ケース③:阿波野小諸の場合
一瞬にして同志が2人、葬られた。
そして、灯の拳によって弾き飛ばされた4人にも命の終わりは近い。
「いらっしゃい」
その超人は、"武芸百般"
1人が対峙した雌は、鯉川と灯とは違い。自分と同じく武器を手に取っていた。
比べればあまりにも時代の差があるものだ。
薙刀を振るっている女性の名は
「阿波野小諸があなたのお相手を致します」
何か特殊な力がある。あるいは……それに匹敵するだけの技量がある。
その読み。阿波野も間違いなく後者ではある。
「ふ、ふふふふ」
「?」
しかし、そんなもの。どーでもいい。少なくともこの距離は彼女が持っている薙刀の間合いではなく、完全に射撃が優位となる間合い。そう
「なんて醜い文明だ!そんなもの、我々にとって滅びた代物だ!」
阿波野と対峙した雄は、奇怪な形をしていたが、光線銃であったのだ。
「雌は大人しく、雄の言う事だけを聞き、生産性に富むべきなのだ!」
「そ……」
「だから滅んだ!雄に並び、意見をしようとし!世界を滅ぼした!」
この雄の言葉は、6人の中で誰よりも汚く。そして、醜いものだった。ただ進化や進歩の過程で、1つはあるんであろう道を進んだと言える。
「手、震えてる」
「!」
阿波野はゆらりと動く度に、彼の光線銃の照準もフラフラしている。きっと精度は凄いのであろうが、使い手がクソであるというのは、武器を扱う阿波野にも一目で分かった。
「技術の発展とは素晴らしい。そーしてあなたは生き抜いてきたようですね」
「動くな!撃つぞ!」
「撃てんのか?腰抜け」
「!」
シュバアアアァァ
阿波野の挑発後、その光線銃は凄まじい威力、速度で襲った。
彼女の後方が焼け飛び、持っていた薙刀もその光を浴びて、先端が焼き飛んでしまう。
「あら」
「どーだ!俺の雌とならなければ……」
しかし、阿波野は薙刀の残骸をあっさりと彼の方へ、強い速度で投げつける。
喋っている隙を突くとは卑怯と思えるが、たったそれだけの事でうろたえる本人に問題がある。
「うおっ!?」
続いて懐からクナイ、鎖鎌、手裏剣などの飛び道具を一気に投擲。
「ひいぃっ!?」
光線銃を撃たせない。
それほど優れた技術を手にしていても、
「あなた自身に怖さを感じない。例えるなら、誇らしげに自動運転で車を駐車してる運転手みたいなもの」
授かった技術を不遜に取り扱う。
予めや準備、確認を怠る。人間と宇宙人の本質に違いはあるかもしれないが、足りぬならば、人は寄り付かないだろう。したがって、雌も断る。
「っ!いてーーっ!?」
「事前に撒き微視を巻いていたのは失礼でしたね。けど」
阿波野もまた、殴り合いの間合いに入った。
「あなた達も襲来だから、お互い様ですね」
足を痛がる彼を蹴り飛ばし、宙へと上げる。
「優れた技術の発展だけでは滅ぶもの。もっと壮大でなくとも、己も研鑽していかなければ」
落下する彼に合わせて、飛び膝蹴りをかまし、
「人生はあっさり終わっちゃう」
彼の頭を吹っ飛ばす阿波野であった。




