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天然の治療師は今日も育成中  作者: 礼依ミズホ


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魔法屋どうしましょう 1

登録ありがとうございます。

 「ところで、商業ギルドは何時までやっているんですか?」

「えーっと、いつも誰かしらは受付にいると思うんだけど、今回は特殊なケースになりそうだからマスターのいる時に行こうかと思うんだ。」

「オーランも売り上げに影響のない閉店後に行きたいだろうし、マスターが日中用がある日でも大体夕方ならギルドにいるはずだから、オーランが夕方位で私と一緒に商業ギルドに行ける日があるかどうかも聞いてきて欲しい。私は商業ギルドのマスターの予定を聞いておくよ。」


「分かりました。新商品の開発について商業ギルドで契約を結びたいということと、夕方オーランの都合の良い日を聞いて来ればいいですね。完成した新商品は魔法屋が優先的に購入できるのならば、通常は普通に販売して構わないということでよろしいですか?」

「ああ、そうだね。それから商業ギルドで契約のための手数料はうちが負担するということも伝えてもらえるかな。今日明日にでもこのことをオーランの所へ伝えに行ってもらおうか。ミリルかロイ、どちらかに頼むことになると思う。」

「分かりました。」

「畏まりました。」


「それでは、新商品について細かいことを決めていきましょう。皆さんのご希望を伺ってもよろしいでしょうか?」


 ミリルの提案を受けて皆でお茶を飲みながら、昨日買って来たオーランの店の揚げ菓子を色々と食べた。自分好みのお茶菓子が今後継続的に作って貰えるという滅多にない機会のためか、それぞれが各自の好みを声高に主張した。魔法屋へ来たばかりのサーラは、食べた物の中で特にこれが好きとか嫌いとかいうのは無かったようだ。サーラ以外の主張の激しい三人が話し合った結果、今度魔法屋用に作ってもらう新商品の概要がようやく決まった。


 太さ:シファの蔓~赤子の小指程度

 長さ:大人の小指一本~二本分

 味:チーズ・パセリ・胡椒・カデの蜜


 太さや長さはオーランの持つ技術でどの程度ならば実現可能かが分からなかったため、ある程度幅を持たせておくことにした。このお茶菓子の件は特段急ぐ必要もないため、オーランへ使いを出すのはこの後の話し合いが終わってからである。


 「う~揚げ菓子を食べ過ぎたせいか、胃がえずいな。」


珍しくロイが胃の辺りを擦りながらため息をついた。


「ロイはそもそも夕べ飲み過ぎたせいだろう。ミリル、こっちの茶葉でお茶を淹れ直してくれるかな。サーラもついでにお茶の入れ方を覚えられるよう、一緒に見ておいで。」

「畏まりました。」

「は、はい・・・わかりました。」

「サーラさん、台所へ行きましょう。」

「はい・・・よろしくお願いします。」


私はミリルに茶葉の入った器を示すとミリルが立ち上がり、サーラも立つように促した。ミリルとサーラが連れ立って台所へ行く。ロイは台所へ向かうサーラの後姿を見て思わず呟いた。


「ったく、飲ませたのはエルデさんなのに・・・・・・。それにしても、サーラちゃんって本当に髪の毛ふわっふわですねぇ。」

「そうだね。またロイに女神様が降りて来るといいね。そういえば夕べ女神様が降りてきた時の絵を見せてもらってなかったね。」

「あ~あれはなかなかの出来栄えだったので、夕べ無くさないように描き上げてすぐにしまいましたから。」

「俺がサーラに見せるって話してしまったから、ロイの方で近いうちに見せてやってくれないか。」

「ええ、勿論です。楽しみにしていて下さい。」


ロイは良い笑顔で私に向かってウインクしてきた。


 「お待たせしました。」


ミリルとサーラが書斎へ戻って来た。サーラがぎこちない手つきでお茶を配ってくれた。これを飲めば胃もスッキリするだろう。ミリルとサーラが新たなお茶菓子をテーブルに出し、お茶を配り終えて席に戻ったところで私が改めて話し始めた。


 「二人共、お茶とお茶菓子をありがとう。さて、ここからが今日の本題だ。先程話した通り、サーラが住み込みでここで働くためには、今の店と私が住む部屋だけでは場所に限りがある。そこで思い切ってこの建物を増築することにした。せっかくの機会なので、ここで働く皆の意見を聞かせて欲しい。」


「エルデさん、よろしいですか。」


早速ミリルが胸元で右腕の肘から先をぴっと挙げた。


「いいよ、ミリル。君の意見を聞かせてくれるかな。」

「はい。まずは、サーラさんに寝室を作ってあげて下さい。できたら個室がよろしいかと。それから、今の更衣室に三人分のお店の服を収納する場所はありません。サーラさんが仕事前にご自分の部屋でお店の服に着替えるようにして頂ければ、更衣室は今のままで大丈夫です。」

「そうですね。」


ミリルの話に続いて、腕組みをしていたロイが話し始めた。


「確かに、今の更衣室は俺とミリルの着替えをしまうだけなら十分ですが、サーラちゃんの分の着替えもしまうのは厳しいですね。」

「サーラの寝室にお店の服や作業着といった仕事に関する物も合わせて、サーラの持ち物を全部収めるようにすれば更衣室に手を入れなくても大丈夫?」

「ええ、サーラさんの荷物が全部入る大きさの部屋なら大丈夫ですわ。」


「エルデさんの私物は、仕事にお使いになられる物も合わせて全て寝室に置いてありますよね。」


私の寝室に入ったことのあるロイが中の様子を思い出して呟く。勿論、私の寝室にミリルが入ったことはない。さっきサーラを案内したときも、入り口の前で説明しただけだからね。


「うん、そうだね。私の私物は基本寝室に全て置いてあって、書斎には仕事関係の物しか置いていない。それなら、サーラの寝室兼私室を作ることは決定ね。」

「良かったわね、サーラさん。」


ミリルがサーラに嬉しそうに声を掛けた。


「え、私・・・そんなものを作ってもらっていいんですか?」

「あの簡易ベッドを使ってずっと寝るのは、さすがにサーラちゃんが若いとはいえ辛くなってくると思うぞ。それに、毎朝サーラちゃんが寝ていると知りつつ台所へ入るのは、俺も気が引けるからね。」

「サーラが他の人の目を気にせずきちんと休める場所を作った方が、ここで働くお互いのためにいいと思うよ。台所も簡易ベッドが置いてある今のままだと、実際かなり手狭だしね。」

「だ、そうよ。こういう時は遠慮せずに作って貰ってしまっていいのよ。ベッドもきちんとした良い物をエルデさんに買って貰いなさいね。睡眠不足はお肌の敵よ。」

「は、はい・・・ありがとうございます。」


サーラは照れくさそうに軽く頭を下げた。


 「そうだ、エルデさん。簡易ベッドはいつ頃作業場に戻してもらえるんでしょうか。夕べ久々に書斎のソファーで寝ましたが、やっぱりソファーよりあれで寝た方が全然ましです。」

「そうだね。あれはロイ位しか使わないと思うけれど、サーラの部屋が完成してベッドが届き次第、作業場に戻すよ。」

「分かりました。サーラちゃんも新しいベッド楽しみだな。」


「ベッドの手配はどうされるんですか?」

「そうだね、ここの増築の相談がてら商業ギルドで職人を紹介してもらうよ。」

「腕のいい職人さんだといいわね。」

「ギルドマスターに職人を紹介してもらうから、下手な職人は来ないと思うよ。」

「はー、ギルマスに頼むのか。エルデさんも相変わらずだな。」


ロイ、相変わらずってどういう意味だよ。商業ギルドのギルドマスターはロイも私もよく知っている人物だろう。


 「そういやぁサーラちゃんは、魔法は使えるんだっけ?」

「へ?ま、まほうですか?」


サーラが戸惑っているみたいなので、私がサーラに変わって答えることにした。


「私の見立てではサーラは魔法が使えると思うけれど、まだ私もサーラが実際に魔法を使うところは見たことがないんだ。だから、私が基本的なところからサーラの能力を確認がてら教える予定だよ。簡単なものとはいえ、作業場で魔法の練習をするのはまずかったよね。」

「そうですわね。練習する魔法の種類によってはポーションの出来具合に影響が出ると思います。」

「それなら魔法を使っても大丈夫な部屋を別に作った方がいいかな。」

「そうですね、材料に変な効果が付与されても困りますし。」

「場所に余裕があるのならば、そうして頂いた方が有難いかと。」

「んーそれなら、魔法の練習室も作るか。広さは・・・」


えーっと・・・研究所の魔法の練習室って、どれくらいの広さだったっけ?


「最初は小さめの部屋で練習して、徐々に広くして行けばいいのでは?」

「エルデさん、結界はちゃんと張っておいて下さいね。」

「ああ分かった。ミリルとロイの意見を参考にしよう。ちょっと待ってて。うちの間取り図を持って来よう。」

 

私は書棚から大きめの巻紙に家の間取り図を書いたものを持ってきた。


「この巻紙は大きいから、一旦お茶とお茶菓子を下げてもらえるかな。」

「「はい、わかりました。」」


ロイとミリルが慌ててテーブルのお茶とお茶菓子を下げてくれた。片付いていたとはいえ、俺の執務机にお茶とお茶菓子を下げてくれたのは何でだろう。


「サーラはこの紙の両端を持っていて。」

「は、はいっ。」


 私は巻紙の端をサーラに持ってもらうと、それまでお茶とお茶菓子が乗っていた応接テーブルに巻紙をゆっくり広げ、四隅にペーパーウエイトを置いた。


「あの・・・これは?」


サーラがペーパーウエイトに興味を持ったらしい。


「これはマルローの実を模したデザインのペーパーウエイトだよ。」

「まるろー?」

「マルローは大きな実をつける木でね。マルローの実は少し酸っぱいけど、食べられるよ。」

「それから、ペーパーウエイトは書類が動かないように紙の上に乗せる錘だよ。このペーパーウエイトは下に敷いた紙が丸まらないための魔道具でもあるんだ。サーラ、話を元に戻しても大丈夫かな?」

「は、はい。大丈夫です。」


私は図面を見ながら、改めて話し始めた。

この時点で、作中世界の度量衡は具体的に決まっておらず、身の回りの物で大きさや長さなどを表しているという設定です。

シファの蔓は太さ3~5mm位。皆でお茶請けに、かりんとうやプレッツェルのような物をポリポリしたかったようです。


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