第5話 これがとても難しい
説明回になってしまいました。
あれよあれよと時は過ぎ、俺は2歳になった。
さすがに2歳になればこちらの言葉や常識が分かってきた。
まず俺の名前は前世とほぼ同じで
熊谷 流星だ。
うん熊谷か越谷かの違いだね
でもこの国の名前は苗字が先で名前があとという、形式が日本と同じなのだ。
この世界には他の国もあり、この国は文化がほぼ同じなようだ。漢字やひらがなに似たものがあるし。
だからといって、他の国も地球と同じという訳ではなく異世界の定番、帝国や王国と言ったものもある。
数はとても少ないが…。
ちなみにこの国は鳥国という名前で民主主義の国らしい。
彫刻では無いぞ。
民主主義って進んでるなぁと思った諸君!
そうなのである!
この世界の文明は、魔法があるのにも関わらず現代並に高いのだ。さすがに倫理観や軍事関係はだいぶ違うがね。
だから戦争などは普通に起こる。
だってさ考えてみてよ。魔法は万能じゃないんだよ。いくら魔法が発達してるとはいえ、魔法でできないことの方が多いんだからそりゃ科学や文明も発達するだろうよ。
誰だよ異世界は中世ヨーロッパ風だって言ったの。言ったやつ✕✕✕✕✕すんぞ!
失礼少々暴言が…。
気を取り直して説明に戻ります。
そしてこの世界には魔力と言ったものが充満していて、都市部などには少なく森には多いらしい。
そして皆さんお待ちかね、獣人、ドワーフといった異種族と恐ろしい魔物がこの世界にはいます!
テンプレに拍手!!
いやぁやっときましたよ。
異種族は、主に動物の耳や尻尾などが生え、肉体強化に優れ魔法が苦手な獣人、耳が長く寿命が長いエルフ、背が低く毛が濃く、手先が器用なドワーフ、力が強く、排他的な暮らしを好む龍人、魔法に長け、最も種族内の見た目が様々で、最も種族間の同胞意識が高いのが魔人である。
魔人や龍人は独自の国を持つが、その他の種族は世界中に散らばっていて、発展途上国などでは差別意識は強いが、先進国では、憲法や法律で差別を禁止されてるため、差別は特に存在しない。
発展途上国でも地球の国連と同じような組織である、世界連盟が差別を禁止しているため、差別意識が薄まりつつある。
そのため種族間の混血も進んでいて、耳が短いエルフや、毛が薄いドワーフなどは多く、自分の家系に血が混じっているかも分からないため、一概に差別もできない現状である。
ちなみにそのため隔世遺伝も多く、いきなり人間の夫婦に耳が長い子供が生まれてきたりする。
続いて魔物だが、地球とこの世界は、ほぼ生態系が一緒で、もともと人間を襲うほどの肉食動物が魔力を吸収したものが魔物であり、特別もともと草食動物だったものは魔力を吸っても凶暴化せず、魔物とはならないようだ。
そうなると人間も魔物みたいに凶暴化しちゃうからね。
なので魔物の数はそこまで多くはないようだ。
そのため憧れていた冒険者という職業は存在しないようだ。
理由は魔物はあまり人里には降りてこず、降りてきて暴れた場合も、直ぐに軍隊が出てきて討伐するため必要ないのだ。
ほんとテンプレがないよなぁ。
ちなみに子供の人気ナンバーワン職業は、動画を撮って配信するシーチューバーである。
俺はあまり人前に出るのが得意ではないため、そんな職業など嫌に決まっている。
陰キャはねぇ、自己顕示欲が低いのですよ。
閑話休題
続いては、お待ちかね魔法に関してです。
この世界の魔法は、日、月、火、水、木、金、土に分かれている。
曜日じゃないよ。
日は光を操る術であり、主に攻撃力に優れたものであるが、防御には向かないものだ。しかし、他人の傷を癒す効果があり、治癒魔法としての一面もある。
月はつきではなく、にくづきと読み、主に、身体を操る術である。身体強化をしたり、身体を自在に変化させたりする能力である。ほとんどの人がこれを持っていて、人間は肉体の強化はできるが、あまり身体を自在に変化させるのは得意ではない傾向がある。
この魔法は他とは少し異なり、魔法の発動の仕方がまるで違う。それは後で説明する。
火はそのままの意味で、火を操ったり、温度を調節する術である。温度をあげる方向だけでなく、温度を下げる方向もある。
水は、そのままの意味で、水を生み出したり操ったりする術であり、魔力を込めれば、なかなかの攻撃力となる。
木は、木や気候を操る術である。何故気候かが気になるところだが、これは、この術が自然力を操る力であるからである。なので魔物は操れないが、動物を操ったり、風を起こしたり、雷を使ったりするとても強力な魔法であり、範囲攻撃に優れているが、とても術者の数が少ないため、国では重宝されている。主に魔人がこの能力を持っている割合が多い。それでも人口の0.1%程しかいないそうだ。
金は、金属を生み出したり、操ったりする術であり、主に鍛冶師が使い、戦闘では、弾丸のように高速で放出することも出来る。また、金を生み出すことも出来るが、法律で禁じられていて、バレた場合、国によっては最悪死刑となるためやる人はいない。
土は、そのままの意味で、土を操る術である。穴を掘ったり、地面を隆起させて、壁を作ったりすることが出来る。土には金属も含まれているため、金の魔法と違いがわかりにくくなってしまっているが、土の魔法は主に粉っぽいもの(砂鉄など)、金の魔法は、大きな(小さくとも5センチ以上)個体と液体を操るという違いがある。
これらの魔法は、魔法と名前がなっているが、文中で術としている通り、決して簡単なものではなく、魔法を発動するには、発動する魔法の種類によって適切な魔力量を放出し、放出した魔力の濃淡によって空間に三次元的に魔法陣を描き、頭の中で明確に、魔法を想像することによって発動する。
これがとても難しい。
だいたい異世界のテンプレでは2歳になれば魔法を発動したりするのだが、この世界では、はっきりいって無理だ。
俺は、どんなに練習しても三次元的に魔法陣を空間に描くことができない。まだ、空間に魔力の濃淡をつけるのが精一杯だ。これを繰り返し練習すると描けるようになるらしい。それでも2歳で魔力の濃淡をつけられるのはかなり天才の域らしい。
超天才が1歳くらいから死ぬほど訓練すれば、最速6歳で魔法を使えるらしいが、現実的には、天才で、9歳か10歳くらいで使えるようになるらしい。
平均ではだいたい14歳か15歳くらいに使えるようになるらしい。遅い人だと18歳くらいになるそうだ。
もっと才能がないと、25歳でやっとという場合もあるらしい。
例外として月の魔法は、魔法陣を描く必要がなく、魔力を身体に滾らせれば発動する。自身の魔力の量、質、なめらかさ、などによって精度が変わり、一流となるとクレーターを作ることが出来るパワーや、音速を超える速さなど、軽く人外な身体能力を得る者もいる。
そのため、大抵の人は使うことが出来、現に俺も使うことが出来る。まぁ少しものを持ち上げられるくらいなのだが。
続いて属性についてだ。
属性はだいたい人だと2つか3つが主流であり、大抵の人が月を使えるため、2つ目が火か水を持っている割合が多い。4つ以上は天才と称され、5つは人外、6つは化け物となる。7つ全てを持つ人は未だにいない。
俺がその第1号になるんじゃね!
と思ったが俺は、3つで、月と火と水である。
はっきりいって普通である。
チートじゃねぇじゃねぇかこんちくしょう!
ちなみに測定は魔道具で行い、普通は3歳くらいでやるのだが、俺は、親に催促して早めに測定してもらった。
次に俺の家族を紹介しよう。
まず、俺の父親、熊谷 塩実 38歳
属性は、月と火と土。
すげぇ歴史上の人物みたいな名前である。平さんの首切ってないだろうな?出家しないでね?
凄い威圧感と覇気の持ち主である。本人に自覚はない。職業は軍人であり、階級は大将である。
うん、普通に言ってるけどこれおかしいからね。なんでも先の戦争で輝かしい武功をあげたため異例の昇進を果たしたらしい。最年少だって。戦争に関してはまた後で紹介するが、大将などの普通前線に出ない職でも、この世界では前線にたつらしい。
二つ名は赤の軍神だそうだ。
最近の悩みは薄毛だそうだ。
ちなみに相当稼いでいる。
次は、俺の母親、熊谷 美智子 29歳
属性は、月と水。
特別綺麗という訳では無い。はっきりいって普通である。前世の母親にほんとにそっくりである。父さんとの恋愛話もあるらしいが正直いって聞きたくないため聞いていない。
最近小言がうるさい。
ダイエットにハマってるらしい。
最後に、俺の姉、熊谷 智子 5歳
属性は月と水。
随分と可愛らしい見た目をしているが、特別美少女という訳では無い。毎日家をドタバタ駆け回っている。父さんにいつも抱きついていて、いわゆるファザコンである。俺をいつも抱っこしようとするのはやめて頂きたい。
好き嫌いが多く、いつもピーマンを残して母さんに叱られている。
最近おままごとにハマっていて、近所の子供を巻き込んで無理やりやっている。
ね〇ちゃんみたいになっちゃいけませんよ。
なんか説明回になってしまった…。
まぁいいか。
にしても普通だなぁ俺の家族。特別天才もいないし、あっ父親は紛れもなく天才だわ。
うん、父さんは凄い!
でも、その顔で姉のおままごとに参加するのはちょっと…。
次は進みます。