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3日勇者  作者: 楠木あいら
day2
30/52

2日目の夜

「見つかるわけないよな」


 くたくたの体を質素なベッドに預ける。

 通話やLINEなど全ての通信を拒否られた栞音を、向かっているはずの東京で、手がかりなしで探す。無謀とは分かっていたが、やはり無謀だった。


「さすがに疲れましたね」


 隣のベッドに腰を下ろし、満腹になったお腹をさすりドーベルは言う。


 俺たちはビジネスホテルの一室にいる…わかっている。皆まで言うな。なぜシング部屋2つではなく、ツインルームなのか。


「久しぶりに、安心できる人の気配を感じながら眠れられるのですね」


 元飼い犬としてドーベルの純粋な言葉だった。

 飼い主の家を出てからずーっと孤独だった彼女に1人で寝ろとはいえず、シングルベッドが2つあるツインルームを頼むことにした。

 シャワーやルームキーの使い方も心配なので…とも言っておこう。

 と言うのも、神奈川から東京に向か時、電車に乗ったのだが…


「うわぁ、思いっきり走れそうですね」


 ホームに降りて、線路を初めて見た感想だった…。

 食事作法は飼い主を見て|(天気の良い日はテラスで食べていたらしい)見よう見まねで大丈夫だったが、たまに不安になる。


「それにしても使えるんだな、カード」


 宿泊施設で受け付けする時、親の同意書代わりに使うと良いよんと言われたカード。試しに使ってみた。


「…………」


 フロントが数十秒ほど無言の空間と化したが、無事に部屋を借りることができた。

 因みにドーベルの名前は俺が書き、苗字は同じにした。聞かれることはなかったが、もし関係を聞かれたら『従兄弟』としておけばツインルームも納得してくれるだろう。


「ふぁ……」


 あくびが出る。

 このままでは明日に人類は滅亡してしまう。栞音も見つからない今、何とか対策を練らなければならないのは、それは分かっている。分かっているのだが


 眠い。


 歩き疲れた上に、腹も満たされているので眠くなるのは当たり前。シャワーは明日で良いのかなと、まどろみ始めた時、事は起きた。


「岳春」


 顔の横にドーベルの左腕があった。ベッドに仰向けで寝ている俺の上に、四つんばいになっているドーベルの体があったのだ。



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