるのではないか?と思いやってみたら本気でキスされた。
そん時はマジでビビった。
だって普通冗談好きの人って本気でこられたら照れるじゃん!テンプレは!?
そんなことしてもギクシャクすることも無く、こう2人で出かけるという異常事態を俺はどうすればいいのだろうか。
しかも向こうは本気にしてないし。
「おっとそれはそれは、デートを邪魔して悪かった。」
こいつもうどっか行けよ。
畑に帰れ!
喧嘩両成敗でもしてろ!
「ん?俺の家畑じゃないよ。」
はぁ、なんでこう俺の周りにはエスパーが集まるんだろう。
もしかしたら俺が知らないだけで、そんな魔法があるのかもしれない。
一切目立ってないため、注目されることはないけれど、俺の交友関係によって心労が…。
俺の寿命は近いのかもしれない。
ここで終わると思ったそこのあなた!
終わりません!
結局買えなかったため、近くの花畑で花を摘んでプレゼントした。茜は喜んでいたから大丈夫だろう。
隠元はあの後すぐどこかへ行ってしまった。
あいつなんで御場佳市に来たんだろう?
全くの謎だ。
隠元くんはだいぶ謎です。