第12話 早く言えっつーの
説明回になりました。
高校3年生になった。
俺の目の前にはインゲ、ではなく隠元が座っている。
さっき久しぶりに会ったため、こうしてファミレスに入ったのだ。
「スバル、お前将来どうするんだ?」
将来か…。
俺は特にない。もう死んだ身だしな。
強いていえば軍人か。
父さんが軍人だしな。
「軍人だろうな、多分。お前はどうするんだ?」
「俺か?もちろん総理大臣に決まってんだろ。」
こいつは全くぶれないらしい。
「でもお前、軍人でいいのか?
戦争に巻き込まれるかもしれないんだぞ。」
そう、今は第四次世界大戦が起こりそうな気配なのだ。
話は変わるが、ここでこの世界のことをさらに説明していこう。
鳥国は別に日本のような島国ではない。
どちらかと言うと、カムチャッカ半島に似た、半島である。
大きさは、カムチャッカ半島とほぼ同じ大きさで、羽を広げた鳥のような形をしている。
では、他国と国境を接しているかと言われるとちょっと違う。
大陸のほうには、西海国という小国があるが、そことの間に、土の森が存在している。
土の森は土のドラゴンが住む森である。
土のドラゴンは生態系の頂点に位置する生き物である竜の一種であり、唯一地球の生態系にはない存在である。
いいね!テンプレにはやっぱドラゴンだよね!
ドラゴンは恐ろしく強い肉食動物であるが、人間並みの知性があり、無闇に刺激しなければ、人を襲うことは無い。なので土の森はどちらの国の領土でもないとされている。この他にも世界中に1つずつ日、月、火、水、木、金、の森があり、それぞれの魔法の特性を持ったドラゴンが住んでいる。
土の森の先に西海国があり、その先に中産がある。中産は9年前のロドシアとの戦争に勝ち、多額の賠償金と多くの領土を割譲され、今最も勢いがある、世界有数の大国である。中産に負けたロドシアは、先の戦争で軍に負担がかかり、軍が政府に対してクーデターを起こしそうな雰囲気になっている。この軍に対して別の大陸の大国で、ロドシアの同盟国であるメリエル連邦が敵対を表明しており、クーデターが起これば第四次世界大戦が勃発するのではないかと噂されている。
次に、この世界の戦争の形態を話してみよう。
この世界には魔法があるため、地球の形態とは大幅に異なる。
まず、魔法を放つ部隊や、身体強化により、敵に突撃する部隊などがある。
近代兵器はもちろんあるが、それは魔導具化していて、様々な魔法が付与された兵器が存在している。
例えば、銃には、火の魔法と月の魔法が付与されていて、火の魔法により、地球の銃よりも圧倒的に威力の高い弾を放つことができ、月の魔法により、銃自体が強化され、威力で壊れることも無い。また、使用者も身体強化が使えるため、威力に体が負けることも無い。
兵器の強さは、魔法を付与した人の魔法の精度の高さと、使用者の魔力に依存する。
そして、身体強化により敵に突撃する者もいて、こういう人は、兵器の攻撃や魔法の攻撃がある程度我慢出来るため、敵に対して、素手や、威力の向上を付与された武器を持って敵の部隊を壊滅させる者もいる。
こういった功績を上げると、出世するため、上官が前線に立つことも少なくない。
俺の父さんは、20年前の第三次世界大戦で、敵の部隊に突撃し、1万余の部隊を 3つほど壊滅させ、敵を撤退に追い込んだ功績により、当時、大尉から一気に大将に昇格したのである。まぁ他にも功績が山ほどあるのだけれど…。
この武勇伝を姉から腐るほど聞かされているため、正直俺は軍人以外になれそうにない。
だが第四次世界大戦は怖い。
日を追うごとに戦争は進化していくため、どんな戦争になるかは見当もつかない。
しかし、チキっていたら話にならない
「まぁ第四次世界大戦は仕方ない。そんなもので俺の将来は変わらない。」
「そうか…。
お前さ……いややっぱいいや。」
「なんだよ、言えよ。」
「いやお前が軍人になったらこのことを言うわ。」
「もったいぶってんなぁ。」
「ふっ、俺はそういう人間だ。」
何格好つけてんだか。
早く言えっつーの。
「言うわけないだろ。」
そういえばこいつはエスパーだったんだ。すっかり忘れてた。
この後、隠元と別れて寮に戻った。
そして時は流れて、俺は大学生になった。御場佳大学軍学部戦術学科である。
ここで俺は戦争のことについて深く学ぶことになる。
ちなみに茜も同じである。
こいつなんで俺と同じなんだよマジで。
次は大学です。
もう1つの小説に専念するので、更新が遅くなります。




