第11話 その設定まだ生きてたのね
主人公モテます。
「好きです!付き合ってください!」
目の前にいる少女から告白された。
やはりというか、特に美少女という訳では無いが、平均よりも可愛いくらいだ。
どうしてこうなった?
俺は高校1年生になり、いつも通りの暮らしをしてたはずなのに。変わったといえば、実家通いから寮生活に移行したということぐらいだな。
御場佳市は実家のある出間市に比較的近く、電車で通えたが、もうめんどくさくなったので寮に移行した。
そして高校生になってから2ヶ月だった頃、クラスの女子に呼び出された。
まさか告白されるとは。
前世の小学生の時にされた以来だ。
「えーと、あーと。」
やばいキョドっちゃう。
と思っていると後ろから足音が聞こえてきた。
あまり使われてない階段で、もうみんなが下校した時間なのに誰だよ。
ん?この感じは茜か?
あいつ帰ったんじゃなかったのか?
「スー君?そこで何してるの?」
うっ、やっぱり茜か。
くっそめんどくさくなりそう。
「茜、もう帰ったんじゃないのか?」
「スー君にこの前のを返そうと思ってたのに電話出ないし。」
「ご、ごめん。」
「まぁいいけど。で、何してるの?」
「え、えーと。」
「あなたには関係ないです!」
おっと告白してきた女子が茜に食ってかかった。
「関係あるよ。だってスー君の愛人だもん。」
その設定まだ生きてたのね。
ほらそんなこと言うから、相手の女子絶句しちゃってんじゃん。
「ご。」
ん?なんだ?
「ごめんなさーーーーい!」
凄まじい速さで去っていった。
身体強化使ってやがるなあれ。
はぁ、茜のせいでテンプレの王道修羅場が台無しじゃないか。爆弾発言するなよ。
まぁ今更だけど。
「お前、いつになったらその設定辞めるんだ?」
「ん?スー君と結婚するまで。」
は?こいつマジで言ってんのか?
「え?は?お前俺の事、す、好きなのか?」
「うん、好きだよ。」
こいつさも当然かのように言いきりやがった。てめぇには照れというものがないのかよ。
「え?じ、じゃー付き合うのか?」
「付き合ってもいいけど、今までとあんま変わらなくない?
たまにキスとか手を繋いだりするし。」
「確かにそうだけど。」
「まースー君が今付き合ってると思えばそれでいいんじゃない。」
「そ、そうか?」
「うん!じゃー今まで通りで!」
「分かった。」
茜の言うことは最もだ。
付き合ったところで、俺らは特に何か変わることは無い。
はぁ変な幼馴染を持ったなぁ。
俺はもうまともな恋愛が出来ない運命なのかもしれない。
もう寮に帰ろう。寮母さんが俺を待っている。
「多分待ってないよ。」
エスパー茜の呟きは俺には聞こえない。
俺は茜と別れて足早に寮に戻った。
次はまだ高校生です。




