ケース⑤:村木望月の場合
強さ。
それは肉体的なものであったり、精神的なものであったりする。
強さを求めるというのなら、形から入るべきことだ。
「うああぁぁっ」
「宇宙人が来たーー」
「えーん、えーん」
泣き叫ぶ子。ざわつき、逃げ惑う大人達。
灯に弾き飛ばされた結果。人込みに落ちてこれた宇宙人は
「質など後からだ!攫うぞ!女なら攫う!!全員、俺の雌となれ!」
好機。またとないビッグチャンスであった。
しかし、
「良い男、見っけー」
「あ?」
「灯の奴が丁重に運んでくれたから、楽しめそう」
立ちはだかった、その強さは肉体的にも精神的にも強いというわけではない。あくまで、悪魔的と続く様に。ただただひたすらに
「村木望月。あなたを私の飼育にしてあげる」
"残虐"。
際立って、残虐。
「なんだ、テメェ?」
「!……いや、そんな目で見ないでください。今のは冗談ですぅ」
「?」
「その怖いですぅ」
猫被ってるところも含めて、超人である。
巧みな話術も含めて、相手の隙を作る。モジモジしながら、間合いを詰めてくる姿は手馴れている。
そして、
ドゴオオォッ
防御を固める間も与えず、顎への上段蹴りで反撃の態勢を相手に作らせない。意識を数秒飛ばし、今度は背後から背を蹴りつけ、地面に伏せさせる。まるで犬のように。
精神面の不安定さが作る、まったく強さにない。だが、強い強さもあるもの。
バギイイィッ
「ねぇねぇ、自分の顔で地面を拭いてる気分はどう?」
鯉川や山本のようなスカッとした強さではない。また求めていない。
ただひたすらにこの火照る心をもっと、燃やすための行為。
ドゴオオォッ
「ピッコロ大魔王は卵を吐くけど、あんたは何を吐くのよ?」
倒れている相手に容赦なく、攻め立てる。強さとしては当然のことに思えるが、村木の場合は度が過ぎる。輪島彩の後であると余計に際立つ。敵を思いやる気持ちも、敬意すらもない。
敵に回すとなると、強さ以上に恐ろしさが出るのが村木の闘争。
「っ!やめっ」
「ちんちん!」
ドゴオオォォッ
「そー言ったら、立って、はぁはぁでしょ!?犬でもできる事ができないの!?ゴミ虫!!」
甚振られ、傷つく男に追い討ちをしていく。弱いところを見つけたら、集中して攻撃してくる性格の悪さ。
顔といった五感をあえて刺激しない事で、自分がやられているという惨めさを突きつける。
グシャアァァッ
「うはぁっ!首踏まれて苦しい?ねぇ?苦しいの?宇宙人でも苦しい?」
そう訊きながら、狂気ある笑みと共に首を踏みつけまくる。まったく、これっぽちのご理解も効かない。
村木は嬲り殺す。
ただただ、相手が苦しみもがき。やがて、強さと精神が折れて、死に向かう様に満足できる。
パァァンッ
「どう?人間の利器は?鉄砲って言うんだけど、効くのかな?足を撃ってみたけど」
グシャァァッ
「風穴踏めば、もっと分かるか~~ねぇ~~」
残虐。ただただ、残虐に……。
これは果たして、正義ある強さや防衛というラインにあるのかどうか。
甚だ疑問である。
「あははははは!!死に様にはいいんじゃない?踏み潰されて死ぬってさ!!」
この死骸は、村木が言うように踏み潰された虫と似ていた。




