表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天然の治療師は今日も育成中  作者: 礼依ミズホ
4/192

おはようございます?

登録ありがとうございます。励みになりますので、宜しくお願いします。

 もっと急ぎたいのはやまやまだが、いきなり速度を上げるとこちらの様子をうかがっている魔物たちに感づかれてしまう。仕方ないが、今のペースを保ちつつ自分の周囲に張った結界の強度を少しずつ上げることにした。


ふう。これなら何とか耐えられるか。ようやく結界の強化を無事に済ませられたので、索敵をしてみた。

魔狼七~八頭、といったところか。群れかどうかはもう少し様子を見ないと分からないな。


・・・しっかし、本当に、よく寝る娘だ。とりあえず自力で座ってもらえるように起こすとするか。


「おい、起きろ。」

大声を出すと魔狼を刺激してしまうため、声を落としてサーラに呼びかける。やはり、起きないか。

「おい、そろそろ起きてくれ。」


「・・・・・・・・・・・・・・・」


「むぅー・・・。」

私はため息を一つつくとサーラを普通に起こすことを諦め、左手でサーラの頬をむにーっと引っ張った。くそぅ、こうなったら目が覚めるまで、ずっと引っ張っててやる。


どんだけ起きないんだよ、全く。相当むにーっっと引っ張っているはずなんだが。


 どれ位の時間がたったのだろうか。

「・・・・・・・・・ん~~~?」

ようやくとろーんとした表情でサーラが目を開く。


はおー(あのー)ほおほお(そろそろ)へほ(手を)ははひへ(放して)もらへはへんは(もらえませんか)?」


「は?」


はおー(あのー)ひはひんへふぶぁ(いたいんですが)・・・」


「何のことだ?」

と私に言われてサーラは私の顔をじとーっと見た。

・・・ええとだな。それはー・・・仕方がないだろう。ファルドの森の中で大声を出したら、魔物に襲って下さいと言っているようなもんだ。


「ああ、すまんすまん。痛かったか?君を起こしてもなかなか起きなかったから、目を覚ますまで頬を引っ張り続けていた。大声を出して君を起こせる状況じゃなかったんだ。」

私は慌ててサーラの顔から手を放した。サーラの視線から多少こちらを責めるような成分が抜けたのは気のせいか。


「状況が変わってな。少しの間、起きていて欲しいんだ。」

「お・・・きて?」

「ああ、そうだ。とりあえず自力でティスに座って、手綱を持っていて欲しい。手綱は・・・そうだな、こうやって両手で持っていてくれるだけでいい。」

「こう・・・ですか?」

「ああ。私が動いて何をしようが、絶対にそのまま手綱は握って離さないようにしてくれ。」

「何か・・・するんですか?」

「ああ。私のミスで、ちょっと魔狼の群れに絡まれそうなんだ。ファルドの森を出る前にこいつらを引き離したい。」

「んー、まろう?」

「もしかして、魔狼も知らないか。」

「・・・はい。」

「狼は分かるか?」

狼はどうやら分かるようで、サーラはこくんと肯いた。

「狼は分かるんだな。よかった。魔狼というのは、赤い眼をした狼のような獣だ。赤い眼をしているのは魔獣だからだ。奴らは逃げようとする動物を追いかけてきて襲うんだ。このまま私たちを追って来られたら我々も襲われるし、森の外まで追いかけて来たら非常にまずい。普通の人々にとっては、魔獣は森の中だけに棲んでいる生き物なんだ。森の外に出て来たのを見たら、人々はパニックになって逃げ惑うだろう。そうなったらもう、魔獣に襲ってくれと言っているようなもんだ。」

「そうですか・・・。わかりました。」


私はサーラがちゃんと手綱を持っていることを確認すると、左手でサーラの腰を抱えながら右後方に振り返った。

どんだけサーラちゃんは頬をむにーっとされていたんでしょうねぇ(笑)。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ