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天然の治療師は今日も育成中  作者: 礼依ミズホ


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200/202

アリーの魔法教室 1

2026年初投稿はなんと、連載200回記念閑話回です。

エピソード1は登場人物紹介ですが、この物語も200話まで書き続けることができました。閲覧して下さる皆様に感謝致します。


2026/2/7追記:一部内容を改めました。

 魔法屋の増築をした時に、サーラが魔法を練習できるようにと作業場の奥に新たに作った部屋。今日はその部屋が本来の用途として使われる記念すべき最初の日となった。


 今日は、サーラの護衛任務を受けなかった光の風のアリーのために、サーラに魔法を教える仕事をアリーへの指名依頼という形で、エルデが商業ギルドに仕事を斡旋したのだ。元々はアリーとサーラと監修役のエルデの三人で魔法の授業を行う予定だったが、話を聞いた魔法屋のロイとミリル、光の風の三人からも折角だから参加したいという申し出があった。申し出を受けたエルデも最初は難色を示したが、他の参加者はサーラの知っている人達ばかりだし、サーラも誰かと一緒に学ぶ機会があっても良いだろうと考えを改め、魔法屋と光の風の一同も一緒に参加する運びとなった。


 早めに出勤したミリルは「臨時休業」と書かれた紙をいそいそと魔法屋の扉に貼ると、同じく早めに出勤したロイと一緒に会場の準備をしていた。元々最大四人しかいない魔法屋なので、台所と作業場にある椅子だけでは数が足ららなかった。魔法屋中から集められた椅子の他に、慌てて埃を払った木箱を裏返しただけという即席の椅子もいくつか用意されていた。準備のかいもあり、教師役のアリーの横にも椅子が置かれ、何とかアリー以外の全員も腰を下ろすことができた。アリーは、皆の前に立つと話し始めた。


 「ええぇ~皆さぁ~ん。今日はお集り頂きぃ~、ありがとうございまぁ~す。」


アリーが緊張しながら、皆に挨拶をした。


「アリーの奴、随分緊張してんな。めっちゃ声が裏返ってる。」


ゾエが緊張しているアリーの様子を見て、隣に座っているフェイに小声で話し掛けた。


「ゾエ。今日はサーラさんのための授業です。フェイとお喋りがしたいのなら、あちらへどうぞ。」


アリーはゾエとフェイに向かって手で部屋の隅を指した。


「ゾエ、私を巻き込むな。」


サーラの左隣に座っていたフェイは、しかめ面をして自分の左隣に座るゾエを睨みつけた。


「えーっ、魔法の授業なんて受けたことないから楽しみにしてたのに。」

「ゾエ。サーラさんの邪魔をしてはいけませんわ。私達は元々来なくてもいい所を、エルデさんのご厚意でご一緒させて頂いてるのを分かってて?」


サーラの右隣に座っていたローズが、少し体を反らしてサーラの背中側からゾエを窘めた。


「ああ、分かってる・・・すまない、ついはしゃぎ過ぎた。」


ゾエは座ったまま頭を軽く下げた。


 「ゴホンッ。」


ゾエに注意をしたことで緊張が解れたアリーは、一つ咳払いをして皆の注意を引いた。


「今日はエルデさんの指名依頼で伺いました。光の風のアリーと申します。アリーとお呼び下さい。宜しくお願いします。」


アリーは皆の前で挨拶をすると、静かに頭を下げた。


「アリー、今日は依頼を受けてくれてありがとう。アリーは時々学校で魔法を教える手伝いをしていると聞いたよ。是非学校と同じようにサーラにも教えてやって欲しい。」


エルデはアリーに向かって座ったまま感謝の意を伝えた。


「畏まりました。サーラさん、はじめまして。アリーです。一緒に魔法の勉強をしましょうね。」


アリーは自分の前に座るサーラに向かって声を掛けた。


「はいっ、こちらこそ、よろしくお願いします。」


サーラは座ったままアリーに向かってペコっと頭を下げた。


「サーラさんには今日初めてお会いしたので、簡単に私の自己紹介をしますね。サーラさんが商業ギルドまで出かける時に光の風のゾエ、フェイ、ローズが順に護衛に就いていることはご存知ですね?」

「はい。」


サーラはアリーの問いにコクンと頷いた。実際に、最初の担当のゾエと先日商業ギルドに行ってきたばかりである。


「私はゾエ、フェイ、ローズと一緒に光の風というパーティーを組んでいます。」

「パーティー?」


顔合わせの時にパーティーについての説明を受けていなかったサーラは首を傾げた。


「パーティーについては詳しく説明すると時間が足らなくなるので、サーラさんは、この四人でまとまって仕事をしています、という風に思っていてくれれば大丈夫ですよ。」

「わかりました。」

「今日はエルデさんのご要望通り、学校、コホン、王立魔法学校で魔法の初歩を教える時と同じ進め方で授業を行いたいと思います。」


サーラの左斜め後ろに置かれた木箱に座っていたエルデは、アリーに向かって大きく頷いた。エルデは学校へは通っていないので、頷きながら決して表情に表れはしなかったものの、内心ワクワクしていた。ミリルは学校へ通っていたので「ああ、あれね。」という表情をしていた。ロイもエルデと同様学校へは通っていないので、自分自身もこれから教わる内容を楽しみにしている反面、隣に座るエルデが嬉しそうにしていることを見抜いていた。


 「まずは、皆さんの身体にある『魔力』を感じてみましょう。サーラさんは魔力検査をした時のことを覚えていますか?」

「まりょくけんさ?」


サーラが再び首を傾げてアリーの顔を見た。


「サーラ、前に作業場で透明な玉に触っただろう?あれが魔力検査だ。」


エルデが後ろから、サーラの様子を見て声を掛けた。


「ああ~。」


エルデに言われて、サーラも魔力検査をしたことを思い出した。


「魔力検査の時に『手から力が抜ける感じがする』と言う人が多いんですが、サーラさんは魔力検査の時にそのような感じがしたかどうか覚えていますか?」

「え~っと・・・。」


アリーの問いにサーラは中空を見上げて考え始めたので、サーラは魔力検査の時のことを覚えていないと判断した。


 「サーラさん、魔力検査の時のことを覚えていない人も多いから大丈夫ですよ。では、サーラさんは身体に血が巡る感覚は分かりますか?例えば――身体を動かした時に身体が温まって火照る感じや、寒い時に温かい物を食べて身体が温まる感じは分かりますか?」

「う~ん・・・。」


アリーは言葉を尽くして分かり易く説明しているが、残念ながらサーラには伝わらなかったようだ。


「アリー、丁寧に説明してくれるのは有難いが、サーラは春先にここに来たばかりでね。王都で冬を越したことはないんだ。それに、サーラが激しく体を動かす作業は今の所うちでは無くてね。」

「いえいえぇ~お気になさらずぅ~。」


エルデがアリーをフォローしたことで、アリーの声が再び裏返った。


「アリー、一口飲んで落ち着こう?」


フェイがどこからともなくカップを取り出すと、水魔法で水を注いでアリーに差し出した。


「ふぇ、フェイ~ありがと~。」


アリーはフェイからカップを受け取ると、水を啜って飲んで激しく咽せた。


「アリー?」


慌ててローズが立ち上がってアリーの背中を擦った。


「ゴホッゴホッ・・・。し、失礼しました。コホン。」


アリーは気を取り直すと、再びサーラに説明を始めた。


「サーラさん、息を吸って吐くのは分かりますか?」

「はい。」


サーラはアリーにコクンと頷いた。アリーもサーラにも理解できる話がようやくできて、心なしか安堵した表情を浮かべていた。


「では、サーラさん。私と一緒に息を吸ったり吐いたりしましょう。」

「はい。」

「では、始めますよぉ~。吸ってぇ~。」

「すぅ~。」

「吐いてぇ~。」

「はぁ~。」

「サーラさん、いいですねぇ~。もう少し大きくやってみましょうか。」


アリーはサーラを褒め、さらに呼吸を大きくすることを告げた。


「はい、大きく息を吸ってぇ~。」

「すうぅ~。」

「しっかり吐いてぇ~。」

「はあぁ~。」

「は~い、大きく息を吸ってぇ~。」

「すうぅ~。」

「はいしっかり吐いてぇ~。」

「はあぁ~。」


サーラが自分の指示に従って大きく呼吸できているのを確認したアリーは、他の参加者達にも声を掛けた。


「はい、皆さんもサーラさんと一緒にやって下さいねぇ~。大きく息を吸ってぇ~。」

「「「「「「「すうぅ~。」」」」」」」

「はいしっかり吐いてぇ~。」

「「「「「「「はぁぁ~。」」」」」」」

「はい大きく息を吸ってぇ~。」

「「「「「「「すうぅ~。」」」」」」」

「はいしっかり吐いてぇ~。」

「「「「「「「はぁぁ~。」」」」」」」

        ・

        ・

        ・

アリーの掛け声に合わせて、しばらく全員が大きく息を吸ったり吐いたりを繰り返した。


「はい、皆さんいいですね。それでは一度この辺で止めましょうか。」


アリーはパンッと両手を叩くと、全員に大きく呼吸を繰り返させるのを止めた。


 「サーラさん、息を吸う時はどこから吸っていましたか?」

「えっと・・・鼻です。」


サーラはアリーに聞かれて軽く息を吸ってから答えた。


「それでは、息を吐く時はどこから吐いていましたか?」

「最初は鼻からでしたが、大きく吐いたときは口から吐いていました。」

「そうですね。サーラさんは息の動きが分かっていますね。」

「なあアリー、息の動きが分かって何になるんだ?」


ゾエがアリーの説明を遮って質問した。


「ゾエ、私は今サーラさんに説明中です。あなたの質問はサーラさんへの説明が終わってから受け付けます。」


アリーはゾエの質問を後回しにしてサーラの説明を続けようとしたが、


「アリー、せっかくの機会だ。ゾエに説明することでサーラにも新しい知見が得られるかもしれない。是非ゾエにも分かるように説明してやってくれ。」


エルデがアリーに声を掛けた。

タイトルの数字でお察し…の通り、次話に続きます。

200回記念と銘打ったはずなのに、一話で完結しませんでした。ううむ。

魔力検査についてはep.74~ep.77で触れておりますので、そちらを参照下さい。この辺りのエピソードは5年位前の投稿なので「私、何書いたっけ?」状態で設定のファイルと合わせて本編もさらっと読み返しました。


この物語の次話を投稿する前に、冬の童話祭り2026参加作品を投稿したいと考えています。冒頭は書けたので、あとはどう終わりに持って行くかかなぁというところです。書き上がりましたら活動報告でお知らせしますね。


良ければ箸休めにこちら↓↓もどうぞ。こちらも小説家になろう公式企画参加作品です。

https://syosetu.com/usernovelmanage/top/ncode/2973457/


今回も最後までありがとうございました。

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