ケース④:輪島彩の場合
人は誰だって恋する。
それは嵐のように唐突でどうしようがない。
「お、お、俺の雌になってください!」
唯一。ある意味。
幸せ者が6人の中にいるとしたら、彼だろう。
今。そして、これから。彼と対峙する雌はあまりにも美しすぎる。
告白の仕方が奴隷を買う感じなのか、それとも普通に彼氏が彼女に告白する感じなのか。正直、分からない。
ただし、相手はどーいう受け答えをしていいのか。分からず、
「は、はぁ……」
溜め息ではないが、分かっていないという返事は確かである。
黒い髪のロングヘアー。美しく整っている体つき。女性としては長身のモデル体型。白さ煌く魅惑な光が出ていて、女の魅力である胸。この胸も豊満。何度でも言うが、デカイ胸は良い事だ。
彼女の美しさは、老若男女問わず、魅了するであろう。
「でも、私。その。ミムラに代わって、あなたを退治しに来てまして。これからあなたを殴り殺すんですけど~」
モジモジしながら、怖い事を言っているが、男は分かっていない。
「いや、一目惚れした!俺と君で交配しよう!!」
興奮が収まらない男。今にも襲い掛かるであろう。まさに秒読みである。そこに彩は
「あ、ごめんなさい!」
告白を断ったかのような声を出したかと思えば、
バギイイイィィッ
「蹴り殺します!!でした!!」
彼を蹴り飛ばした。それは後方にある建物の数々をぶち抜くほどの破壊力と推進力。
「あの、生きてますか?」
「ぐぅっ、強い。素晴らしい雌と出会った」
「あー。生きちゃってる。苦しまずに蹴り殺せなくて、ごめんなさい!!灯先輩みたいにできないんです!」
「いや、君と俺の子を作るために、げほぉっ。死ぬものか!」
ど天然な彩のペースを意に介さず、彼は雄の本能で立ち上がる。
「気に入った。必ず、君を攫う」
「凄い。強いんですね。……けど、殺すのに時間掛かっちゃいますよ?」
容姿と強さは、鍛えられたとか形どるためのものではなく、"天然"。自然現象が生み出したもの。
性格も、ズレた天然ぶりである。
輪島彩の純真純粋足る強さは、確かに他の者達とは劣るやもしれない。
「それ!」
だが、本心では戦いたくないし。強い言葉を遣って無理をしている。
戦士としては肉体以上に不完全であった。
「ごほぉっ」
前蹴り、正拳突き、一本突き、回し蹴り。
様々な打撃を彼に浴びせ、どれもこれもが致命傷となるほどの、彩の圧倒的な強さとは裏腹に平穏を抱く心。
清らかである精神の土台。
「ぐふっ」
「私は戦いたくはないです。ですが、あなた方を見過ごせないし、灯先輩達もいるから……。せめて、私が相手をします。逃げられるかもしれませんね」
「……雌に見せる逃げる背中などない。あるのは俺に付いて来いという、背中だけだ!」
かけ離れている強さと同じくらい精神に差がある。
強い者が弱いを訴え。弱い者が強いを訴える。そんな喜劇がこれだ。
一矢の報いすらも許されないって
「現実か」
バギイイィィッ
頭を砕くのに時間がかかり、様々な技を使っていた。
「ごめんなさい。時間がかかって」
技を使う度に彼の返り血を浴びる。宇宙人の死因に出血多量ってあるだろうか?
輪島彩だけは倒れる彼を供養するのであった。




