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3日勇者  作者: 楠木あいら
day2
31/52

視線の先

 白色の袖無しシャツを膨らませる胸が、視界に入り込んできた。

 人類滅亡を無視してでも眠かったのに、一気に吹っ飛んだ。


「ドーベル?」


 こう状況からストーリーが始まると、高い確率で残念な結果に終わる。

 しかし、今、この状況を語れたということは、逆フラグではなのか、それって…


「………」


 期待しつつ視線をドーベルに向けると…縦長の耳をピンとたて、顔は廊下側の壁に向いていた。


「危険が近づいてます」


 残念な方だった。

 ドーベルが俺の上に移動したのは、永遠の友を守ろうとするのと、廊下側のベッドで音を聞き取ろうとするためのようだ。

 しかし、ガッカリしているどころではない。


「危険って?」

「複数の人がこっちに近づいてきます。鋭い気配を放って」


 スマホがメール着信を告げたのは、その時だった。

 開けてみるとオヤジから。


『研究所の所長が変な組織に捕まっていたので、派手な行動を避けるように。

 もちろん研究所員関係者だと分かるカードを使っちゃダメ。モロバレするよん』


「………」


 極悪なタイミングで教えてくれたよ。

 更なる危険を察知したのか、ドーベルはドアに向かう。


「まて、ドーベル、開けるな」


 後を追い、ドアに着いて、のぞき窓で様子を窺うと…


「………」


 黒い格好の人達が複数いるよ。しかも防弾チョッキとかヘルメットとか、ニュースで見る物騒に対応できる格好だし、棒やらじ、 やら武器まで持っている。

 どど、どうしよう。カジュマルから武器をもらったけれども対植物用だし。そもそも格闘なんてゲームしかない、しかも弱い。

 逃げようにもここは3階。ベランダもないから非常用はしごで降りる事も出来ない。


「………………あれ?」


 などと考え、その間にも時間が流れているのに、何もない。ドアをノックする音も聞こえない。

 もう一度、のぞき窓で廊下を見てみると…黒い格好をした人達はいる、それどころか増えているのだが。

 皆、左側を向いていた。

 しかも左に動き出した。


「俺らじゃない?」


 誰1人として、俺らが泊まる部屋を無視していた。

 武装した人達は隣人に反応があったらしく、声を荒げ。

 そして消えた。一瞬で


栞音(しおね)!」


 気がついた時には飛び出していた。

 トサトの消滅を目の当たりし、種銃を所持している記憶により、栞音と判断した。

 外は危険な状態だとわかっていたが、いてもたってもいられないなかった。

 廊下に出た時、最後の1人が消滅する瞬間だった。


「栞音」


 隣の部屋を駆けつけた俺は、深緑色のミニガンを手にする幼なじみの姿を見ることとなった。



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